20世紀最後のボンボン 第十部 ヨーロッパ テーマ旅行 第十四章 Villa d'Este ヴィラ・デステ(2)
20世紀最後のボンボン
第十部 ヨーロッパ テーマ旅行
第十四章 古代史探索篇 Villa d'Este ヴィラ・デステ(2)
ヴィラデステはローマから車で一時間ほどのところにあり、
通訳は行きたがらなった。
そこは昔の貴族が住んでいた屋敷とお庭があるだけで、
バチカンのように信仰が背景にあるわけではなく、
要するに単なる避暑地の別荘である。それでも私が行ってみたかったのは
そのお庭は水に囲まれていたからである。イタリア一の噴水庭園と言われている。
なんて美しい響きー噴水庭園。
そして季節にもよるが、近くのコモ湖ではクラシックカーのショーがあったり、ワインの展覧会があったり、それはそれなりに楽しくて美しい季節があるのである。
ヴィラ・デステはシリコンバレーでいえば、モンタルボ(Montalvo)の庭園にかなり近いものがあると思う。モンタルボにはヴィラデステほどの豊富な水はないがアメリカらしい、コンサートやアーチスト・イン・レジデンスや夏の子供のキャンプやアートクラスなどもありかなり、うまく運営されている。結婚式もできる。
けれどもヴィラデステの素敵なところはお庭の中のオブジェにいろいろストーリーが込められていること。
ルネサンス期を代表するアートの結集だけあって、人間臭い。
ルネサンスというと、ヨーロッパの文化を考えるときには外せないと思いますが、
ギリシア、ローマ時代の勢いを復興したいという願いのようなものだと感じます。
エジプトも太陽王とかラーとか超人的な感じがしますけれども、
ギリシア神話の神様たちも浮世離れしています。天から見下ろしている風なのも
今から見ればグーグルでの俯瞰に近いし、もっと理解できます。
空にそういうからくりがあるようにも思えます。
この噴水が私を惹きつけてやまないのは音楽が聞こえてきそうだからです。
もともと音楽は数字とか数学と関係ありますし、水のシステムを作る物理の波にも関係あります。こんなにSUJIらしい場所は他にないです。
私が死んだらここに埋めてほしい。と思ったら、
なんで私がこういうお庭を創れないのかなと想像してしまったんですね。
そうです。サピエンス
の提唱する、ストーリーが人間を存続させるってやつです。
私は何か惹かれるものがあるとなんで自分で創れないのかと考えてしまうんです。
それが私のすっごい欠点でもあり、美点でもあります。
そういう妄想というか幻想でSUJIという人間はできているんです。
このヴィラ・デステにこのタイミングで出逢ったことはやはり宿命だと思うんです。どうしても北米に私の噴水庭園を建築したい。この一点に尽きます。
私のLandscape Architecture(景観設計)で第二の修士をとりたいという情熱は。
何もそんな遠回りしなくても、お金を出して、建築家を雇えばいいだろうというあなた。あなたはハリウッドの皆さんと同じです。
自分でやんなきゃダメなのよ。人生は。だからSUJIの人生なの。
(写真はだいたいユネスコの世界遺産のサイトからお借りしました。)
こんなに美しい庭園があって、自分はまだ十分元気で、これを設計して
自分の庭にしないで、誰の人生だというのでしょう。
ヴィラ・デステでの邂逅はこの辺にしますが、この後イングランドに行って、
SUJIはまた、素晴らしい景色に出逢います。
続きは第十部 ヨーロッパ テーマ旅行 第十五章 ベネチア
で。