![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/155300104/rectangle_large_type_2_0ea82ade1725b26dd5a4682461f96635.png?width=1200)
スイスワインの地⑥ DREI-SEEN:3つの湖
3つの湖沿いにあるブドウ畑はなだらかな丘陵地帯に広がっていて、
4つのAOCを持ちます。
※AOCとは”Appelation d'Origine Controlee”の頭文字。日本語で『原産地統制呼称』の意味。
湖があるために気温を和らぎ日光を反射させるので、夏のピークの暑さは軽減され、ブドウの木への霜の影響は緩和されるエリアです。
また、Molasseと粘土質土壌により、質の良いPinot Noirの生産に成功しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1727044869-cf7Y0MjK2PbBvL6x4XW9k3Rw.png?width=1200)
Molasse
ヨーロッパ・アルプス北縁部に分布する新生代古第三紀漸新世から新第三紀中新世にかけての大部分非海成の地層。斜交層理のよく発達する礫(れき)岩、砂岩、泥岩からなる。石炭層や石灰岩層を挟み、砂岩は石灰質であることが多い。級化層理は発達せず化石を多く産出する。
三つの湖の生産地について
![](https://assets.st-note.com/img/1727035161-TYQJWF1mPjMygxGa7Kep2bt4.png?width=1200)
Vaud, Fribourg, Neuchâtel, Bern
![](https://assets.st-note.com/img/1727035194-bsWHejwxKBaTOAgn9Xh5pU0N.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1727035307-yMAtf2WcNCiFVgQGJekSKE46.png)
AOCを面積の広い順に見ていきます。
AOC Neuchâtel
![](https://assets.st-note.com/img/1727036144-nxQdEbXP74z8TfIRkZpg0Hrq.png?width=1200)
Neuchâtel湖の西岸に接するこのエリアは、最も広い面積(約610ha)を
形成しています。
主にPinot Noir(ピノ・ノワール)が栽培され、白ワインもChasselas(シャスラ)が有名です。ただし、特産品としてスパークリングワインや多くの賞を受賞したシャルドネも生産されています。
Pinot Noirからは赤ワインだけではなく、このエリア発祥のロゼワイン、L'œil-de-perdrix(ウィユ・ド・ペルドリ)が生産されます。
AOC Lac de Bienne
![](https://assets.st-note.com/img/1727038127-NVdpU8nR6zHq7ay150Jegrbh.png?width=1200)
Bienne湖に接するこのブドウ畑は約220haにわたります。哲学者ジャン=ジャック・ルソーが滞在した、St-Pierre半島も含まれます。
このエリアの特徴である石灰岩が大半を占める土壌で、ChasselasとPinot Noirが主要品種です。Pinot Noirは属製のタンクか木製の桶、またはオーク樽で熟成されるため、個々に風味が異なります。
2000年代にブドウ畑が再編成され、小規模ワイナリーの実力が発揮しやすくなりました。また、AOCのルールに柔軟性があるため、かなり多様な品種のブドウが生産されています。
ただし、特に一流の生産者は様々なブドウを栽培できる好奇心にとらわれず、伝統的な品種で堅実なワインづくりを重ねているそうです。
国際ブドウ品種:Chardonnay, Pinot Gris, Sauvignon Blanc, Pinot Blanc, Gewurztraminer, Riesling-Sylvaner
Changins研究所により開発されたブドウ品種 : Gamaret, Garanoir, Diolinoir.
近年注目されるブドウ品種:Malbec, Syrah, St-Laurent, …
余談:このエリアの生産者は”完璧な”フランス語を話すとあえて記載があり笑みがこぼれました。
選ばせていただいた写真は、良くスイス人画家によって描かれるスイスらしい空(灰色でどんよりしている)だと感じます。
AOC Vully
![](https://assets.st-note.com/img/1727039803-AxIrufVUDF7mSCHtNMWaQdg3.png?width=1200)
スイス高原の丘にその名を由来するVully AOCは、Neuchâtel湖とMorat湖の間に位置する150haのAOCです。
Vaud(フランス語圏)が50ha、Fribourg(ドイツ語圏)は100haを占めます。
恵まれた気候と、対比が面白く、ワインの質が高い(ダイナミズムのある)エリアとして愛飲家に知られています。
対比
フランス語⇔ドイツ語
Neuchâtel湖⇔Morat湖
Vaud⇔Fribourg
伝統的なワイン栽培技術⇔若いブドウ栽培者たち
Vullyで選ぶなら、Pinot NoirかGewürztraminerでしょうか。
Pinot Noirは土地の雰囲気がよく出ており、Gewürztraminerはライチのような独特なアロマを持つ、フルボディからミディアムボディの白ワインを生み出しています。
AOC Cheyres
![](https://assets.st-note.com/img/1727039684-oPcT8nxlYkhOpBZHDygsJAIQ.png?width=1200)
Cheyresのブドウ畑はNeuchâtel湖の南岸に接しており、約14haヘクタールのみを占めます。
『3つの湖』エリアの中でも、Fribourg州の唯一のブドウ畑です。
この地域はワイン生産に非常に適した局所気候(Microclimate)の恩恵を受けています。
局所気候(微気候)
周辺の気候と異なる独特な気候条件を形成したエリアのこと
Cheyresはワイン畑自体は小さく、生産者さんたちはワインだけで生計を立てることは難しいと、Broyardワイン生産者協会の前理事は述べていました。
エリアそのものは湖とGrande Cariçaie自然保護区に近いため、多くの観光客が訪れています。
Grande Cariçaie自然保護区
3000haを超える、スイス最大のラムサール条約の湿地保護地域の一つ。浅い湖岸、湿地帯、氾濫林、森林の崖で構成される。
このエリアの表現するワインの一つに、Grivevinがあります。
この産地を代表する黒ブドウ、Pinot Noir, Gamaret, Garanoirをオーク樽で数か月熟成して作られます。
Cheyresの風味がすべて詰まっており、オリジナリティが表現されています。