90年代のSMAPを聴いて

きっかけは「赤ずきんチャチャ」

最近、SMAPばかり聴いている。

2月11日からアニマックスで「赤ずきんチャチャ」の放送が始まり、そのオープニングテーマがSMAPの「君色思い」だからだ。香取慎吾はメインキャストの1人であるリーヤの声優も務めている。

wikiによるとこの番組、1994年1月から1995年6月まで放送されていたらしいが、SMAP絡みの権利関係のせいか、CSでもずっと放送されていなかった。自分も本放送以来、25年振りぐらいに見ている。女児向けアニメではあるけれど、当時見ていたのは姉がいたから、母がSMAPのファンだったから、といった理由だ。

同じ枠でその前に放送されていた「姫ちゃんのリボン」も見ていたが、こちらでもオープニングテーマで「笑顔のゲンキ」、エンディングテーマで「ブラブラさせて」「はじめての夏」「君は君だよ」といったSMAPの楽曲が使われていた。当時のテレ東では冠番組「愛ラブSMAP!」も放送されていて、自分が子供の頃に親しんでいたアイドルと言えばSMAPだった。当時は未だ6人で、スマスマが始まる前の話だ。

Smap Vest

すっかり懐かしくなって色々思い出してしまい、初期のSMAPを聴こうと「Smap Vest」のディスク2を聴いてみる。これは2000年までのシングル全曲を過去に遡るように並べたベスト盤だ。「赤ずきんチャチャ」や「姫ちゃんのリボン」の曲は、子供向けアニメらしく優しく寄り添うようなメッセージが妙に沁みる。ここのところ個人的にも人生の岐路を感じるところなので、君は君だよ、なんてメッセージを歌われたら思わずちょっぴり泣いてしまう。

ベストのフリした"再構築盤"「COOL」

もっと初期のSMAPを重点的に聴きたくなり、次に「COOL」というアルバムを再生した。1995年1月1日、デビュー3年4ヶ月のタイミングで初めてのベストアルバムとしてリリースされた作品だ。シングル曲が中心で、収録曲はその後リリースされたベスト盤とも重なる部分が多い。

しかし今作、驚くほどに侮れなかった。トラックが全面的に生演奏に差し替えられ、ファンクやフュージョンを思わせるゴージャスなアレンジに仕上がっている。確かに当時のSMAP作品は演奏に海外の超一流ミュージシャンを迎えていて、一部の好事家から支持されているのは知っていた。ただ、ベストアルバムという触れ込みでここまでやる作品もそうそうないと思う。リミックス、リマスタリング程度の話では全くない。

初期のアイドルらしい楽曲も、そのポップさを損なわないまま格段にグルーヴィーになっていた。まさかあの「笑顔のゲンキ」が原曲よりぐっとテンポを落とし、落ち着いたフュージョン系のアーバンな仕上がりになっているとは...!ヴォーカルがリテイクされた曲もあり、しっかりと予算と労力を割いて丁寧に作られているのがよくわかる。

しかしリミックスやヴァージョン違いの表記がない為、原曲をイメージして手に取ったファンの中には違和感を抱く人も一定数いただろうと思う。単なるベストアルバムとは別の呼称があってもいいぐらいだ。(個人的には"再構築盤"と考えている) また、ここでしか聴けない当時の新曲もあり、コアなファンなら決して素通りしてはいけない作品だろう。 

SMAPが残したもの

全曲通して聴いてみて改めて思った。2010年以降の女性アイドルブームにおいて、"楽曲派"と言われたようなグループがやってきたこと――――例えば初期の東京女子流やGALETTeが発表してきたソウル~ファンクをベースにしながらも聴き手を選ばないキャッチーな楽曲、その源流は90年代のSMAPにあるのではないか。 うるさ型のコアな音楽ファンを納得させる一方で、音楽に造詣の深くない人でも全く気にせず楽しめる。つまり聴き手を選ばないポップソングであるという事だ。

自分自身もまた、意識せず触れていたSMAPの曲によって知らず知らずのうちに音楽的教育を受けていたのだと思う。早くも更なるSMAP作品を聴き始めているけれど、その話はまた次回。

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