絵解き東遊記表紙1

絵解き東遊記(7)

■絵解き東遊記 その17 天門陣と楊家将

 九龍谷の陣を視察した宋軍は、見たことのない陣立てに驚き、楊六郎を呼び出す。
 楊家の将軍は、楊家将として知られている。父の楊業はすでに亡くなっているが、妻の令婆、息子の六郎らが、宋のために尽力していた。
 呼び出されたものの、楊六郎にも、さらには楊令婆にも、陣の秘密がわからない。困っていると、六郎の息子で、十四歳の楊宗保が、この陣を知っていると言い出す。

 楊六郎は取り合わなかったが、祖母の楊令婆が話を聞くと、楊宗保は、陣立てについてや、その陣がまだ不完全であることなどをすらすらと答えた。実は、楊宗保は、擎天聖母から兵書を授かっていたのだ。

 これなら勝てると、楊六郎は出陣を決意する。
 だが、敵に内通している者がいて、楊宗保が陣の秘密を見破っていたことが、遼に知られてしまう。
 翌日、楊六郎が出陣すると、昨夜のうちに呂客が陣の不備を補い、陣は完全なものとなっていた。
 これでは破れないと思った六郎は、ひと声上げて倒れてしまう。

 一方、李鉄拐と鐘離権が碁を打っているところに張果老が来て、呂洞賓が椿の妖怪を将軍に、自分は軍師となって簫后を助けて七十二天門陣を布き、災いを起こしていると話す。これを聞いて、李鉄拐が激しく怒る。

 鐘離権は、自ら下界に行って、事を収めてくると言って、李鉄拐をなだめる。李鉄拐は、何仙姑に鐘離権の様子を見にいかせる。

 宋の真宗は、倒れた楊六郎を治すことができる者を求めるおふれを出す。
 すると、蓬莱山の姓を鐘、名を漢、人からは鐘道士と呼ばれているという老人が現れ、龍母の髪と龍の鬚があれば薬を作れると言う。龍の鬚は皇帝の鬚でいいが、龍母の髪として、簫后の髪の毛が必要だったため、人をやって、秘かに取ってこさせる。

 鐘道士は薬を作って楊六郎を治療した後、軍師として迎えられる。

 鐘道士の指示に従い、宋軍は七十二天門陣を、ひとつひとつ攻略する。楊宗保の妻となった木桂英をはじめ、楊家将の大活躍もあって、天門陣は、ひとつ、またひとつと破られていった。

 陣の大半が破られてしまったため、呂軍師は自ら軍を率いることにする。椿岩が妖法を使って大風を起こし、石や砂を飛ばした。砂ぼこりで何も見えなくなり、宋軍は大混乱におちいった。

 そこへ鐘道士が来て、陣の前で袖をひとはらいすると、風が向きを変え、今度は遼軍が大混乱となった。
 風がおさまって、再び太陽が姿を見せた。椿の妖怪は、鐘離権を見て身をひるがえし、呂洞賓に知らせる。

 鐘離権にたしなめられて、呂洞賓は師匠にひざまずき、二人の仙人は、陣の上に雲を起こして去った。

 李鉄拐たちが鐘離権の消息を待っていると、何仙姑が戻り、鐘離権が呂洞賓を従えて戻ってくると伝える。
 呂洞賓はあれこれ言い訳をしたが、とうとう罪を認め、下拝して謝った。

 仲直りし、宴会をしていたとき、李鉄拐が、もう一人仲間を増やそうと言い出した。すると、曹后の弟が推薦される。
 鐘離権が日を改めて人物を見に行くことにし、七人の仙人たちは杯を交わしあい、おおいに酔った。

■絵解き東遊記 その18 曹国舅が加わり八仙がそろう

 曹国舅は、宋の曹太后の弟であったために、国舅と呼ばれる。弟があり、弟の方は皇帝の外戚であるのを笠に着て、人々を苦しめ女を自分のものにしたりしていた。人を殺しても国法で罰されることがない。
 曹国舅は、はじめ、教え諭していたが、弟は行動を改めなかった。
 嫌になった国舅は家を出て、友と別れ、山に隠れて心をみがいた。数年のうちに心は道とひとつになり、神のような姿になった。

 ある日、鐘離権と呂洞賓が訪れ、天を指さして、「天はどこにある?」と尋ねた。国舅は心を指さした。
 鐘離権は笑って、「心すなわち天、天すなわち道。わかっておる」と感心し、仲間の仙人に迎えた。

■絵解き東遊記 その19 西王母の祝宴

 さて、仙人になったときは、男子はまず木公(東王父)に、女子はまず金母(西王母)に拝謁しなければならない。
 ある日、何仙姑が、仙友たちに、金母の誕生日が近いが、ともちかける。
 八仙はみなで行くことにし、お祝いに、老君(老子)の文をもらって、西王母に贈ろうということになる。

 八仙の頼みとあって、老君は、西王母を寿ぐ詞を書いてくれた。

 天孫雲錦を軸にし、星で文字にし、霞で彩り、八仙は、正装し、雲に乗って西王母のもとに向かった。

 西王母は贈り物を喜んだ。蟠桃会は盛大な宴会となり、その席で、藍采和はくるくると踊り、韓湘子は一曲歌う。

 酔って興が乗った八仙は、蜃気楼を見よう、さらに近く開かれる龍華会にも赴こうと、東海に向かう。

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