京都音楽博覧会2024 レポート 上巻
2024年10月12日13日の京都音博博覧会に参加した。京都水族館の目の前にある芝生の梅小路公園はもと国鉄貨物駅だった広大な広場だ。(最近開放されたJR大阪駅北側のグラングリーンもよく似た歴史)
私は2015年から参加している。途中コロナ禍では配信での開催だった。配信の良さを活かし練り上げた編曲と編成で、京都のライブハウスや彼らの母校立命館大学で行われた。音博をなんとしても毎年続けるんだという覚悟が見えた。
2022年は梅小路に戻ってのリアルフェスとなった。毎年9月のお彼岸連休の頃に行っていた音博を10月に変更するという大胆な決断もあった。声出し不可、スタンディングエリアもアーティストそれぞれ整理券の番号順だった。まだコロナの影響が残っていたものの、現地での音を聴けるのがこんなに幸せなのかと思った。
2023年には2日間開催の声出し可能スタンディング出入り自由。ああ日常が戻ってきたと心より開放感を味わえたのも音博あってこそだ。
いままでの音博も毎回素晴らしかった。2024年の音博はこれまでを凌駕するものだった。
10月12日土曜日 1日目
CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN
CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUINは、どこの国の音楽?ほんとに令和の若者たちなの?変拍子好きのくるりファンに合致する音楽だと思う。
音博にとっても向いているし、彼らの音はずっと聴いていられる。
「琉球Boogie Woogie」は細野晴臣氏の「ルーチュー・ガンボ」を思い出さずにはいられない。
きっと何十年後には伝説のバンドの前身となっているだろう。どんな進化を遂げるか楽しみだ。
KIRINJI
岸田さんがかつて「お互いにこだわりが強い」と言っていたくらいだ。
兄弟が別れてあと進化を続ける兄、堀込高樹氏はバンド編成をどんどん変えて、アンニュイでメロウ、都会的な楽曲を作り続けている。そしてくるりに負けず劣らず変態展開で飽きない。
私は兄弟のころのキリンジをめちゃめちゃ追いかけていたので、久しぶりお兄ちゃんな気分でスタンディングでみていた。
弟・泰行氏がメインボーカルのときの兄・高樹氏はコーラス的な役割で歌で聞かせる立ち位置ではなかった。(不安定な音程が不穏なキリンジ楽曲に合っていたともいえるが)
現在はKIRINJIとしてフロントマンを張るようになり、コトリンゴや弓木英梨乃などを擁した大編成を経て、現在は自由にメンバーを召喚している。
女声ボーカルメインの楽曲もたくさんあるが、基本的に高樹氏が歌っている。キリンジ解散から10年経って兄は歌声に艶とコシが備わっていい気持ちで聴ける。
令和のバンド編成って自由だなと思う。自由に入れ替わって素敵な音楽ができればそれでいい。
小田朋美さんがメインボーカルを取った「killer tunetune kills me」は膝から崩れそうなくらいの色気だった。あんなふうに歌いたい来世では。
KIRINJIのライブ見に行くの再開したくなったな。これも音博の効用。
このYouTubeが今回のKIRINJIにとても近い。
羊文学
3ピース、どこにそんな秘めたパワーがあるんだろうといつも思う。横浜アリーナの単独にも行ったし、フェスでも3度目。そのたびに引き込まれる音。
どこにも似ていない、誰にも媚びない音楽だな。
3年連続3回目の来年の音博にも出てほしいなーと言ってると、一緒に行っていた娘が
「スタンディングがパンパンすぎたからもう無理やろ」
という。羽ばたいちゃうのね羊ちゃんたち。でもまた音博でパフォーマンス見たいなと思う。
ASKA
初めてだけど、曲はすんごい知っている。テレビを見るみたいに仰ぎ見ていたら、隣の男性がメガネを上げて何度も涙をぬぐっていた。ASKAさんへの想い、いろいろあるだろうな、これだけファンが強固だとアーチストも幸せだ。
高音が出にくいんだと冒頭ASKAさんご自身がおっしゃってたが、分厚く力強い声が心にどーーんときた。お初のわたしのような観客のためにヒット曲もたくさん歌ってくれた。「はじまりはいつも雨」、よかった雨降ってこなくて。
音博はすぐに雨雲を召喚するのでどきどきするんだよ。
10月13日日曜日 2日目
milet
