秋の気配

秋の中に寝転がっていると、水面に浮かんでいるような心地になる。気持ちが沈めば水底に沈み、気持ちが浮けば空の上に浮いていく。
ささらと流れる紅葉した葉、遥か高い場所にある鱗雲。それらがゆっくりと風に流されて、澄みきった穏やかな気持ち。
虫の声が囁くと、すすき野原にたっているかのよう。そこではただ美しい音色が茂みのあちらこちらから響き、風に揺れるすすきの穂が心地よい音を立てて揺れる。透き通った風が彼方から吹き抜けて、またどこまでも遠くへと去っていく。

いいなと思ったら応援しよう!