Our funny valentine 浮乃と歌蓮の事件帳、壱の巻
突然照明が消えて真っ暗になった。もうそんな時間になってしまったのか。
何度も来ている、はわい温泉の足湯である。夜九時になると、自動で照明が消える。一日の仕事を終えた温泉宿の従業員が、次々と車に乗り込んで帰って行くのを横目に見ながら、今日はもう進展はないだろうと腰を浮かした瞬間のことだった。
「歌蓮ちゃん、お酒はだめだよ。これから忙しくなるからね。」
まるで心中を見透かされたかのように、鋭い声が飛んできた。
「全てわかったんだ。チョコレートは取り返してくるから、歌蓮ちゃん