放送大学で通称名使用が認められるまで
こんにちは。水蜜桃です。
今回は、ぼくが所属している放送大学で通称名使用を認められるまでの経緯をまとめたいと思います。
現在、日本のいくつかの大学では、性同一性障害の方が、戸籍名とは違う心の性と合う通称名を使うことが認められつつある流れがあるようです。うれしいことですね。
しかし、性同一性障害を理由とする通称名使用が認められない場合、認められたとしても使用のための手続きが非常に煩雑な場合、それ以外の理由での通称名使用が認められない場合はまだまだ多くあるようです。
ぼくの場合は性同一性障害ではなく、「虐待環境下で使用されていた名前を現在も使い続けることへの著しい苦痛及びそれによる学業への支障」を理由に、通称名使用を申請して、認められました。
これは、通称名使用として認められる理由の拡張の事例として、とても大きなことだと思います。
また、以下に書くのと同じように手続きを進める人が増えれば、大学は学生生活における通称名使用のニーズを認知し、もっと簡便な手続きのシステムとなるように方針を切り替える動きも出てくるかもしれません。
もし通称名が使いたくても使えないと思っている学生さんがいらっしゃいましたら、無理のない範囲で積極的に以下にまとめる方法で大学に働きかけてみていただけたらと思います。
では、実際にどんな手続きがあったか、お話していきます。
まず、在籍の学習センターに、通称名使用ができるか問い合わせたところ、通常氏名の変更は戸籍が変わった時にのみ認められるもので、戸籍が変更したことを示す書類を、氏名等変更届とともに提出することで受理されるとの説明を受けました。
そして、その場では、通称名の使用は認められるものではないと思うが、学籍簿記載の氏名(放送大学の学生証や学位記に記載される名前、対面授業時の呼び名等の学生生活で使われる氏名)の管理は各学習センターではなく、本部が行っているので、念の為本部に問い合わせてほしいとの旨を伝えられました。
そこで、放送大学で通称名使用が認められた事例があるかどうか調べてみることにしました。
すると、このnoteの最後に引用するAmebaのブログを発見いたしました。
どうやら、少なくとも性同一性障害を理由とした通称名使用を認める事例はあるようです。
そこで、それを踏まえて本部の総合受付に電話をしました。
まず、通称名使用したい旨を伝えたところ、学習センターでされたのと同じように、戸籍が変更したことを示す資料があって初めて氏名の変更が認められると説明されました。
そこで、上記に引用した記事のように、性同一性障害を理由とした通称名使用の事例があると指摘すると、学生課(shugaku-ka@ouj.ac.jp)に、詳しく通称名使用したいことについて詳細をメールで送ってほしいと伝えられました。
そこで、通称名を使用したい理由と、必要であればかかっている精神科の医師による、戸籍名使用することの苦痛とそれによる学業への支障を証明する診断書を提出する意思があるという旨をメールしました。
それに対する返信の内容は、
・放送大学では学籍簿に戸籍名以外の氏名を登録を希望される場合、放送大学委員会に諮り審議をすることになっている
・メールに添付してある「学籍簿記載の氏名変更申請書」と医師による診断書(通称名使用の理由や必要性の説明含む)を用意して本部に郵送してほしい
・審議にはある程度の時間を要する
というものでした。
それを受けて、指示の通り必要書類を郵送し、審議の結果を待ったところ、必要書類の郵送から3週間弱ほどで、学籍簿記載の氏名として通称名の使用を認めるという旨のお手紙が大学から届きました。
大学から通称名の使用が認められるまでの間は、戸籍名を使うことの苦痛や通称名が認められなかったら大学で学ぶことを継続することすら困難かもしれないという不安から何度も調子を崩しましたが、認められて本当にほっとしました。
虐待サバイバーとして、親から逃げるために日常生活に様々な制約を受けて暮らしている状態の中、学びの自由が保証されたことに、とても安心しています。
どうかこの記事が、放送大学に限らず、そしていかなる理由かに限らず、社会の中で戸籍名を使用することによる生きづらさや困難を抱えている人に届き少しでも参考になればと願っているし、そういう困難さを抱える人が周りにいるかもしれないと、そのニーズが社会に発見されて少しでも柔軟な社会になっていくきっかけになればと願っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
もしよろしければ、社会にこんなニーズを発見してもらうきっかけとなりますよう、この記事を拡散していただけたらうれしいです。
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