11月30日
3時半に目覚め、枕頭でヴァルター・ベンヤミン「ベルリンの幼年時代」(編集解説 小野昭次郎・晶文社刊)を読む。昨夜からのつづきで、30分ほどで最後まで読みきった。といって読了感はなし。行を追っても戻っても、リアルタイムで文章が頭に入ってこないのだ。イメージの飛躍にオツムが追てい行けず終始カオス状態だった。
原爆開発の「マンハッタン計画」にかかわった科学者たちの多くがヨーロッパからナチスの迫害を逃れてきたユダヤ系の科学者だったことはよく知られたことだが、ベンヤミンは、(科学者ではなかったがゆえに)ナチから逃れきれずスペインとの国境で服毒して果てることになった。その運命の非対称に興味がわいて読んでみたのだが、求めたような内容を汲み取ることはできなかった。迫害を逃れたパリで幼時を回想して書いたわけではなく、それ以前に新聞などで発表していたものを手直し(みんな手直しが好きだ)したもので、ナチスの影が覆う前の時代のベルリンなのだ。それでも未来の不吉な予言めいた箇所は散見されて、連想の飛躍がベンヤミンの霊性からきているらしいことは知れた。いずれ時がきたら再度読んでみるつもり。
ベッドのなかで、ここ最近の懸案事項についてしばし黙考。
5時に床を離れてデスクに就く。7時過ぎまで執筆。
「世界は広島をどう理解しているか」今日は中国・台湾・香港編に目をとおす。
リビングに下りると、喪中ハガキがテーブルの上に置いてあった。今年の3枚目。いずれ年賀状の数よりこっちが多くなりそうだ。
夕方からWOWOWアートドキュメンタリー「モネ」観る。このシリーズは音楽がいい。引き込まれるようで心地よく、折々に居眠りしてしまう。調べてみたらREMO ANZOVINOというピアニストらしい。
そのあと映画「聖なる犯罪者」。少年院帰りの青年が偽司祭となって本物より本物らしいくなっていくという成長譚。偽医者が患者の信頼を得ていく鶴瓶の「ディア・ドクター」の宗教版かいなと斜に構えて観ていたが、映像の美しさ、ストーリーの深みにどんどんハマっていってしまった。偽者対決はこのポーランド映画に軍配だ。
夜の食事時に缶ビール1、映画を観ながらスコッチの湯割り一杯で、ひとり飲みはお開き。
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