見出し画像

Starbucksの新CEOとは?何を期待されているのか?



8月13日、StarbucksはCEOの交代を発表。ラクスマン・ナラシムハン(Laxman Narasimhan)氏がCEOから退任。9月9日よりChipotleのCEOのブライアン・ニコル(Brian Niccol)氏がCEOを務める。

結果を出せなかった旧CEOを事実上更迭し、飲食業界の超大物であるニコル氏を招き入れたことで、株価は一時25%増と急騰した。

ニコル氏は役員報酬と移籍金、収入補償を合わせて1億ドル(約150億円)超を受け取る可能性があり、リモート勤務もOK。これは他の米国企業と比較しても破格の待遇だ。

この記事では、これほどの待遇を受けられるブライアン・ニコル氏とは何者なのか?そしてスターバックスは何を同氏に期待しているのか?を紐解いていく。

Chipotleでの圧倒的な成果

Chipotle Mexican Grill

ニコル氏の古巣「Chipotle Mexican Grill」は米国内外でメキシコ料理店を展開する大手飲食チェーン。日本人には馴染みがないが、アメリカのファストフードでは10位にランクインする。

2018年3月からニコル氏はChipotleのCEOに就任。この4年半で、Chipotleの株は約8倍に成長した。

Chipotleの株価推移(ピンクはニコル氏のCEOの期間)

元々Chipotleは2015年10月に起こった食中毒問題で、一度社会的な信用を失った。創業者のスティーブ・エルス氏が単独CEOとして会社を立て直し、直中毒以前と同水準まで業績が回復したところで、経営をバトンタッチされたのがニコル氏だった。

ニコル氏は1996年から10年間、P&Gでブランドマネジメントを経験。2005年にYum! Brandsに入社し、2015年〜2018年初頭までYum! BrandsのTaco BellでCEOを務めた。マーケティングやファストフード業界の領域でキャリアを歩んできた人物だ。

デジタル領域に投資

Chipotleの成長を牽引したのは、間違いなくモバイルオーダーなどのデジタル売上だ。2017年時点では売上の8.3%にとどまっていたが、2023年には飲食収益の37.4%を占めるまでに成長。Chipotle全体は、2023年の売上高は98億ドルで、ニコル氏就任前の2017年から2.2倍に拡大した。

今では我々の生活でも当たり前のモバイルオーダーだが、Chipotleは実は2009年にリリース。マクドナルドでさえ2015年に対応しているので、かなり早くからその可能性に目を付けていたことが分かる。

Chipotleは2019年にはロイヤリティプログラム「Chipotle Rewards」をスタート。1ドル使うごとに 10ポイントが貯まり、1,250ポイントでメイン料理 1 品が無料になる。

こういったデジタルの施策を強化することで、若者の支持を獲得。2023年のPipersandler社の調査では、「10代の好きなレストラン」として3位にランクインしている。

伸び悩むスターバックス

そんな輝かしい業績をChipotleで残したニコル氏を招き入れたスターバックス。2023年の売上高は359億ドル(前年比11%増)。アメリカ国内でみると、売上高は前年比13%増。中国市場など、アメリカ国外での成長が伸び悩んでる形だ。

株価はここ数年で下降傾向で、2021年7月をピークに今回のCEO交代発表前は40%減だった。

ニコル氏は、この状況を打破するために、どんな意思決定を今後下すのか。Chipotle同様にデジタル領域への投資を強化するのか。それとも全く別の選択をするのか。今後の動向が注目の的であることは間違いない。


引用

https://stories.starbucks.com/press/2023/laxman-narasimhan-assumes-role-of-starbucks-chief-executive-officer/

https://www.pipersandler.com/sites/default/files/document/TSWT_Spring24_Infographic.pdf

https://investor.starbucks.com/financials/quarterly-results-and-data/default.aspx


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?