絵解き東遊記表紙1

絵解き東遊記(2)

■絵解き東遊記 その3 青牛、大暴れ

 仙人となった鉄拐を、老君は宴を開いて歓迎する。
 ある日、老君が出かけている時に、鉄拐は仙童たちと戯れて、老君の青牛に乗って遊ぼうということになる。ところが、鉄拐が綱を解いて青牛にまたがろうとすると、鉄拐の容貌に驚いて、青牛が逃げ出し、天空の彼方に行ってしまう。
 あわてて追いかけたが、行方がわからない。

 そこへ老君が帰り、騒いでいる訳を尋ねた。
 話を聞いた老君は、あの青牛は以前、人間の世界に降り、さんざん災いを引き起こした。ようやく人をやって捕らえることができたので、つないでおいたのに、それを遊びで放してしまうとは何事だ、と叱りつけ、二人の童子を杖で打ち、鉄拐には下界におりて百日、功を積んで償いとするように言う。それとともに人をやって青牛の行方を捜させた。

 青牛はと言えば、西域に逃げ、大秦国で国王を捕らえ、王宮から二十里ほどのところにある虬松岩のところに置き、自らが国王として王宮に入り込んでいた。
 ただ王の后だけは、言動がおかしいことから、これは本物の王ではないと見抜いていたが、どうしようもない。牛精は王后を冷宮に落とし、好き勝手にふるまう。

 やがて木樵が虬松岩のところに王の服と冠をつけた人がいるのをみつける。群臣たちは、苦労して、高い岩の上から国王を助け出す。

 本物の国王は、さらわれた次第を話し、国王のふりをしている妖怪を討伐しようと羽林軍(近衛軍)に命令する。だが、妖怪が火を放ち、羽林軍は敗退する。

■絵解き東遊記 その4 青牛と九天玄女

 妖怪の法術が強く、手に負えないため、国王は玄女(九天玄女)の神廟で祈りを捧げる。

 玄女は、老君の青牛が悪さをしていると知り、老君に知らせるとともに、夢で国王に、明日、妖怪と戦う兵を出せば助力すると告げる。

 翌日、国王は二十万の兵で妖怪のいる後宮を取り囲んで攻めた。
 妖怪が一口の法水を噴きつけると、法水は火輪、火鴉となり、秦軍を焼いた。
 そこへ一人の女性が手にした浄水を空から撒くと、火が消える。青牛は玄女を見ると姿を変えて逃げようとしたが、玄女が剣でひと指しすると、正体を現して逃げられなくなった。
 一方、老君のところにも、玄女からの知らせが届いていた。

 老君は、供の徐甲に符と鎖を持たせ、大秦国に向かわせた。
 徐甲が到着すると、まさに青牛と玄女が戦っているところであった。徐甲は、叱りつけて青牛の背に符を投げ、鎖で縛って宮殿から引き出し、東へと連れ帰った。
 これにより宮殿は再び平和になり、戻った国王は、玄女を篤く敬ったという。


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