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野球用語は何故物騒なのか【死球】
睡蓮です、どうも。
復帰後、初のコラムです。解説記事じゃないのでゆるーく口語でいきます。
画像はAIに描かせた「死球」です。謎。
初といっても消える前に一度書いているので、焼き直しなんですがね。
以前のアカウントでは『現役ドラフト(希望)』でした。実際に実現するとはね。消えたのが惜しい。
それはともかく。
野球用語は怖い
イメージがない方もいるかもしれませんが、野球用語はかなり漢字が怖いです。
例を出すと
・死球(hit by a pitch )
・無死、一死、二死(out count)
・補殺(assist)
・刺殺(put out)
・盗塁(steal)
・併殺(double play) など
「死」「殺」「盗」「刺」「暴」と言った危険な漢字が使われがちです。
ファンは気にもしませんが、知らない人が見たら震えそう。
歴史
野球は元々アメリカのスポーツ。
日本へ伝わったのは、明治と言われています。
「Baseball(ベースボール)」を「野球」と訳したのは、ご存知の中馬庚。
第一高等中学校で二塁手として活躍した中馬が、卒業時に「ベースボール部史」の執筆。その中で「Ball in the field」という言葉をもとに「野球」と命名しました。
その後、中馬は、明治30年(1897年)に『野球』を出版。これは日本で刊行された最初の野球専門書で、日本野球界の歴史的文献と言われています。
因みに中馬庚は野球殿堂入りを果たしています。
そして野球用語を広めたもう一人の人物がご存知の正岡子規。
中馬庚が「ベースボール」を「野球」と翻訳する4年前に、本名の升(のぼる)をもじった「野球(の・ぼーる)」という雅号を使っています。
正岡子規は現在まで使われている漢字の野球用語を多く残してします。明治29年に新聞『日本』に連載した随筆『松蘿玉液』の中で、子規は「打者」「走者」「死球」「直球」「飛球」などと野球用語を漢字に直し、ベースボールについて詳しく紹介しました。
正岡子規も野球の普及に多大な貢献をした功績が認められて、2002年に野球殿堂入りを果たしています。
考察と時代背景
上記の歴史を踏まえると、犯人は中馬庚と正岡子規です。
何故彼らは、野球用語の翻訳に物騒な漢字を選んだのか。
・(steal)=「盗塁」
というような直訳はまだしも、
・(pitch by hit)=「死球」は悪意しかない。
「当たったら死ぬほど痛いから」みたいな理由ではないでしょう。
ここからは考察の域を出ませんが、おそらく時代背景が関係しているのかもしれない。
野球用語が誕生していく明治時代には、1894年に日清戦争、1904年に日露戦争と日本が江戸時代からの鎖国を止め、富国強兵へと歩みを進めた時代。
外来のスポーツを【戦】と捉え、物騒な漢字に置き換えたのだとすれば合点がいく。
調べてみると「塁」とは 砦を意味する。砦とは外敵の攻撃を防ぐ要塞のこと。
そして本塁に帰ってくることを「生還」という。
これらの訳は戦争と野球を同一視した結果なのだ。多分ね。
余談
この後アメリカは敵国となり、野球用語が敵性語と見なされ、すべて日本語に置き換えられました。
プレーヤー:戦士 ホームチーム:迎撃組 ビジターチーム:往戦組 グラブ:手袋 セーフ:安全、よし アウト:無為、ひけ ストライク:正球・よし ボール:悪球・だめ 三振:それまで フォアボール:よっつ ヒット:正打 ファール:圏外 バント:軽打 など
そしてルールも戦争仕様で
・打者は球をよけてはいけない
・隠し球の禁止
・「盗塁」の文字を「奪塁」に変更
・選手の途中交代禁止
・9回表で勝負がついても、敵を徹底的に打ちのめすために9回裏の攻撃もあり
というのがあったそうな。
この辺りは使いづらいから戻ってよかったね。