#100巷で噂のChatGPTを調べ物に使ってみたら…(1)
今回は巷で噂のChatGPTを調べ物に使ってみるとどのような答えを得ることが出来るのか、について、歴史学に関わる範疇で試してみました。
インターネット黎明期から学生であったため、図書館での書籍の検索は、もちろんカード目録でした。そのため、思いつく限りの、ありとあらゆる言葉を書籍タイトルに見立てて検索して、先行研究を集めて研究史をまとめたりしていた世代ですので、図書館の電子目録やCiniiを活用できるようになり、またGoogleなどの検索機能でもさまざまな事項が検索して情報を集めることが出来るようになって、便利にあったという隔世の感があります。より網羅的に物事に当たる必要がでてきている昨今。もしAIでの検索がGoogleなどの検索よりも、より的確な結果が出るのであれば、AIの素晴らしい能力を自身の研究に生かすのに躊躇はいりません。ぜひ活用して、より詳細に情報を集めたいと思うのが人情です。そこで、どの程度の情報収集が出来るのかを、自身の研究に照らし合わせて検索してみました。これにより、検索結果の精度の判定も確認出来、また、もし自身の知らない研究論文や事実があればそれを参考に研究にフィードバック出来る、ということで試してみました。
まずは、自身の研究対象の大阪府初の貴族院多額納税者議員の久保田真吾について、その経歴を聞いてみました。これについては、Wikipediaにも掲載されている人物であるため、あまり広く知られていないにしても、少なくともWikipediaの情報くらいは最低限拾ってくるのではないか、という目算もあり、試してみました。
ChatGPTの答えは以下の通りです。
ちょっと思いもよらない回答で驚きました。実際の久保田真吾は大阪府出身ですので、秋田県出身というのはどこから引いてきたのか見当もつきません。念のため、秋田県立秋田中学校の創設者や校長に同姓同名、あるいは似た名前の人がいるのかも探してみましたが、該当するような人物にはたどり着きませんでした。
もう一つ別に、質問を立ててみました。こちらも自身の研究対象の、大阪府下で郡長を歴任した深瀬和直についてです。深瀬は、Wikipedeiaには土佐勤王党員として、幼名で掲載されているので、探し出すのは久保田に比べると更に難しいですが、国立国会図書館の所蔵する『河内忠勤つづら』という書籍の目次中で登場するため、インターネットの検索で出てこないという訳ではないので、探し出すことが全くの不可能ということではないと踏んで候補にしてみました。
ChatGPTの答えは以下の通りです。
久保田真吾に続いて、全くかすりもしません。こちらは現代の人物にされてしまっています。もちろん、現在にない名前ではないので、同姓同名の方はおられるかもしれませんが、念のため確認したところ、ファーストリテイリング、ユニクロにはこのような名前の役員はいませんでした。
ここまで質問してきて、いや質問が難しすぎるのではないか、とお思いの方も居られるかもしれません。では、一般的に辞書などを引いて回答を得ることが出来るような質問をしてみてはどうかと、著者も思いましたので、試してみました。質問は「大阪府選出の貴族院議員について教えてください。」としてみました。その回答が以下の通りです。
伊藤博文も久世広之、吉田茂、桂太郎も、誰一人大阪府選出の貴族院議員ではありません。何でしょうか、辞書的なものに掲載されているような内容のことであっても正答が得ることが出来ないようです。先の質問はWikipedeiaにも「大阪府選出の貴族院多額納税者議員」や「大阪府選出の帝国議会議員」というカテゴリーがあるので、ネットで検索しても正答を得るのにそれほど苦労はしない項目です。
このような形で学生などがChatGPTを活用してレポートなどを執筆したりすると、どうも手痛いことになりそうです。
今回はこのくらいにしておきまして、次回も引き続きChatGPTを活用してみた使用感について触れてみたいと思います。
いただいたサポートは、史料調査、資料の収集に充てて、論文執筆などの形で出来るだけ皆さんへ還元していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。