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詩人・最果タヒさんとコラボしたコンセプトルーム「詩のホテル」実現までの舞台裏

今回は「HOTEL SHE, KYOTO」で昨年12月にオープンした詩人・最果タヒさんとのコラボルーム「詩のホテル」について振り返ってみたいと思います。これまでイベントで客室を使ったことは何度もありましたが、ここまで作り込んだコンセプトルームを宿泊部屋として貸し出すというのはL&Gとしても初の試みでした。ハラハラドキドキ、だけど圧倒的にワクワクした企画の裏側について、収支感なども含めてお伝えできればと思います。


Twitterでのやりとりから始まったコラボ企画


ある日、最果さんの書籍の装丁や展覧会のデザインを手掛けてきたデザイナーの佐々木俊さんがこんなツイートをしていました。このツイートから最果タヒさん、青山ブックセンターの山下店長、彼と仲の良い弊社企画の角田とつながり、私のところにリプが飛んできたのでした。

これは何かの運命だと思いました。「最果ての旅のオアシス」がコンセプトの「HOTEL SHE, KYOTO」と最果タヒさんのコラボ。自分でも忘れかけていたほどはるか昔、いつか最果タヒさんとコラボしたいと夢見ていたのです。深夜にすぐグループチャットを作成し、DMをしました。お互い即決でした。当然この時には収支計画など全く考えてもいません。お互いの「絶対に楽しい!」という感情だけでコラボ企画が動き始めたようなものでした。

興奮冷めやらぬ翌朝にはきちんとメールで依頼をしました。その時のメンバーは最果さんとわれわれに加えて、佐々木さん、(過去の詩を使うかもしれないということで)最果さんの詩集をこれまで何度も出してきた出版社のリトルモアさん。メンバーがそろいました。

そして、4月の中旬頃。DMから1カ月と経たないうちに、最果さんと佐々木さんとリトルモアの編集担当の方が京都へ来るタイミングがあり、はじめての顔合わせミーティングを「HOTEL SHE, KYOTO」で行いました。この日はお部屋の下見をしてもらって、想像を膨らまし、コンセプトや方向性についてやりたいこと・アイデアを出し合う形で終了しました。ちなみに、「詩のホテル」プロジェクトを中心となって手がけてくれた角田さんの一番最初のメモにはこんな風に書かれています。

企画の方向性:詩に泊まる/詩と暮らす。展示というよりは、部屋の至る所にその場所/物にまつわる詩が隠れている。隠れている詩を探して楽しむ。

それからまた1カ月後に佐々木さんが京都へ来る用事があり、京都で二度目のミーティングを実施することができました。その日に何も言わず、佐々木さんがいきなりデザインを持って来てくださったのです。これはその時に見せていただいたPDFの一部です(この時点でこの完成度、すごすぎる・・・)。「HOTEL SHE, KYOTO」のいたるところに、最果さんの言葉が散りばめられていて、最初に話した通り、言葉を探しながらお部屋に泊まることができる。

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この企画に合わせて、詩の朗読をしたレコードも作りたいというアイデアをいただきました。以前から最果さん佐々木さんが作りたいと考えていたもののタイミングがなく、レコードを扱う「HOTEL SHE, KYOTO」の企画に合わせることで、お部屋で聞いてもらうことができるだろうということでした。もちろん私も大賛成です。しかも、レコードの制作と販売はリトルモアさんがやってくれるということで、是非ともお願いをすることになりました。


全く収支が合わないことが判明

実施時期は余裕を持って12月にしようということになりました。これには「HOTEL SHE, KYOTO」の都合もあって、秋は繁忙期なので、すでに予約が入り始めており、複数のお部屋をキープすることが難しい状況だったのです。閑散期が始まる12月に合わせてコラボルームを実施することで、ゲストの方が増えるというのは「HOTEL SHE, KYOTO」にとってもありがたいことでした。

しかも、その半年前の5月時点で、すでに大枠のデザインとやりたいことが見えている。あとは、それらを少しずつ具現化すればいい。と、この時はかなり楽観視をしていました。その後「HOTEL SHE, KYOTO」が繁忙期に差し掛かったことや、最果さん佐々木さんもお忙しいということで時が流れ、本格的にコンテンツの制作を始めたのは9月の終わりころ(!)でした。ちなみに、最初のTwitterでのやりとりの時点でたくさんの方からコラボに対する期待の声をいただいていたので、それ以後はお互い企画を進めていることを一切出さないようにしました。あえて隠しておいて、きちんとタイミングを合わせてリリースをしようということです。

こうして、佐々木さんが作ってくださったデザインをもとに、壁に貼る詩やオブジェ、詩のアート、マグネット、スリッパなど、どんなアイテムをお部屋に置くのか。実際に何を作ろうかということを話し始めました。具体的なコラボ先やアイテムの発注先を探し始めて、すぐに難題にぶつかりました。そう、お金です。収支を考え始めると、これがもう全く合わないのです。

最初にも書いたように、これまでイベントでお部屋を装飾したことはありましたが、宿泊部屋として貸し出すためにお部屋を作り込んだことはありませんでした。イベントならその日の集客見込みから粗利益が見えるので、お部屋にどのくらいのお金がかけられるかは想像がつきます。基本的に「詩のホテル」でも同じ考え方をしていて、特別な体験として宿泊費用にいくらかの代金を上乗せし、そのぶんを制作費に回せばいいのです。

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しかし、

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