見出し画像

信濃川を愛でるツアー

信濃川、日本最長の川。信濃川を愛でるツアーというのを地元の友人が企画してくれた。地元の友人とは、市川のまちづくりを担うリーダー養成講座「いちかわTMO講座」の同期仲間である。

受講したのは2017年。いまだに親交が続いており、仲間の趣味や活動にかこつけてイベントや飲み会などをやっておっさん同士が語り合うのである。川マニアである私が企画したのではなく、競馬好きの仲間の2人が新潟に競馬にいった折に信濃川の雄大さに感化され、また新潟に競馬旅行するために、「信濃川を愛でる」という目的を前面に、企画してくれたのである。

この企画をやろうとSさんとKさんに相談もちかけられたとき、信濃川のことは、ほとんど私も知らなかった。
企画を実行するにあたり、信濃川のことをいろいろ調べてみたので、最初に基本情報的ななものを書き連ねておこうと思う。


信濃川の河口(新潟市)

たまたま、仕事で、今夏に新潟を訪れたのだが、そのとき泊まったのがホテル日航新潟。このホテル客室から、信濃川の河口が一望できるのである。太平洋と違い、日本海に流れ込む川の河口はどこか哀愁もある。

信濃川の河口

新潟を訪れて知ったことは、明治時代の信濃川の河口は今よりもずっとずっとデカかったことである。

新潟駅からまっすぐ信濃川まで行くと、そこには「萬代橋」がある。萬代橋は建てられた当初は、現在の長さの倍ぐらいはあったらしい。それほど、河口は大きかったとのことである。
タクシーの運ちゃんの情報によると、町の中には、昔の橋のたもとであった場所に碑があるとの話であり、川からずっと離れた場所にあるとのことである。

信濃川の源流は埼玉の秩父甲武山地であり、そこから長野市の方まで西に向けて北上し、そして、新潟に向けて東に北上していくわけだから、それらの水量を一気に吐き出すわけなのだ。こんな水量であるはずがない。

大河津分水

ここまで広かった川をどうやって狭くできたのか?「大河津分水」のお陰であるらしい。つまり、信濃川の途中で設けられた放水路で、多くの水を日本海に流しており、新潟市へ入ってくる水量をコントロールしているらしい。

大雨になると、信濃川は長野方面からものすごい水を運んできて、新潟平野を洪水で水浸しにしていたのだろう。大河津分水は、新潟市から50kmもさかのぼったところに位置し、新潟平野に入ってきた水をいち早く日本海に流す人口のルートをつくり、新潟平野を洪水から守ったのである。建設し通水したのが、今から約100年前のことらしい。

信濃川(新潟)と千曲川(長野)

河口の様子は、これくらいにして、上流の方にさかのぼりたい。
信濃川という名称は実は新潟県における名称であり、長野県からは「千曲川」という名称に変わる。新潟や長野に住んでいる人にとっては当たり前のことであると思うが、川マニアを誇る私自身も、これを知ったのは最近のことである。

標高と勾配

スーパー地形で、信濃川ー千曲川の流域を見るとなかなか面白い。いくつかの盆地を経由している。佐久盆地 ⇒ 長野盆地 ⇒ 十日町盆地 ⇒ 越後平野 という順に流れている。川は高いところから低いところへ流れる。十日町は非常に豪雪地域で山間部の印象で、標高が高いのかと思っていたが、長野盆地、そしてさらには佐久盆地の方が標高が高いということがわかる。

「スーパー地形」での信濃川ー千曲川の流域地形

また、以下のグラフも紹介しておこう。川の勾配についてである。盆地などの平野部では、勾配はさほど急ではない。川はゆっくり流れる。おそらく舟運にも適しているのだと思われる。

信濃川の延長と勾配(信濃川河川事務所HPより)

新潟市〜十日町 の区間や 長野市を起点に前後にそれぞれ50kmの区間は比較的勾配がゆるやかに見える。現に、新潟から十日町は舟運が活発であったそうだが、十日町あたりで舟運が一度切れ、再び長野の飯山あたりから、長野市に向けて舟運があったとのことである。
十日町から上流は比較的険しく、石も多く、舟運には適さなかったとの情報もある。

川の中にない「川中島」

長野市には「川中島」という地名がある。かの有名な川中島の戦いが繰り広げられた場所である。甲斐(山梨)の国の武田信玄が領土を拡大しようと、越後(新潟)の上杉謙信とぶつかった場所である。
千曲川から離れた場所に位置しており、これまでなぜ「島」という名称になっているのか解せなかったのだが、これは、千曲川と、その少し下流から分岐する犀川とに挟まれた場所にあるからとのことである。川が分岐して、土地の半分くらいが川に囲われた恰好になっているからそう呼ばれるようになったのであろう。

川中島(google mapより)

世界は広し(日本の一位は世界の何位?)

日本一長い信濃川のことをある程度知り、せせらぎのような水から始まり、急流を落ち、そして盆地をゆるやかに雄大に流れ、そしてまた険しい山間部を抜けて異文化の盆地を流れ、最後は大河となり日本海に流れてゆく、そんな「モルダウ」のような壮大な感覚にとらわれ、日本も捨てたもんじゃないと、良い気分になっていた。

最後に、世界はまだまだすごい、というデータを一つ。
信濃川は、たかが全長300kmの川である。フランスのセーヌ川で倍以上の700km。長江やアマゾン川になると6000kmを越える長さになる。勾配がゆるやかである。アマゾン川は1000kmを越えても標高が50m以上にならない。つまり新潟平野のような地形が1000km以上の続くのである。
大陸と島国の違いやはなはだしい。

世界の河川の距離と勾配(国土技術研究センターHPより)

参考資料

信濃川下流まるわかり!お役立ちガイドブック(国土交通省刊)
https://www.hrr.mlit.go.jp/shinage/kyougikai/archives/pdf/guidebook.pdf

第5回 信濃川がつなぎ育てた地場産業〜信濃川の舟運を中心に〜(信濃川自由大学)
https://www.hrr.mlit.go.jp/shinano/367/jiyudaigaku/kekka/5/5.pdf

歴史と町並みを探訪する長野県の街道~北国街道~
https://www.pref.nagano.lg.jp/osakajimu/kanko/documents/documents/260228hokkokukaidou.pdf


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?