選抜を中止に追いやった“ウイルス”
高野連が昨日の臨時運営委員会で春の選抜大会の中止を決めた。
もちろん新型コロナウイルスの影響だが、その決定のプロセスと結果に、嫌悪感に近い思いをいだいている。
つい先日まで高野連は「無観客で開催する」意向を示していた。
それが急転直下の中止決定。
そこになんらかの外的要因が働いたであろうことは容易に想像がつく。
では、その要因とは果たして何だったのか。
そんな設問をわざわざ提示するまでもなく、それが「官邸からの意向」であるだろうことは、このところの内閣のやり口を見せつけられていれば、いやでも思い至るはずだ。
実情はともかく、現状が「緊急事態」になっていなければ困る政府としては、無観客とはいえ、のうのうと甲子園で全国大会をやられたのではメンツがたたない。
それで高野連に「要請という圧力」をかけた。それに高野連が忖度しての中止決定ということなのだろう。
新聞記事には、そのことを間接的にほのめかすようにこう書かれていた。
「安倍首相が10日に、イベントの実施自粛を10日間程度、延長するよう求めたことも影響したとみられる。」
また、高野連会長の八田英二氏は、今回の決定にあたって次のようにコメントしている。
「何とかやりたい気持ちも持っているが、それができない苦しい決断を理解してほしい。」
このゴシック部分に官邸からの圧力を読み取ってあげなければ、八田氏もうかばれないというものだろう。
いま現にプロ野球は無観客で試合をしている。
高校生に限ってそれができないわけではないはずだ。
選手ひとりひとりを厳格に検査して、陽性であれば参加させなければいいだけだし、工夫しだいでより安全に開催することは可能だったろう。
「無観客」となって満員の観客の前でプレイすることは叶わなくても、彼らはテレビ中継をとおして国民注視するなかで試合をすることはできる。
そこでの活躍から、プロへの道が開ける選手もでることだろう。
そして我々は、期せずして球音を楽しみながら高校球児たちの熱戦を愉しむ権利が担保されたのだ。
ところが、選抜大会は中止とされた。
国民生活よりも自らの政権維持が目的となっているウイルスのごとき政権に政治利用されて高野連が残念な決断に至ったのであれば、これほど唾棄すべきことはないだろう。
時の政権(自民党)との親和性が高いプロ野球に、こうした要請がないわけもなく、早晩、大胆な決断を迫られることになるのではないかと危惧している。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?