踊るベンガルトラ 水分スイ

大阪吉本 NSC42期🌠🌙 お笑い芸人です。 毎週水曜日に、嘘か本当か分からない、水分…

踊るベンガルトラ 水分スイ

大阪吉本 NSC42期🌠🌙 お笑い芸人です。 毎週水曜日に、嘘か本当か分からない、水分が体験したとある日の日記を投稿します。必ず芸人仲間の名前が出てきます。ほぼ実話です、ほんとにほんとに。 イマジナリーダイアリズム🐉☁️

最近の記事

和牛切り落としメロディー

焼肉とカラオケが世界で一番好きだ。 この時点でもう二つじゃないか!一番とはなんぞや!?という意見もあるかもしれないが、"焼肉とカラオケ"が一番好きなので仕方がないだろう! と私が道端で主張していたところに44期のポプラベティ りょうかが通りがかり、「じゃあ飯カラ行きましょうよ」と言われたため行くことにした。 * 「りょうかは焼肉とカラオケ好きなの?」 注文した肉を待つ間に質問をしてみた。 「大好きっすよ!世界で二十六番目に好きですー!」 じゃああんまり大好きって

    • スパルタパチンコ塾

      「スイちゃん、今いくら持ってんの?」 晩ごはんを食べ終え、歯の間に挟まっているゴリラの煮付けのカスを爪楊枝で取っていると40期のアポロ軍曹 田中さんに質問を投げかけられた。 「3000円ですけど…。え、貸しませんよ?」 警戒しながらそう答えると、俺は金持っとるわ!と思いっきり頭をシバかれた。 「よーし、パチンコ行くぞ!3000円ならまあ、1円パチンコやな!」 ギャンブル好きの田中さんが目を輝かせながら言ってきた。ゴリラ料理を堪能した後に軽くパチンコに行くというのは、

      • キンパお兄さん

        みなさんお馴染み、水分スイの生春巻きを子どもに見せびらかすバイト。 そのバイトで公園に行った際、ある小学生の女の子にやたらと声をかけられるバイト仲間がいた。 「キンパお兄さーん!キンパお兄さーん!!」 女の子がそう呼ぶ先に立っていたのは、41期の先輩、オノマトペ まおさんである。 ちこ兄(うるさいステーキ丼 参照)と同期で、みんなで同じ生春巻きのバイトをしている。 キンパお兄さんと呼ばれたまおさんは、苦笑いをしながら女の子に向かってそのへんに落ちていたアツアツの鉄球を投

        • ネタがはじまりまして

          あるネタライブの日。 開演前に舞台袖でせっせとコントの準備をしていた私は、同期の芸人が首を傾げながら袖にやって来るのを見た。 はじめましてはじめだ。 彼は同期のピン芸人で、音ネタを得意としている。 その日のライブの出演者でもあった。 「はじめ、そんなに首を傾げてどうしたんだい?物事を斜めの角度で見たいのかい?だったら、顔の角度を斜めにしたところで何も意味を成さないよ。考え方そのものを変えないと。分かる?もっと意識を変えていかないといけないの。そんなんだからはじめははじ

          うるさいステーキ丼

          びっくりされるかもしれないが、私・水分スイはアルバイトをしている。 公園で遊ぶ子ども達に声をかけ、オリジナルの生春巻きをひたすら見せびらかすバイトだ。1日4時間ほどそれをやるだけで、知らないおじさんからたくさんお金が振り込まれるのでとてもラッキーである。 そのバイト先には芸人の先輩が多数いて、暇な時にはいつも芸人同士で生春巻きを顔に押し付け合って遊んでいる。 「スイちゃん、美味いステーキ丼の店が近くにあるんだで、今日バイト終わりメシ行くか!」 ステキな(ステーキだけに!

