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"ふがいない僕は空を見た"

入院生活、暇を持て余している私に友達が貸してくれた一冊。

表紙やタイトルだけを見て、中高生の思春期に訪れるどう仕様も無い苦悩や葛藤が描かれていて、でもラストは各々が進むべき道を見据え其々の道を歩んでいく…そんなどこにでもある、在り来たりなストーリーを私は連想した。

しかし違った。

出だしから過激な性描写。
ビックリして思わず一度本を閉じてしまった。

また開く。
連作短編集だった。各登場人物の一人称で描かれていく物語に、私は引き込まれる。夢中になって読んでいた。

登場人物全員が、他人には言えない感情を抱いていた。不倫から始まり、家庭環境が複雑であったり、趣味嗜好が他人には理解され難いモノだったり、本当に様々だった。

主人公の"卓巳"を基に物語は展開されていった。
凄くモヤモヤしながら読んでいた。
バカなので、上手く言葉にする事が出来ない。

皆それぞれが、罪を抱えて生きている。
生と性に翻弄される人間の心情が生々しく描き続けられていた。ズシンと、何かが伸し掛かった。

登場人物全員が報われて欲しいし、幸せになって欲しい。読み終えた後、そう強く願いながら本を閉じた。

暫くの間目を瞑った。

人は見掛けに依らない。
誰にもその人の"本質"を見抜く事なんか出来ない。何に置いても、バランスを取るのは難しい。

ふぅ。
同じく、窪美澄先生の書いた"よるのふくらみ"こちらもいずれ、読んでみようと思う。

きっと読み終わった後は、また暗く成るかも知れない。しかし、私はこの先生のファンになった。
貸してくれた友達に感謝をしている。



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