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KODPのフルデコスタジャンと2000年前後の日本語ラップの思い出(後編)

前回書いた記事の続き。

今回も2000年頃の日本語ラップと僕について書こう。

ちなみに今回も最初に書いておくけど、出てくるラッパーのうちムロさんだけ敬称をつけてるのは単に単語としてのリズムの問題なので悪しからず(2文字の"ムロ"より4文字の"ムロさん"の方が語呂のリズムが良い)。最近は何が炎上するから分からないから、一応ことわっておく(笑)

謎のクルーだったエルドラドとKODP

さて夏のB BOY PARK 2000のテーマソングや秋のHIPHOP ROYAL2000で日本語ラップのクルーについて少しずつ詳しくなってきたことまでは前回話したけど、このさらに後日本語ラップを聴き込んで行くなかで僕はシーンにとって重要な2つのクルーを知ることになる。

それはブッダブランドのデブラージが率いたエルドラドとムロさんを中心としたKODPの面々。

エルドラドというのはデブラージが1998年に設立したインディーズレーベルで活動期間は2002年まで。代表格のランチなんかが正にそうだけど、所属メンバーは基本的に"デブラージがフックアップすることでシーンに対して紹介した人たち"だった。

そんな彼らエルドラドクルーはシーンのカリスマだったデブラージが"認めた"人たちと言うことで、当時のヘッズたちにとって影響力は絶大。ただし、2001年にメジャーデビュー前のランチがインディーズベストを出した以外、作品は全て12インチシングルでCDしか聴いてなかったエンジョイ勢にはなかなか全貌が掴みにくかった。

もう一つのKODPが今回のメイン。こっちはキングオブディギンことムロさんのクルーなんだけど、これも当時のヘッズ目線では全貌がよく分からなかった(ちなみに今もわからない)。エルドラドと違ってレーベルというわけでもなかったし、普通にニトロのメンバーの一部とかも入ってたからね。

イメージ的には、ムロさんを中心とした音楽好き仲間たちの緩い繋がりみたいな感じだったのかな。ラッパーやDJだけじゃなくサベージの店員さんなんかも構成メンバーだったっぽいし。

KODPの背番号

ただ、このKODPのクルーには背番号みたいなナンバーが与えられていて、特にニトロの面々なんかは、ムロさん=キングとの共演時にはこのナンバーをよくアピールしてた。

スウォードが#10、ゴアテックスが#13、スイケンが#16みたいな具合で、当時クルーメンバーはムロさん関連のCDライナーでもナンバー付きで紹介されてたから、そういうのを見るだけでもちょっと楽しかったんだよね。

さっきのエルドラドクルー同様、このナンバー持ちKODPの面々も"ムロさんに認められた人"って感じで、僕はこの番号を持ってる人たちに憧れていたのをよく覚えてる。

服屋のメンバーなんかがいたこともあって、Bボーイ的にめちゃくちゃオシャレだったしね。

ちなみにいま調べたら↓のページに明らかになってるナンバーの一覧が載ってるみたい。(デブラージのナンバーは当時明らかになってなかったような気もするけど)

Sweeeet Baaad A*s Encounterのリリースパーティー

そんな感じでKODPに憧れていた僕にとって思い入れ深いのが2003年2月に渋谷クアトロで開催されたSweeeet Baaad A*s Encounterのリリースパーティーライブ。外部ゲストも交えたKODPクルー総出のライブって多分このときくらいしかやってないんじゃないかな。

当時スペースシャワーTVで中継されてた画像がYoutubeにも上がってるけど、これ生で見に行ったんだよね。最前列2列目くらいの真ん中にいたから、ビデオを見てると「これオレかも?」と思うときがたまにある(笑)

ビデオでも分かると思うけど、特に盛り上がったのはアンコール前ラストのChain Reaction。当時いろいろなところでコイツはヤバいって噂されてたトコナXが会場に現れた際の圧縮は今でも忘れられない。

あまりの盛り上がりっぷりに、今映像を見てもその前のビグザムがちょっと可哀想になるもんね。ちなみにCDやビデオでは消されてる箇所は「聾(つんぼ)」って言ってる。

あとはなんと言ってもアンコールで登場したデブラージ。実は当時出演者としてアナウンスされていた中になぜかデブラージの名前だけなかったんだよね。

「まさかこれだけ豪華メンバー揃ってるのに来ないの?」
「いや、クレジットないけどさすがに来るよね?」

そんな疑心暗鬼のなかさっきの大盛り上がりChain Reactionで一旦幕になって、「やっぱり来なかったか…」と落胆してたところ、アンコール中盤で満を持しての登場。

ムロとデブラージという日本語ラップの大ボス二人だけによるおそらく過去唯一のがっぷり四つ共演は、文句なしにこの日一番盛り上がった。この二人の生共演の瞬間は2000年頃から始まった日本語ラップバブルの一つの頂点だと思う。

例えるならこのときはスラムダンクの山王戦ラストで、流川が桜木に最初で最後のパスを出した瞬間みたいなもの。その後あれだけ盛り上がったシーンが嘘みたいに急速に停滞していくところまで含めてね。


僕自身このライブのあとは憑き物が落ちたみたいに熱が冷めたので、日本語ラップはほとんど聴かなくなってしまった。

その後MSCや韻踏合組合みたいなグループが出てきてコアな日本語ラップファンの間で人気になったのも、メジャーシーンでクレヴァがどんどん売れっ子になってったのもはたから見てたけど、自分的にはあんまりのめり込むことは出来なかった感じだ。

でも、まぁそれから20年以上経った今でもあの頃いっときハマった日本語ラップのことはよく覚えてるし、こうして今年スタジャンまで買ってるんだから、自分にとってはやっぱり大切なものなんだろう。

正直いまの日本語ラップのシーンとか全く知らないし興味もないけど、憧れだったKODPのスタジャンに袖を通すとあの頃の気持ちを思い出して、ちょっとだけBボーイ魂が蘇る。

そういう意味では今年のクリスマスプレゼントもまぁいい買い物だったのかな。なんとなく渋谷に着てくのはちょっと気恥ずかしい気がするけど、それ以外の街に行くときはしばらく積極的に着ていくことにしよう。

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