要さんがお腹を向けて、前を走ってくれるから
要さんは、ご存知ながら水を得るといっぱい喋る。「更に言うと」が口癖。
「5分の曲を20分かけて紹介する」が持ちネタ。
スタ☆レビの作品には、
メイキングや副音声など、
舞台裏を見せるアイテムが
半端ない濃さで、付録になっている。
CDなのに、なぜかライブDVDが付いてる。
お得とか、サービスとかという観点も
さることながら、
スタ☆レビとは何かを、
余すとこなく、感じてほしいという思いが
ビシビシ伝わる。
アルバム『Heaven』に収録されている
「Gently weeps」は、
要さんが、エリック・クラプトンへ捧げた作品。
でもそれは、歌を聴いただけでは分からなくて、
要さんが、解説を細かいとこまでしてくれて
初めて解ること。
その話を聴くと、今度は歌の中身を、
自分に照らし合わせて聴くようになり、
私にとっては、この歌詞がまさに、
スタ☆レビとの思い出に変換されていく。
私が要さんの歌を聴いて、
自分の人生に思いを馳せるのは、
音楽の舞台裏を
見せてくれることももちろんだけど、
要さんがどんどん自己開示をしてくれることが、
代理経験となり、そこに自分の人生を
重ね合わせていけるエンジンオイルにも
なるからだと思う。
要さんは、自分の思いをストレートに語る。
だから、とりとめなく聴こえることもあるし、
公共の電波では、聞き手の方にサラッと
フォローされてることもある。
(でも、「本音は人を傷つけない」って、カウンセラーの根本裕幸さんが言ってた。この言葉は言い得て妙だと思う。)
語りすぎないほうが魅力になる
という考え方もある。
聴き手に、想像の余地を残しておくのも
れっきとした表現方法。
でも、要さんは語りまくる。
だけど、要さんは最初からそう、
ではなかったように思う。
こないだのラジオでも、ヤンタンの頃は
喋ってなかったと言ってたけど、
確かに笑ちゃんが、
「いつものようにもっと語ればいいのに。」
「本を書けばいいのに。」
って言ってたのを思い出す。
発言の濃さ率が高いから、
有難いお言葉やぶっちゃけトークも
たくさん聴いてはきたけど、
歌詞とかMC になると、
どちらかというとベールに包まれたような、
抽象的でキレイなイメージだった。
そのギャップもよかったんだけど…
でもだからこそ、
それが変化していったことに
価値を感じてる。
★
「My Love」に「死」という単語が使われ、「Heaven」では、
「天国にいつか行けますか」と問う歌詞に、
当時の私は、「え?」って思った。
要さんもよく語られているけど
この頃に、プロデューサーさんのアドバイスで
歌詞が変化し、
確かに要さんの自己開示や、楽曲解説は、
加速度を上げていったように思う。
その裏には、
少しずつの自己承認もあったのかな、
と感じたりもする。
あるとき、なにかの記事で要さんは、
「今の状態は自分の5%ぐらいしか、
みんなに知ってもらえてない。
全部とは言わないけど、
50%ぐらいは自分のことを
みんなに知ってほしいから、
これからは伝えていきたい」
みたいなことを話していた。
私がスタ☆レビ潜水中だった頃、
地元ライブでしか要さんに会わず、
オンエアチェックもしてなかったから、
要さんのMCの変化が、
今思えば、とても分かりやすかった。
いつのツアーだったか覚えてないけど、
確か一人参加で、柿沼さん側で、
要さんは、もうロン毛じゃなかった
光景だけ覚えてる。
「若い頃は自分でどうにかすれば
解決できる悩みが多いけど、
歳がいくにつれて、仕事や家庭の問題や、
一人ではどうすることもできない悩みに変わる」
というような内容だった気がする。
すごく具体的な、現実的なMCに違和感さえ感じた。
はっきり言えば、ライブ中に現実に引き戻された。この頃は年齢差的に、
要さんの経験が、まだピンとこない私だったけど。
それでも、
前の旦那と別れようか悩んでいたとき、
それを良しとしなかった友人と言い合いになり、「一人ではどうすることも
できんことがあるんよ!」
と、捨て台詞を残した記憶が甦った。
そこが重なり合って、
現実に戻ったあとの歌は、
いつも以上に沁み込んだ。
それ以降、私の経験は徐々に、
要さんに追いついていくことになるのだけれど。
★
元来、自分軸を持っていたとしても
敏感さのほうが勝ってしまうと、
自分らしさを、外に出せないこともある。
それでいて、信念を曲げずに
自分の中の正義を貫いていくことを
やめられないこともある。
そんなカオスの自分にもがきながら、
いつの日か、
「自分への否定」も、
「自分にとっては正しい」に変わる。
それを確信したとき、
「自分の在り方」と「周囲の環境」が一致し、
怖かった『自己開示』ができるようになる。
そして、自由になる。
今、「還暦少年」で底抜けに明るく
『老い』を歌う要さんは、
『子供』に戻ったみたいに、自由だ。
★
子供の頃から、我が強くて、
思いを曲げることができなくて。
でも大人になって、
いろんな人に出会うたびに身の程を知り、
自分以外のところに価値を求めて
着ぐるみを着たり、
着なかったりしていた私も。
要さんのモデルを見ることで、
いつか背中のチャックが下がるときが
来るのかもしれないと、
ちょっとだけ勇気をもらえるのだ。
チャックが古くて、最初の力が要るけどね…💧
でも、要さんの人生のペース配分が、
私に、明るい希望と目標を与えてくれる。
人生後半で、急激なグラフの上昇を
迎えてるように見える要さんは、
案外、一番幸せなパターンなんじゃないかと。
単純に引き算すると、
要さんの歳まで、
あと16年ある。
きっと大丈夫。
動物占いは「大器晩成のタヌキ」だから、
『君は大丈夫!』だと、
自分に言い聞かせる。