本のはなし3

 noteを書き始めて自分の本棚を見返すことが増えました。

 何度も読み返して表紙がぼろぼろになった本あり、読もうと思いつつまだ読んでいない本あり、数年後に読み返したら自分が思っていた結末と違っていたという本あり。

 今回は何度も読んで表紙のふちがぼろぼろになりつつあるものを。

『村田エフェンディ滞土録』梨木香歩(角川文庫)

 1899年、トルコに留学した村田青年と、同じ下宿に住む人々のお話しです。
 私はトルコに行ったことはないです。今行ったとしても作中とは全く違うトルコなのだと思います。 しかし、私の中のトルコはこの物語と中の、強い日差しと乾いた砂の匂いなのです。

 人種も、今までの生活も、信じる宗教も違う人々との穏やかな生活。時に現れる不思議。この方の描く不思議は現実との塩梅が絶妙だな、と思います。あってもおかしくない不思議とでもいえばいいのでしょうか。そして近づく離別のものさびしさ。
 全てがいとおしいお話しです。
 学生の時、この本を読んで知らない土地の土のようなお話しだな、と思いました。
 最近読んで、旅で、自由とは、誰かを知るとは、という自分の心を動かす風のようなお話しだと思いました。

 また数年後、読み返したらまったく違うものを感じるかもしれません。それも楽しみです。

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