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②石丸市政のゾンビたち

よみがえる悪しき慣例

 きのう、自身のYouTubeチャンネルで都議選に向けて地域政党の立ち上げを宣言した石丸前安芸高田市長。どうやら政治のエンタメ化では飽き足らず、お笑い系へとシフトしたらしい。
 その彼が「財政再建」と称して手当たりしだいに市民の福祉を切り捨て削減してきた〝悪夢の如き〟市政下において、代表社員のKが石丸の市長選挙で「中の人」として暗躍した論功行賞か、随意契約の無競争で3000万以上の公費をジャブジャブ流し込んでもらい、ひとり極楽を享受していたかのようだった合同会社アキタカターンズ。その疑惑については、前回の記事で紹介した。

 この会社は、『是々非々』を隠れミノに石丸の意を体して市議会に暗躍し、石丸の子供じみた議会攻撃に一役買い、あるときは陳腐な議会批判の場に駆り出されて滑稽なコントに付き合わされて市民の失笑を買っていたシセイクラブのひとりであった南澤議員が前代表社員だったこともあって、長く疑惑の目が向けられてきた。
 その石丸が議場を去り、石丸政治の継承を公言していた熊高候補が市長選で敗れて、ようやくこの腐敗にもメスが入ることになったわけだが、その道のりは険しそうだ。

 参議院選挙での金銭授受で市長が退任するという混乱に乗じて「財政再建」を公約に市長となった石丸の市政は、前記の如く「旧に倍する腐敗政治」であったわけだが、その石丸の負の遺産はゾンビのごとく未だに安芸高田市内にバッコしている。

 先の市長選で敗れた石丸支持候補の熊高元市議が、市民の意向を反古にするかのように今回の市議選にも立候補し、石丸市政擁護に暗躍したシセイクラブが、選挙前から「僕たち仲間だもんね」と腐敗政治に癒着政治を持ち込もうと宣言したかのような記念写真を公開しているのを見れば、市民は危機感を募らせるばかりだろう。

 アキタカターンズの問題にしても、疑惑は残念ながらゾンビとなって復活してしまった。
 今年度から「地域おこし協力隊活動支援業務委託事業」については、あらたに内容が改変されているが、公開された行政文書を検証したところ刷新とは程遠く、これまでと同様にアキタカターンズへの利益供与の疑いが残るようだ。 

 地域おこし協力隊員のサポートに要する経費については特別交付税で措置されることになっており、その限度額は「1団体当たり2,000千円を上限とする」と設定されている。つまり、2,000千円までは交付税措置されるが、それ以上の支出については一般財源で賄うことになるため、各自治体は事業費をこの限度額以内に収め、一般財源を持ち出さないよう常に工夫をしている。
 ところが安芸高田市は、今年度の予算措置として、この業務の予算に限度額を大きく超える3,267千円も計上しているのだ。これは石丸時代からの担当者がアキタカターンズに、お手盛りで利益を供与しようとの配慮からではないかとの疑念が生まれる措置といわざるを得ない。

 また、業務契約に当たって、予算を策定するため参考見積書をその担当課は業者から取得しているが、取得業者はお約束のごとく合同会社アキタカターンズ1社のみ。あいも変わらずの出来レースは健在のようだ。(なお、公開された参考見積書は日付がなく、その数字が予算額と一致することなどから、いかにも出来レースらしく予算策定時に取得したものと思われる)
 ちなみに、この「地域おこし協力隊活動支援業務委託事業」業務の遂行については、当の代表社員も「出来レース」と発言していたことを確認している。

見積りの詳細の項目はなく、ほぼ概算
よくこんなもので事業の受発注ができるものだと素人ながら心配になるほどお粗末なものだ

 さて、問題の「地域おこし協力隊活動支援業務委託事業」見積を開示資料から再確認しておこう。金額は下記の通り。

取得業者    合同会社アキタカターンズ1社のみ
参考見積金額  3,267千円
                    数量  単 価  金 額
内訳 活動支援(25,000円×12か月/人)  9  300,000 2,700,000
   事務管理費(10%)           1      270,000      270,000
       小 計                   2,970,000
                 消費税                    297,000
       合 計                     3,267,000

