[詩]-左眼と老人-
コンタクトが外れた左眼の世界に私はいます
人間嫌々期が来たので
丁度良い塩梅だと思ったのです
見えなきゃいけないからそうしているだけで
本当はぼやけた世界を愛しています
右眼だけの世界は
何故だか作り物の様に映りました
左眼と右眼を交互に瞑れば
ゆらぎと定まりの領域は隔絶しているなどと
思いつくのでした
どちらに対して戻ると言うのでしょうか
そういえば午後に白梅を見ました
千両万両にパイナップルに仙人掌の花
庭に来たのはメジロではなくカラスでした
縁側に坐り話をした老人の眼は不自由でした
彼の見ている世界と私の左眼の世界
同じ世界を観れたのでしょうか
いいなと思ったら応援しよう!
