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手芸に石斧は入りますか

先史時代の工具に目覚めよ
えー、最初から脱線なのかもしれません。
この文章にはタイトルどおり最終的に石斧がでてきます。
でもたぶんだいじなことなので、書きたいと思います。石斧。

古い手工芸のブログを書こうと思ったときから、まずは先史時代の手芸の道具について下調べをすることにしました。そうなるとまあご想像通りの「原始時代」というのか、そのへんに落ちてそうな棒切れや石、骨をちょっとだけ加工したり組み合わせたりした道具が登場します。矢尻や打製石器、釣り針などです。

そこから時代が新しくなるにつれ、直線的に加工した角材や板で作られたものが増えてきます。そこでふと、それらを作った工具のことが気になってしまったわけです。
どんな道具にもそれらを作った工具があるはず。木の加工技術にどういう歴史があるのかを調べなければ前に進めないのではないか!という謎のオタク的確信に目覚めた私。

竹中大工道具館へ!
そこでついに行ってきました!竹中大工道具館(※2020年2月)。
結果からいうと、もっと早く行っていればよかったですね…!
行ける人は今すぐ行ってくださいって言いたかったけど今は新コロナのせいで休館されています。総合的にみて日本で有数の小規模ミュージアムではないでしょうか。

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見よ!和の大邸宅をおもわせるこの門構え。入る前から、建築に携わった方、維持する方の気合いがみなぎっております。さて、門をくぐると…

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なんていうんですか佇まい。美術館やお寺じゃなければ一生お目にかかれない系・平屋の高級木造建築。お庭も細やかな心配りが感じられます。以前の仕事の関係でお金持ちの住宅にはたくさん行きましたが、ここまで迫力のある建築にはなかなかお目にかかれません。
展示室はこの見えている部分の一階、そして地下一・二階。当時の企画展示は「仕口(しくち)」と呼ばれる木の組み方と「大工さん」の展示でした。館内も写真OKなのがうれしい!

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自然光の差し込む地下の中央には、国宝・東塔の大修理を終えたばかりの薬師寺の原寸大模型。新しい白木の状態で見るとボリューム感がすごい!

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こちらは北斎の浮世絵にあるやつ!板を切り出す大きなノコギリです。主な常設展示はこのような日本の大工道具です。世界の道具も少しずつありました。

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キャプションに夢とロマンて書いちゃってるし、用途はよくわからねどここは信じるしかない!とにかくすごい大きさの鉋(かんな)とティッシュレベルの薄さの鉋屑(かんなくず)。横幅30cm以上あったと思います。

石斧をさわろう!

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さて今日のお目当てはこちら!先史時代の工具の常設展示です。年表を見ると、刃物の素材については歴史で習う通り、石器→青銅器→鉄器を覚えておけば良いようです。ただしこちらの博物館の展示はあくまで日本史の範囲なので、青銅器の展示はありません。
※日本は青銅器と鉄器が一緒に渡来したため、工具としては鉄器より劣る青銅器の時代がないとのこと。

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ずんぐりした磨製石器の刃、かわいくないですか(安易な表現)。
出土品や復元品などが並ぶほか、視聴覚コーナーに縄文時代のコンテンツもありました。それによると柄には栗の木がよく使われていたらしいです。栗は耐久性があり水に強く、実は食べられるので当時から植林があったそう。

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弥生時代の石斧。日本列島での製鉄は古墳時代に入ってからと言われているので石器の使用も続いたそう。薄いグリーンの石斧とかちょっとおしゃれな感じしますよね。※個人の感想です

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石斧タッチコーナーキタ!もちあげることもできます。当たり前ですが重い。刃先はそれなりにとがっていますが、手が切れるような感じはまったくなし。この刃先でどれだけ木の加工ができるのでしょうか。

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ここにご用意したものがあります!
石斧の切り口のワイルドなこと…説明によるとぶったたいて繊維の筋に沿って剥がすような感じらしいです。視聴覚コーナーの映像では、直径30cmほどの木を切り倒すのに大人の男性が交代で5時間かかっていました…体への負担がすごそう。

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それにひきかえこちらの鉄斧!
鋭&利!
This is 文明!
最初にこの切り口を見た人の驚きが想像できます…!
鉄の登場はどれほど人類の生活を変えたのでしょうか。

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こういうのを見てると童話「金の斧」を思い出しますが、女神様は最後に鉄の斧もちゃんと返してくれたもんな。いきなり金や銀があっても、鉄なかったら明日から困るわ庶民。
現代ではまっすぐな木材や精密で堅牢な工具は当たり前ですが、昔の手工芸を考える上でこの印象は忘れたくないと思いました。

最後に、今回の反省点。もっとちゃんとカメラで写真をとればよかった!ということ。写真OKだと思ってなかったので、スマホでたくさん撮ってしまって時間が足りなかったです。あまりいい写真でないですが、他の写真も記録として以前に投稿しました。それではまた!


またすぐに行きたい美術館
https://note.com/suimi/n/na24af68c1cd9







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