おめでとう、鳥谷選手!
きのうの29日、衣笠祥雄氏のフルイニング連続試合出場が途切れた日のことを書いてすぐの試合で、阪神・鳥谷敬選手の連続試合出場がストップしてしまった。
交流戦がはじまったスタートの日に、彼の記録は終止符を打つことになった。
この対ソフトバンク戦は0対1。緊迫した場面がつづいたために「使う場面がなかった」と、ついに金本監督は“温情采配”を封印した。
数日前だったかチーム事情も考慮して「起用しないこともあると伝えた」との報道もあって、この日は遠からずやってくることは衆知のことだったが、いざその現実を前にするとやはり複雑な思いがある。
衣笠さんはフルイニングが途絶えたときの心情として「同情されるのが一番嫌だった」と述懐されていたが、鳥谷選手もきっと同じような心境なのだろう。
試合後、鳥谷選手は「(記録は)いつかは止まるもの。いい時も悪い時もけがをした時も使ってくれた(歴代の)監督に感謝したい」と語っている。もちろん本人にとっては残念な結果だろうが、温情起用に対する批判を考えれば一面ホッとした気持ちもあるにちがいない。
これで鳥谷選手の記録は1939試合。衣笠さんの日本記録2215試合につづく歴代2位に止まった。しかし「プロ入り即のスタメンから」となれば歴代1位のはずで、これは立派な記録だ。
連続試合出場をどう見るのか、衣笠さんが語っている。
「この記録は独特のものだ。1年間フルに出場しても、何の表彰の対象にもならない。2年、3年、5年とつづけても同じだ。それでも選手はそのためにモチベーションを掻き立てる」と。
だからこの記録は、記録を破って初めて表彰の対象となるという「独特のもの」なのだ。
また誰もが対象となりうるわけではないという意味で、この記録は価値がある。従って、この“連続出場レース”に参加し得たというだけでも鳥谷選手は賛辞を受けてもいいのだ。
だからあえてここでは言っておこう、
「おめでとう、鳥谷選手!」
と。