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レトロテクノのすすめ
突然だけど、ふと先日紹介したお気に入りの自作曲をプロが作った曲の中に混ぜて聴いてみたらどんな風になるか試してみたくなった。今回の曲は自分でもわりと出来がいいと思ってるし、混ぜて選曲してみてもいい雰囲気になるんじゃないかって思ってさ。
で、完成したコンピレーションがこれ。今日はこのコンピに入ってるような雰囲気の曲について記事を書こうと思うから、多少でも気になった人は流しながら読み進めてもらえると嬉しい。
Retro Techno Nostalgia
Love Take Me Over / Area 10
Techno Music / Juan
Aftermath / Reel By Real
The Chase (Smooth Mix) / Model 500
Whistle Whistle / ALF
Come Closer / Project 625
Take Me Away (Pin Up Girls Remix) / True Faith feat. Bridget Grace
Indulge / Neal Howard
Now Is The Time / Terrence Parker
I Believe / Octave One
Blackhole In The Sun / Nu Era
Interplanetary Cruise / ALF
Jupiter Jazz / Underground Resistance
ALFって書いてある2曲が僕の曲。この名前は最初に曲を作ったとき部屋にあったアルフの人形が目について便宜上付けた名義だから、正直名前にあまりこだわりはない(笑)
自分で言うのもなんだけど、ある程度選曲を工夫した部分もあり、間に入る自作曲もそこそこ違和感なく流れで聞けるよう仕上がった気がする。
今回メインで使ったのは80年代後半〜90年代前半にかけての黄金期デトロイトテクノ。90年代中盤以降ヨーロッパから出てくるフォロワーたちの曲やジェフ・ミルズ以降のミニマルではなく、この黄金期デトロイトテクノを選曲の中核に据えた理由は一つ。良い意味で音の質感がチープだからだ。
テクノミュージックについての誤解
実は僕自身、テクノをしっかりと聞き始めるまで誤解してたことなんだけれど、テクノって実はデジタルでハイファイな音楽じゃなく、その本質はアナログでローファイ。その語感からなんとなくハイテクな印象を受けるから、最新機材とハイスペックPCを駆使して作る攻殻機動隊みたいな近未来サウンドをイメージしがちだけど、実はそんなこと全然ない(笑)
これはテクノの成り立ちを考えるとわかる話なんだけど、テクノという音楽はそもそも80年代後半のデトロイト(やシカゴ)で、音楽好きの若者たちがエントリーモデルの安い日本製シンセサイザーを1〜2世代古い型落ち品で購入して、周りの仲間たちに機材の使い方を教えてもらいながら見様見真似で作った音楽。だから精神性という意味ではパンクなんかとも近い。ちなみにこれはシカゴハウスも同じだ。
音楽の構造はシンプルだし複雑なことはしてないけど、そのチープさと初期衝動だけで作ったがゆえの荒々しさが逆に魅力。プリセット丸出しの音色ばかりで曲作りしても全然OKみたいなね。シカゴハウスとかデトロイトテクノってそんな音楽だと思ってる。
もう少し後になって、電子音を追求したり深化させていくAIシリーズ以降のピュアテクノやエレクトロニカ、それからミニマルテクノなんかになるとまた話は変わってくるけれど、少なくとも80年代後半~90年代初期までの曲、つまり古典的なテクノはだいたいそんな感じだ。
レトロテクノという秀逸な表現
この古典的なテクノを指す表現で僕が気に入っているのが「レトロテクノ」という言葉。英Networkレーベルから1991年にリリースされた"Retro Techno / Detroit Definitive - Emotions Electric"というコンピレーションのタイトルで使われたものだ。
雑誌remixの企画で出たコンピタイトルの「コズミックソウル」という表現も秀逸だけれど、個人的にはこの「レトロテクノ」も同じくらい響きが良いと思ってる。語感から受ける印象が僕の好きなレトロフューチャーに近くてなんとなくノスタルジーを感じるし、古典テクノの音の質感にもばっちりハマるからさ。
そして僕が最近趣味で作ってる曲が目指している方向性もまさにこのレトロテクノ。当時の人が使ってたような機材の再現モデルで、同じような雰囲気に仕上げることをコンセプトに曲作りをしてるし、実際わりと初期衝動だけで作ってるからそれなりに雰囲気は近づけられてるはずだ。
僕の曲の出来は相当にチープだけど、当時のレトロテクノも同じくらいチープだから混ぜても違和感がないみたいなそんな感じ(笑)音楽的にはレベルが低い話だと思うけど、自分としてはこのスタイルでそこそこ納得いってるし悪い気はしない。今回のコンピはこのレトロテクノをテーマに、自作曲も交えながら、わりと良い感じに世界観を表現できてると思ってる。
僕が好きなスペースエイジだったりレトロフューチャー特有の、なんとなくちょっとノスタルジックな雰囲気というかね。
さてさて、そんな感じで今日は最近作ったレトロテクノのコンピとその周辺について書いてみた。色々語ってはみたものの、自分のオリジナル曲が往年の名曲に混ざってスピーカーから流れてくるのは単純に嬉しい。
完全に自作自演だけど自分がいっぱしのトラックメーカーになったような気分になるから、聴いてると楽しくなってきて自然とお酒も進む(笑)DJやってる人で自分で曲作りまでしてるような人は、きっといつもこんな気分なんだろうね。
テクノの中でもこういう雰囲気が好きな人って少なからずいると思うから、そういう人に共感してもらえると嬉しい。あとはこないだ紹介したPファンクとか好きな人にもわりとおすすめかな。良かったら記事やコンピの感想などコメントしていただけると励みになるので、ぜひよろしくお願いします。