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【SUJIN JOURNAL 2023- 準備室日記】「リロケーションまで〜引っ越し・ボウルの中のアイス〜」へ行ってきました!

このnoteでは毎回異なる書き手が、京都市立芸術大学 祟仁キャンパスとその周辺で行われる、様々な表現や出来事の現場を記録・発信しています。

訪問日:2023年8月7日 
この記事を書いた人:美術学部 構想設計専攻 2回生 枩倉伶
(SUJIN JOURNALスタッフ)

 今回は沓掛から崇仁へのキャンパス引っ越しが着々と進む中、京都市下京いきいき市民活動センターのロビーにて京芸生によるグループ展「リロケーションまで〜引っ越し・ボウルの中のアイス〜」が開催されていると聞き、訪問してきました!場所は前回と同じ、京都市下京いきいき市民活動センター。既に多くの京芸生が集まって様々な活動が行われているようです。ここは今、一番ホットな場所かもしれませんね。


開催期間は8/2(水)~8/7(月)の6日間だったのですが、取材に行ったのは8/7の最終日だった事もあり、出展作家さんほぼ全員からお話を聞くことが出来ました。
 会場は市民活動センターの1F~3Fで、特に決まった場所があるわけではなく、各フロアに作品が点在しています。

こんな風に窓際に立て掛けられていたり
花壇の中にあったり
ソファでくつろいで(?)いたり


・ インタビュー

出展作家さんの内の一人であり、今回のグループ展の主催者でもある伊藤きく代さん(京都市立芸術大学大学院 油画専攻 在学)にお話を聞く事が出来ました。

Q.このグループ展のコンセプトは?

A.大きなテーマとしては引っ越し・移動が主軸にあります。前々からずっと言われてはいたものの、大学の移転がいよいよ目前に迫り、多くの人や物が移動を始めていますよね。それに伴って、この大きな変わり目に変化していくもの、あるいはそれでも変わらないものについて考えざるを得なくなったんです。私はこの移転に際して、地域との関わり方という点ですごくプレッシャーを感じていて、その関わり方の模索として私たちがリロケーション(=再配置)されるまでの在り方を考えるキッカケにもなると良いなと考えています。あとはやっぱりこういう、バタバタしている時とか形が定まっていない時が一番面白い時だと思っているので、今こそ展示がしたかったんですよね。 引っ越した後は地域の人たちを見ながら居場所を見つけたり、この場に一緒に馴染んでいくのかなと思います。私達が展示を行わなくても地域の人達が毎日来る、いきいき市民活動センターで展示する事は、私達が再配置されるまで地域や皆さんとの関わり方を考えるきっかけになると思っています。

インタビューに応じて下さる伊藤さん

Q.ご自身の作品『チープ・パーク※アンダーコンストラクション』について

元々、安っぽい素材が持つ雰囲気が作品と鑑賞者との 距離を近づけると考えて、チープパークというインスタレーショ ンを作っています。今回はチープ・パークをい きいきセンターのソファと机で展開したのですが、休憩しにやってきた人の顔色・ソファと机の 使用状況を伺いながら、私自身が作品の配置を 変え、作品が転々と変わっていきます。

まぁ、地域の人達を見て作品の位置を変える事でチー プ・パークが変化し、引っ越し先の地域との関わり方を模索するイメージですね。会期中、私はここにずっと滞在しながら休憩所のソファと机に作品を展開しているんですが、関心を持ってくれる方もいますし、小学生の子たちなんかは作品で遊んでくれるので、量を増やしたりします。時には邪魔だと苦言を呈されることもありました笑そう言う時にはこっそり片付けたり…

でも、見にきてくれた人と、私の全然地域に馴染んでない作品の関係を模索し続ける事が楽しいんですよね。どの場所に作品を配置すれば受け入れてもらえるのか?とか考えたり。


今回作品に使用した素材はウレタンフォーム、水道ホース、スポンジ、水回りのものが多いです。高瀬川が近くにある場所に引っ越してくる事、工事中の校舎を眺めて使う素材を無意識に選んでいたと思います。(伊藤さん談)


『Water Sampler』 西尾綾香(京都市立芸術大学 環境デザイン専攻 卒業) 2019年に旧崇仁小学校の運動場にあった手洗い場の映像。最近ではもうあまり見なくなってしまったこの蛇口の形は幼い頃の記憶を思い起こさせる。
『キュウスイトウ座』 岡田真由美(京都市立芸術大学大学院 彫刻専攻 在学) かつていきいき市民活動センター2階のとある窓から見えた給水塔”らしきもの”。果たして本当に給水塔はあったのか?それとも別の何かだったのか?そんな、今はここにないけれどかつてどこかにあったもの、記憶の中でうっすらと残っているものに思いを馳せる。
向かいの壁にはそんな『給水塔』を巡る会話、そして来場者の想う「なくなってしまったけれど、また見れたらいいなと思うもの・こと」が付箋に書かれ貼られていた。
ロビー、風』 伊藤真生 (京都市立芸術大学大学院 彫刻専攻 在学) 人通りの少ない3階ロビーにひっそりと佇む作品。伊藤さん曰く、来場者に最後まで気付かれない場合を想定しており、作品として見ようとすれば見ることができる。しかし、気が付かなければ涼しいだけ。
『新築』 岡留優 (京都市立芸術大学大学院 構想設計専攻 在学) いきいき市民活動センターに入ってすぐ、右手に見えた作品。しかし、あまりにも馴染んでいたので 最初は作品であると気付かなかった。

・ まとめ

いよいよ新校舎への移転を目前に様々な人・モノ・思いが移動しているこの時期、新しい場所でどんな生活が始まっていくのか、気になっている人も多いかもしれません。
 ですが、伊藤さんも仰っていたようにまさにこの”移転中”にしか出来ない表現があったり、それに向き合う人の想いというのは不定形で、一生にそう何度も出会えるものではないように思います。そんな流動的で、糸が紡がれていくような変化を感じたグループ展でした。

インタビューにご協力頂いた作家の皆様、本当にありがとうございました。


訪問日:2023年8月7日 
この記事を書いた人:美術学部 構想設計専攻 2回生 枩倉伶
(SUJIN JOURNALスタッフ)

本noteについては以下のnote記事をご覧ください。また記事についてお問い合わせ等ございましたら、sujin_journal@kcua.ac.jp までご連絡ください。


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