私が猩猩(しょうじょう)になったわけ。
もののけ姫に出てくる猩猩。
記憶に残っている人は多いのではないでしょうか。
人間。人間怖い。
人間なんか、さっさと行け。
わたしはいつからか、猩々になってしまいました。
それはもう、5歳くらいの頃から、
猩猩だったように思います。
つまり、人間怖い!
と思って過ごしていたんです。
近所のきぬえちゃんのお家で遊ぶ時、
他のお友達には、とても小さな親指サイズのお人形をもってくるように言って、みんなでお人形あそびをしていました。
わたしも仲間に入れて欲しい、と言うと、
どうぶつの人形だよ。それがないと遊べないよ。
と言われて、
おばあちゃんにお願いして買ったもらったことがあります。
正直おもちゃやさんでも、
どんな大きさのものを買えばいいかわからず、
悩んだ末、
「うめ吉」という
高さ15センチくらいのぬいぐるみを買ってもらいました。
そのぬいぐるみを大事に遊びにいくと、
みんなは親指サイズのビニール製の人形で遊んでいました。
「そのお人形は大きすぎるから、
お父さんしかできないよ」
と言われたのを覚えています。
今考えてみると、きぬちゃんは、
言葉をあまり知らなかっただけかもしれません。
子どものことだから、そんな行き違いはたくさんあると思うのだけど、
当時は傷ついたなあ。
「いじわる」っていうものの存在を、
わたしはお友達から学びました。
よちよち歩きのしゃべれない弟に
おいかけられて逃げていた、7歳くらいの私と8歳のちーちゃん。
外から家の中に私たちだけ入り、
中からちいちゃんが鍵をかけました。
大泣きする弟。
その後どうしたかは記憶がありません。
「何でそんなことをするんだろう?」
と強く思ったことは覚えています。
わたしは驚いて、体が固まりました。
おそらく、母が助けたのだとおもいます。
1番仲が良かった、優しいさっちゃんは、
お父さんが出て行った後、
お母さんが精神的にな病になって、
児童養護施設に行ってしまいました。
近所の男の子たちと一緒に遊ぶようになったけど、
紅一点の私は、ギャングエイジの男子になぜか大事にされ、お姫様的扱いに。
他の男子が、女子から守るように、他の女の子を排除するようになりました。
それを見た母が、
人格形成に良くないと思ったのでしょう。
男たちと遊ぶのが禁止されました。
小学校では、
今生きていたら、92歳の昭和初期を知る先生のクラスにいて、廊下に立たせたり、叱責したりする先生に怯えて過ごしていました。
給食ではお残しは許されず、クラスの子供は全員おさらをなめさせられいました。
戦後の貧しさを知りなさいということなんでしょう。
わたしは、本当に怖くて、
ひとつもミスをしたらいけないと思って過ごしていました。
先生のことばかり、考えていたからか、友達と仲良く遊ぶということがどういうことなのか、全くわからなくなりました。
1年生から4年生まで、その担任の先生でした。
4年生の頃には、宿題を忘れた夢を見て、
眠りから覚めるような日々になっていました。
5、6年生のときは、
愛知県の郊外の自然豊かな学校に通いました。
家の都合です。
都会もんと、かなり敬遠されました。
地域の親にも、派手な子。関わるなと思われていたようです。
最初は洗礼のようないびりもありました。
遊ぼうと誘われ、よろこんでいくと、
ブランコに座らされて、
ぐるぐるに、乱暴に、押されてものすごく怖い思いをさせられました。
その子はクラスを仕切っている女の子でした。
中学はまた、地元の横浜に戻ります。
そこでも余所者扱いを受け、
学年中が私と口を聞いては行けないという遊びを始めました。
中学、高校と山ほどいろいろあり、
大学では、引きこもりとうつ病になりました。
そこから社会生活ができるまで、長い年月を要しました。
こうして書いていると、
一度も安心して、
友達と人間と、楽しく過ごす経験がなく大人になってしまったようにおもいます。
もっと、ひどい思いをしたことがある人もいますよね。
今気づきました。
けっこう深くめちゃくちゃに
傷ついていたんだなあ。
40歳を超えて、
コミュニケーションスキルを学び、
仲間を見つけて、
人と関わるよう、踏み出しました。
その度に、体が痛くなります。
左半身が特に痛い。
これだけの傷があると、
自覚しないといけませんね。
その上で、勇気を出して人と関わった時、
緊張している自分、
怖がっている自分に気づかないといけません。
大丈夫だよ。
もうあんな思いはしないよ。
と励ましてあげられるのは、私しかいません。
大人の私は、人と関わる時にどうすればいいか、
アドバイスすることができます。
だから、あの時を思い出して、
怖がっているインナーチャイルドの私に、
優しく声をかけることができるんです。
もう大丈夫。
たくさんの人とつながっていこう。
今よりもっと、豊かな世界が
私の周りに広がります。