人参のうさぎ(ショートショート)
今年は卯年ですね。あまり面白くは無いと思いますが、ショートショートをどうぞ。
「うさぎ?」
「いや、俺の名前はうさぎお兄さんだ。」
うさぎのような葉っぱの耳に目の位置にある切れ込み。人参である彼はうさぎたちの注目の的だ。
「オレ、うさぎお兄さんの端っこを食べたことがあるぜ。うますぎて倒れちまった」
「おおー!」
うさぎたちはグルメだったので、我先にとうさぎお兄さんを食べたがった。
うさぎお兄さんは食べる代わりにと条件を出した。
富士山まで競走し、10位以内の人たちはそれぞれ絶品の味噌汁を作る。みんなが食べて、一位を決めるんだ。
うさぎたちは一斉にスタートした。
だが、富士山の上で半分が高山病にかかってしまった。
「大丈夫?」
うさぎたちは思いやりの心でかれらを背負っていった。
「うわああ」
でも、皆かかってしまった。
「頭痛い…」
2日後、彼らはやっと到着した。
一位、うさぎ。二位、うさきち。三位、うさえ。四位、う。五位、さ。六位、ぎ。七位、うさ。八位、さぎ。九位、うぎ。十位、ぎさう。
うさぎお兄さんはにっこりして、それぞれにホカホカのおしるこを配る。
「味噌汁大会,スタート!」
順番にできた物からみんなは食べていった。
野菜盛りだくさん味噌汁。「うまい!」「うさぎには絶対必要」
シンプルイズダベスト。「味噌だけ?」「日本で1番高級なのを使ってます」
ワカメ豆腐味噌汁。「やっぱこれだよね」
他にもたくさんあったけれど、皆んなは結局この三つを選んだ。
「うさぎお兄さんはどう思い…」
1匹のうさぎが後ろを振り返ると、うさぎお兄さんは10mもの大きさになっていた。みんなの必死な思いが彼を成長させたのだろうか?
「みんな!早く俺を食べてくれ!太陽で焼けちゃう!」
結局仲良くみんなで食べ、うさぎお兄さんの子孫代々はうさぎ達と共に過ごしましたとさ。