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成人の日に“成人たち”と考えた「大人」について

1月13日、令和最初の成人の日。

HOTEL SHE, KYOTOで、赤澤えるさんとコラボした一日限りのイベント「成人たちの日~PARTY FOR ADULT~」が開催された。

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ことの発端は、およそ1年前に赤澤さんが「NEUT Magazine」の連載「記憶の一着」で、龍崎と対談をしたこと。龍崎が選んだ「記憶の一着」は「BAO BAO ISSEY MIYAKE」のバッグで、成人式に出なかった龍崎が自分で買える“良いもの”として当時選んだアイテムだった。対談の最後に2人は「晴れ着を着ていくための場所を作ろう」「じゃあ来年の成人の日空けておきます」と盛り上がった。あれがはじまりで、ほんとうにイベントを実施できることになった。


イベントのタイトルは「成人たちの日」。「成人式」ではない新しい選択肢として、"大人であること"を祝う日にしようという思いが込められている。成人式を楽しんだ人も、流されるがままに式典に参加した人も、参加できなかった人も、参加は自由。ただし、成人であること。ホームパーティのようなアットホームな空間で、大人であることを祝い、乾杯する。

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当日はなんと、えるさんの友人でもある燃え殻さんが特別ゲストとして来てくださることになった。著書「ボクたちはみんな大人になれなかった」で知られる燃え殻さんは「大人であること」を祝うイベントにぴったりだ。

赤澤える/LEBECCA boutique(レベッカブティック)ブランド総合ディレクターをはじめ、ファッション分野を中心に活動。特にエシカルファッションへに対し強い興味・関心を寄せており、自分なりの解釈や表現を織り交ぜた講演や執筆を精力的に行っている。

燃え殻/1973年神奈川県出身。都内のテレビ美術制作会社に勤務。会社員でありながら、小説家、エッセイストとしても活躍。週刊SPA!にてエッセイ『すべて忘れてしまうから』を連載中。新潮社yomyomにて小説『これはただの夏』を発表。2017年6月30日、小説『ボクたちはみんな大人になれなかった』(新潮社)がベストセラーになる。


真冬の京都の、すごく暖かなホームパーティ

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当日はたくさんのゲストの方々が集まってくださった。普段よりも少し薄暗いロビーにきらきらと装飾がなされ、ピザやウェルカムドリンク、コラボスイーツなどが用意された。来てくださった方々もみんな飛び切りのおしゃれをして来てくれた。

もちろん、えるさんのブランド「LEBECCA boutique」のお洋服を着ている方もたくさんいた。みんな自然と打ち解け、ほんとうにホームパーティを開催しているんだと感じた。真冬の京都の、すごく暖かいお部屋だった。登場したえるさんは、誰よりも”真っ赤”なドレスで、イベント冒頭に自身の思いを語ってくれた。

「大人」ってなんだろう

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イベントのメインコンテンツは、燃え殻さんを交えた3人のトークショー。テーマは「大人」について。「大人」ってなんだろうということについて、燃え殻さんはこう話していた。

「小説を書いた時に厳格な父親からは『おまえは大人になれなかったな』と言われた。たしかに、ぼくは父親が思う理想の大人にはなれなかったけれど、その代わりにいろんな素敵な人たちにも会えて、今日もこうやってみなさんに会えました。たぶん、世の中には『大人』は存在していなくて、大人のふりをするのが上手い人と下手な人がいるだけなんだと思う」。

「ふりをする」のが上手いかどうか。たしかに、みんな、子どもの心を隠して、大人のふりをしているだけなのかもしれない。

だけど、大人になったと感じる瞬間も確実にある。「小学五年生でサンタがいないことを悲しいと感じず受け入れられた時(龍崎)」とか「自分の作ったもので誰かが喜んでくれて、それが自分の幸せだと感じられた時(えるさん)」とか「どうしても勝てないことを認められた時。できないことを認めると、人に優しくなれた(燃え殻さん)」とか。

そうやって誰もが「大人を演じること」を少しずつ自然と覚えていくものなのかもしれないなあと思った。えるさんが「今ここにいることの積み重ねが大人になることなんじゃないか」って言っていたのも、すごく納得できた。

じゃあ「成人式」ってなんなのだろう?

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もう一つのトークテーマは「成人式」ってなんなのだろうということ。子どもから大人への成長はグラデーションなはずで、本来は節目を設けることでその変化を自覚する“イニシエーション”的な意味があるはずなのだけど、「成人式」自体が形骸化してしまっており、地元の同窓会としてしか機能していないんじゃないかという話だった。当日来てくださったゲストの方々からも「中学時代のリア充たちのパーティでしかなかった」「いじめられていたから行けなかった」などの声が多くあった。

「(何をやるのか、どこに参加するのかを)自分で選択できないこと」が「成人式」のかかえる大きな問題なんだろうなと、えるさんがまとめていたが、その通りだと思った。「かつてはSNSもネットもなく、ほんとうに小学校の同窓会でしかなかった。感覚の合う人とつながれる今の時代にはもっと違うバリエーションが作れるだろうし、参加したいと思う」と燃え殻さんも言っていたように、今回のイベントもそんな新しい選択肢になれたのならうれしいなと思う。

知らない人が心地よくつながれる不思議な空間を目指して

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そうして、1時間ほどのトークはあっという間に終わってしまった。会場には不思議な一体感が生まれていた。いろんなことが腑に落ちたイベントだった。

21時の閉場後も宿泊付きのプランを予約してくださった方々は、そのままロビーを利用してみんなゆったりとした時間を過ごしていた。あの、なんとも言えない、エンドロール感がたまらなく良い。ゲストも登壇者も関係なくロビーでくつろぐみたいな。これはホテルの特権。そんな空気は「成人式」にはないはずだから。

かつて「平成最後の夏」を祝う「平成ラストサマー」というイベントをHOTEL SHE, OSAKAで開催したのだけれど、今回のイベントも同じようにバイブスでつながる大人たちが集まれる場になれたのならよかったなと思う。知らない人でもつながれる不思議な空間。心地良い空気。ホテルはそれを演出できる。来年もまた同じイベントができたらいいな。

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さて、最後に、燃え殻さんが話していた以下のような話が一番グッときたので紹介したい。

「何かをやって失敗しても、ダメだったかどうかを決めるのは人じゃない。自分が挑戦して失敗しても、何もしなかったよりはいいんじゃないと思えたら、それでいいと思う。若いうちに何かを見つけなきゃいけないとか、なしとげなきゃいけないとか、そんなことはなくて、それは40歳でも60歳でもいい。やってみて最後まで失敗しても、死ぬときに『なんにもできなかったね』って笑ってくれる人がとなりにいたら人生それでいいじゃん」

以上、まったくまとまりのないレポートになってしまったけれど、そんな素敵なイベントだった。

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