miletちゃん病欠と開演前に発表があった。ぎりぎりまで出演を探ってたんだろうな。
めっちゃ残念。なぜなら彼女自身が「ただのくるりファン」として音博に何度も参戦していたということで、こちらくるりファン側の期待もめちゃ高かった。勝手ながらmiletちゃんを「こっち側やん」と取り込んでいた。
出演発表になった時、「よかったねmiletちゃん」とつぶやいたくるりファン勢は多かった。
来年こそ元気に出てくれると思う。楽しみがひとつ増えたよ。
SHOW-GO
ヒューマンビートボクサーってなに?と思ってたがとんでもなかった。彼に必要なのはマイクのみ。喉と鼻腔と声帯と腹筋背筋を駆使して曲が奏でられるのをびっくりしながら見ていた。ラジオで音だけ聴くのと実際に目で確認するのは違う。ひとりバンド編成(楽器なし)。
最後の曲の前に
「こう見えてめちゃくちゃ体力使うんです」
と弱気発言をするところがかわいい。
どこの筋肉をどう動かしているのか全くわからないので文章にならない。
動画を見ましょう。
北海道出身だが今は京都在住らしい。そういえばASKAさんも現在京都在住らしく、なに?芸能人はこぞって京都に住むの?やっぱり移住するかー。
玉井詩織(ももいろクローバーz)feat.武部聡志
アイドルを見た。マイクチェックも後ろ姿ももちろん歌う姿もめっちゃかわいい。これが洗練された第一線のアイドルなのか。
13時の西向きのステージはだんだんと陽がステージに入ってくる時間帯。私の記憶の中ではピンスポが当たってるように改ざんされてる。きらめいていたから。
アイドルのライブはもちろん初めてだが、スタンディング前方にいるガチ勢の動きを真似て、タオルを回したり腕を振ったりしてた。楽しむことを楽しんだら、幸福感が3倍増しに。しおりんの心意気のあるスマイルに心をつかまれた。かわいかったなー♡これがアイドルの効用。
平野和
平野和さんはバス・バリトン歌手。グランドピアノを弾く奥様と共に、彼も喉とマイク一本で勝負する方だ。
事前にセトリを上げられていた。
平野さんが「クラシックはセトリをあらかじめ発表するので、下調べして聴くとよい」とおっしゃっていた意味がわかる。
割とクラシックのコンサートには行っているが、全然予習しないでいく不良です^^;
特にマーラー「原光」が良かったな。マーラーを梅小路で聴くとは。なんだか光の階段が見えるようだああああと思っていた。
あとで調べると「神のもとにとどまりたい」といった『マーラー 交響曲第2番 (復活) 第4楽章』の一部であることがわかり、納得納得。
天に召され感があった。美しい楽曲の数々だった、至福だった。
予告されたセトリが全て終わってからなんと、聞き覚えのある音階がピアノから聴こえる…。瞬時に鳥肌がたった。
「Remember me」だ。
いままで平野さんの歌声を聴いていたのだから間違いがない。歌い出す前から感動が約束されている。
どうしよう、と立ちすくんだような気持ちで聴いた。
「Remember me」は「ファミリーヒストリー」エンディングで何度も流れることで、くるりの楽曲であることを超えた存在だと感じている。
全ての人の人生を愛する歌、誰の人生も肯定する歌、美しい曲だ。力強くて柔らかいところは、たおやかな歌声とピアノだった。
この曲が昇華されたような気がして泣いた。
フジファブリック
来年2月末で活動休止の発表。フジのファンの人たちのことを思うと胸が詰まる。
屋外で見るフジファブリックはもしかするとフジのファンのみなさんも最後なのかもしれない。私もしっかり見届けようと思った。
彼らは重いものを背負って覚悟を決めて再始動している。かかわる人みな心に涙を秘めている気がする。
今回演奏された曲は湿っぽくならず楽しい気分にさせてくれる選曲だったと思う。
「Feverman」は琉球音階で、振り付きの面白い曲だった。ファンの皆さんに従って一緒になって踊った。
11月10日の3マンライブin大阪城ホールにも行くし、予習もかねていたが、ラストに「若者のすべて」を持ってきたら泣くやん。
夕暮れの梅小路の空を見上げながら聴いた。気持ちよかった。
後半へ続く。
くるりとDaniele Sepe & Galactic Syndicateのことしか書いていないのに、超長文記事が出来(しゅったい)しました!!↓
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