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アフロフューチャリズムとエジプトについて
前々から気になってた本を買って読んだ。イターシャ・L・ウォマックという著者がアフロフューチャリズムについて書いた本で、もともとは2014年に発表されていたものが昨年翻訳されたもの。
今はまだ普通に買えるけど、この手のニッチな翻訳本で内容が良いものは店頭から消えると再販もなく高騰化するのが最近のトレンドなので、まぁ買えるうちに買っておこうと思ってさ。
で、感想と言うわけでもないんだけど、読んでる間じゅうずっと引っかかってたことが一つ。エジプトっていうほどアフリカ文化圏なんだっけ?
アフロフューチャリストたちの憧れ
サン・ラーにしろEW&Fにしろエリカ・バドゥにしろ、アフロフューチャリズムを提唱するミュージシャンは古代エジプト文化が好きで、よくモチーフとして使いがち。
アフリカ大陸で紀元前3000年頃からある人類最古の古代文明で、ピラミッドやらツタンカーメンの金のマスクやら壁画やら、エキゾチックで分かりやすい象徴がたくさんあるし、進んだ天文学を持っていたりもするから、SF的に使い勝手が良いのはとてもよく分かる。
ただ、少し考えてみるとエジプト文明って実際にはアフリカの文明というよりは地中海の文明なんだよね。人種的にもアフリカ起源の純黒人ではなくって、あのあたりの白人黒人の混ざり合った混血中心。それを黒人文化の起源みたいに言うのはちょっとどうなのかって思うんだよね。。。
たとえばサン・ラーの映画なんかでも文化や音楽の黒人起源説を補強するために「すべてはエジプトから始まった」みたいなことを言ってるけど、見ていてちょっと違和感があった。
ニンジャ、サムライと同じなのでは?
彼らが一方的にエジプトに求めてる憧憬って、文化的社会的背景は違えども、根本的には日本に対するニンジャ、サムライ憧れとあんまり変わりがなくて、それってどうなんだろうと少し感じる。
と思ってネットを調べたら下の記事を見つけた。どうやらNetflixでクレオパトラを黒人にしたドラマを制作したようで、エジプト人側から怒られてるみたい。。。
まぁやっぱりそうだよなって感じ。
僕はブラックミュージックが好きなこともあって、そういう素養が全くない人と比べたら、多少はアメリカ黒人の歴史とかも勉強してるし、ブラック・ライブス・マターなんかにもそれなりに理解はあるつもりだけど、それとこれとは話が別というかさ。
相手がある話なんだから、己の憧れや主張を具現化・正当化するために史実をねじ曲げるってのはやっぱり良くないよね。
この辺の感覚は黒人とは言っても、やっぱりアメリカはアメリカだなぁと思う。。まぁおおざっぱな部分まで含めてアメリカ人らしさと言えばそれまでなのかもしれないけどさ。
というわけで今日は本を読んで感じたことをつらつらと…。
ちなみにこんなことを書いたけど、僕はアフロフューチャリズムの描き出すビジュアル的なイメージ自体は決して嫌いではなくむしろ好き。
サン・ラーの映画も内容はともかく、ビジュアルと音楽は全編かっこいいなって思ったしね(笑)
ちなみにサムネでカマシ・ワシントンの前に飾ってあるインベーダーの謎ピラミッドは、昔シンセイっていう会社が出してたタイムロックザインベーダーっておもちゃを飾ったもの。
特に意味はないけどなんとなくスペーシーでいい雰囲気かなと。アマゾンではアホみたいなプレ値で売られてるけど、全然こんな値段では買ってないので悪しからず・・・。