スパルタパチンコ塾
「スイちゃん、今いくら持ってんの?」
晩ごはんを食べ終え、歯の間に挟まっているゴリラの煮付けのカスを爪楊枝で取っていると40期のアポロ軍曹 田中さんに質問を投げかけられた。
「3000円ですけど…。え、貸しませんよ?」
警戒しながらそう答えると、俺は金持っとるわ!と思いっきり頭をシバかれた。
「よーし、パチンコ行くぞ!3000円ならまあ、1円パチンコやな!」
ギャンブル好きの田中さんが目を輝かせながら言ってきた。ゴリラ料理を堪能した後に軽くパチンコに行くというのは、確かに最高のコースだ。
行きましょー!と口で返事するのが面倒だったので、隣に座っていたがLINEで返事をした。
口で言え、と頭をシバかれたが、そんなことはどうでもいい。私たちはウッキウキでパチンコ屋に向かった。
*
バッシィィィ!!!!!
パチンコ屋のうるさい店内に、大きな音が響いた。田中さんが私の肩を全力でぶっ叩いた音だ。
「た、ま、を、い、れ、ろ。」
パチンコ玉が下皿に溜まっていることに気づいていなかった私に、田中さんのスパルタ指導が入る。
「ごっ、ごめんなさい!!!」
パチンコ初心者の私は田中さんに何度も頭を下げ、ビクビクしながらハンドルをまわす。
バッシィィィ!!!!!
再び肩をぶっ叩かれた。
「み、ぎ、に、う、ち、す、ぎ。」
「すみませんでしたっ!!!!」
恐ろしい先輩である。
お笑いのことでこんなに怒られたことはない。礼儀のことでもこんなに怒られたことはない。しかし、今初めて、パチンコのことでめちゃくちゃに怒られている。
しかも、体罰ありで。
私がパチンコを打っている様子を田中さんが横から凝視しているというこの光景を、パチンコ玉も台の中から見ていたのだろう。
一度も当たらないまま、いとも簡単にお金は消えていった。
「おまえ!!!当てろや!!!!!!!!!!」
田中さんにどつかれた私は広いパチンコの店内で大きくふっ飛び、その勢いでパチンコ屋からも出て、大国町から鶴橋あたりまで飛ばされてしまった。
田中さぁ〜ん、痛いですぅ〜(泣)と鶴橋で泣きべそかいていると、「だまれ!」という田中さんの声が大国町から聞こえてきた。
あーあ。大国町にチャリ置いてたのに〜。
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