 今年度は〝地域おこし協力隊事業のドン〟ともいえる南澤議員の友人・知人など、新旧含めて9人の協力隊員が市に在籍している。したがって、1人当たり25,000円/月の12か月、9人分の支援費を見込んでいるのだが、1業者からのみの見積であることから、1人当たりの支援費が適正な金額であるかは当然のこと判断はできない。
 アキタカターンズからすれば1社だけの見積で他社との比較がされないことから、余裕でお手盛りの予算を見積に反映させてもおかしくはない。しかも、ここにはサポート業務に関わる従事時間数及び時間単価が記載されていない。(通常の委託事業では必ず従事時間数及び時間単価が記載してある)どのように支援しようが、あるいは支援すまいが「とにかく1人当たり1か月25,000円いただきます」と、いい加減な〝どんぶり勘定〟で見積っているのだ。
 これでは石丸時代の悪しき随意契約と、なんら変わるところがない。いまだに予算は「アキタカターンズによる詳細不明・根拠のない恣意的な参考見積」をそのまま採用して計上されているのだ。
 繰り返しになるが、石丸市政においては「財政再建」と称して市民の福祉や生活に関わる事業を切り捨て、闇雲に削減してきたことを考えると、特定の業者を優遇するズサンな事業が継続してきたことは異様にすら映る。しかも、この事業が市の財政を所管し過度な財政削減をしてきた企画振興部のものだというのだから、開いた口が塞がらないとはこのことだろう。

失われた4年を取り戻すとき

 今回の実施設計書の作成にあたっては、開示文書に参考見積書が存在しないことや、実施設計書の内訳書の構成、数量及び単価の設定方法からして、予算策定時にアキタカターンズから取得した参考見積書をそのままトレースしていることが見て取れる。

実施設計書(内訳表)
                 数量     単 価    金 額
活動支援2年目(11か月分)    2      286,000     572,000
                                                       (26,000円/人・月×11月)
活動支援1年目(10か月分)    7      260,000   1,820,000
                                                       (26,000円/人・月×10月)
採用後赴任までのフォローアップ 50時間    3,000          150,000
             計                     2,542,000
一般管理費            1式                            254,200
              小計                     2,796,200
        消費税10%                      279,620
        合計                   3,075,820

 前表にある「採用後赴任までのフォローアップ」で、なぜ数量を50時間に設定したのか、時間単価をなぜ3000円に設定したのか、開示請求文書にその内容を示したものはなく、その根拠はまったく不明だ。極めて恣意的に設定した数字ではないかと疑われて当然だろう。
「採用後赴任までのフォローアップ」は、表向き「協力隊員に対する懇切ていねいな対応」を目的としているが、市外から採用した市職員に対しては、このような対応は一切していないという。せいぜい採用担当課が相談に応じる程度だ。
 協力隊員は会計年度雇用職員として担当課に所属し、担当職員の指示・監督を受けるのが建前であるから、フォローアップが必要であれば担当課が行えばいい。アキタカターンズに委託する必要など、まったくないのだ。
「採用後赴任までのフォローアップ」についても、同社に過剰な利益を与えるためにとってつけた業務ではないかとの疑念が消えない。

さらに、入札について見てみたい。
 アキタカターンズの随意契約に関わる疑惑が市民の間に知られるようになったために、表向き1社だけの随意契約は避け、今回から「事後審査型条件付き一般競争入札」になった。ところが実態としてはアキタカターンズ以外の業者が参入することは極めて困難な条件になっている。
 『業務概要』に「協力隊員と協力隊OB・OGのマッチング」という条件が付いているのがミソだ。他の自治体の協力隊OB・OGが、わざわざ土地勘もない安芸高田市までやって来て、不慣れなサポート業務と引き換えに月額26,000円の報酬で納得するとは考えられない。しかも、参考見積をアキタカターンズ1社からしか取得していないことからもわかるように、同社に発注しつづけたために、協力隊業務はすべてアキタカターンズのツバが付いており、残念ながら現状では他の業者がノコノコ入札に顔を突っ込める環境にはないのだ。
「事後審査型条件付き一般競争入札」と競争入札をうたってはいるものの、すでにお分かりのようにこの事業はアキタカターンズ1社を想定してのものと考えてもよく、事後の審査でいくらでも難癖をつけて蹴ることもできるわけで、よほどマヌケな業者でない限りホイホイと参加するようなことはしない。現実に広島県内の業者を対象を広げながら他に応札がなかったことからも、その実態は知れようというもの。「アキタカターンズご指名競争入札」とでも改名した方がいいような制度といえそうだ。

 アキタカターンズとの間でこうしたなれ合い・癒着が未だにつづいている事態は、石丸時代の悪政がいまだにゾンビのごとく市に蔓延している証左ともいえるだろう。
 このような憂慮すべき事態にあって、今なお石丸市政の継承を訴え、また石丸的政治を賛美する候補者が何人も立候補していることを市民は憂慮し、慎重な投票行動を取るべきだろう。(敬称一部略)


❊この記事は書きかけです。




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