思い出せない
大切なものが見当たらない。
パズルのピースが一つずつぽろぽろと落ちていく様に。
どこへいってしまったのか分からない。
大切だったたくさんの胸が締め付けられる様な想いと、繊細で手がつけられなかった臆病で愛らしい大切なものはもう戻って来ない。
いつから人を傷つけてしまっても平気でいられるようになったのか。
いつからこんなに傲慢で他人に疎くなったのか。
どうして誰かが泣いていても笑っていられるようになってしまったのか。
どうして誰かの為より自分の為を願うようになってしまったのか。
たくさん傷ついた。
たくさん裏切られた。
たくさん失ってしまったけれど
誰にも何も奪われていなかった。
本当は何も奪われていなかったはずなのに
なぜたくさん失ってしまったのだろう。
私自身のもっとも大切だった、もっとも美しかった清潔なものを。
誰に覗かれても胸を張っていられた、昼下がりの木漏れ日のようにゆらゆらとして儚げだった、大切なものをもう一度取り返したい。
もう一度。