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意味がわかると怖い話・ホラー短編|取材記録1『黒い百合』
2023/05/05 高橋裕介さん取材の文字起こし
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あー…えっと…これもう撮ってるんですか?
あっ、そうなんですね。分かりました。
あんまり怖くないかもしれないんですけど…いいですか?
すみません…。ありがとうございます。
えっと、4日前の話なんですが、同じサークルの友人3人と心霊スポットに行ったんですよ。
はい、ここら辺で有名なトンネルです。
雰囲気は怖かったんですけど、特に何も無く帰りました。
その次の日から、家のポストに花が入れられるようになったんです。
花屋で働いている友人いわく、リナリアの花らしいです。
紫色の小さい綺麗な花でした。
そのまた次の日は、シャクナゲが入っていました。その日に、大学の学食で食中毒者が続出しました。
偶然かもしれないんですが、その花を思い出して俺…大学の学食をたべなかったんです。
なぜかその日は、食べたくないなって思って…。
昨日は、スノードロップ?っていう花が入っていました。
開花時期じゃないから珍しいらしいです。
今のところ特に何も無くて…その日以来、花は入れられていませんでした。
スノードロップがとても綺麗で珍しいといわれたので、すぐに押し花をつくったんです。
花言葉も凄くいいものだし友人3人に配ってお守り代わりにもっています。
それが良かったのかもしれませんね。
とくに怖いことは無いんですけど、俺の不思議な体験でした。
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取材の次の日、高橋裕介さんと友人2人が車の事故で亡くなったと花屋の友人の方から連絡があった。
葬儀は3人合同で行われた。
棺の中には黒い百合がぽつんと3人分置かれており、存在感を放っていたそうだ。