スイスのブドウ品種③ COMPLETER:コンプリター
スイスでも珍しいブドウ品種です。
2007年のスイス全体の栽培面積はわずか2.58haでしたが、その魅力が認められつつあり、2022年には10ha程度まで増加しています。
その珍しさと歴史性
複雑なアロマと豊かな骨格
辛口で比較的酸度が高いため、熟成に向いている
原産地
ブドウ品種DNA分析学者José Vouillamoz博士による調査によれば、
Completerの起源はイタリアとフランスの国境付近です。
Graubündenに持ち込まれた経緯にはいくつか説があります。
1300年頃に移動したワルサー人によってGraubündenに持ち込まれた
ベネディクト派の修道士によって導入された
いずれにせよイタリア起源説は、Completerがイタリアのブドウ品種であるMarzeminoやPignolo Spanoと親族関係にあることからも支持されています。
2002年まではGraubündenのみにて知られていましたが、最近Valaisの
Vispでもわずかながら栽培されていることがわかりました。
Completerの名前の由来
Completerは、複数の説がありますが、926年あるいは1321年のチューリッヒ大聖堂の文書に言及されています。
DNA分析結果
Conpleterは古い品種のため親はわかりませんが、スイスではCompleterは「古い成長」(Old Growths)というブドウ品種群に分類されています。
いくつかのDNA分析により、Valaisの以下のブドウ品種の祖先や親族であることがわかっています。
これらのブドウは、基本的には自然交配で新しく誕生してきました。
スイスのAgroscopeが2015年から2020年にかけて行った調査及びクローン選抜により、Completerは重度のウイルス感染のないクローンを、スイスの認証セクターを通じて配布することが可能になりました。
Completerから作られたワインの特徴
過去20年間に植えられたCompleterは、古い株から選抜され、早熟で比較的酸味が低い特徴を持ちます。
早熟なのも相まって、Completerの栽培には大変難しく、最も温暖な場所でのみ良好なワインを得ることができます。
マルメロ、熟したリンゴ、プラム、はちみつの複雑な香りと豊かな骨格があります。
名前の由来から、厳かな気分に浸りたいときに飲むのもおすすめです。
クリスマスなどいかがでしょうか。