          完徹!盛り上がりきりまショー

          また今月も、中崎歌謡祭の日がやってきた。 まさか知らない人はいないと思うが、一応説明しておこう。中崎歌謡祭と言うのは、大阪の中崎町(梅田の右らへんにあるゾ)が大好きな同期四人が月に一回中崎町周辺に集い、深夜から朝までひたすらカラオケを楽しむイベントのことである。 その中崎歌謡祭が、今月も、やってきたのだ。 メンバーの四人全員が、その日が近づくにつれ全身の細胞が活性化し、瞳孔がかっ開き、力が漲っていった。 その中でもダントツで最強のコンディションを作り当日を迎えたのは、他で

          完徹!盛り上がりきりまショー

          パーティーはほどほどに

          「君たちには今から、あるゲームをしてもらう。」 デスゲームの冒頭でよく聞くようなセリフを言い放ったのは、最近『ぶどうがり』というトリオを結成した、"めっちゃ明るくてめっちゃ楽しい"でお馴染みのホセマイアミだ。 「ゲームとは!?まさか…!命をかけた殺し合いのゲームのことかっ!?!?」とアイアンパラドックスの堤(※ワンナイトたこ焼き 参照)が叫ぶ。 スーパーフライデー深田は堤の陰に隠れて震えながら怯えている。 フッと不敵な笑みを浮かべたホセは、堤、深田、私の三人にニンテンド

          パーティーはほどほどに

          おでんヤダヤダ

          「オススメの店あるんやけど飲みに行かない?」 「オススメの店あるんやけど飲みに行きません?」 「オススメの店あるんやけど飲みに行く?」 「オススメの店…」 「オスス…」 「オススメの店あるから飲みに行こ!ねえ!いいでしょ?行こうって!イタッ!!ちょ、痛いです!ごめんなさい!!許して!!!」 「ふー…。あ、オススメの店あるんやけど良かったら今から飲みに行かない?」 「あー、まあありだね」 周りの人間に同じセリフで声をかけまくっていたボロボロバイセコー山中の誘いに、私は乗っ

          バトンを拾ったのは君か

          今年一年、何もしなかった。 強いて言えば、ヒヨコのオスとメスを仕分けする仕事をしているサーファーとキャンプをしたり、ミサンガ職人と漬物を買いに行ったり、最近サーカスから独立した知り合いのピエロの単独ライブを観に行ったくらいだ。 大晦日くらいは楽しく過ごしたかった私は(いやキャンプと漬物ショッピングと単独ライブが楽しくなかったみたいに!)、後輩を家に呼び出し一緒に年越しをすることにした。 * 「スイさん!お疲れさまです!お邪魔します!!」 元気な声でずかずかと人の家に上

          バトンを拾ったのは君か

          はだかんぼファーストフード

          今日みたいな、子犬を大事に育てますおばさんを見かけた日は機嫌がいい。 子犬を大事に育てますおばさんが駅前で、 「私は!子犬を!!大事に育てます!!!」 と拡声器を使わずに大声で叫び、周りの市民に拍手喝采を浴びているところを見ると、心がほっこりするのだ。 そうだな、こんな日には繊細な味の食事を摂ろう。 一汁三菜。なんて素敵な四字熟語。必要な栄養素をバランスよく、美味しくいただこうじゃないか。 遅めのお昼ご飯を食べる店を探していた私は、ここだ!とマクドナルドへと入店した。

          はだかんぼファーストフード

          ワンナイトたこ焼き

          同期のほたる火の鳥越タイチロウとしゃぶしゃぶを食べに行くと、その店は肉をしゃぶしゃぶしたい外国人で溢れかえっていた。 混雑しすぎて、客が別の客を箸でつかみ鍋に入れてしまうハプニングが多発する始末。 「こんな環境で肉をしゃぶしゃぶしてられっかよ!!!」 憤った私は、肉をしゃぶしゃぶしたがっていたタイチロウを引きずり、足早に同期のシェアハウスへと向かった────。 * 「いらっしゃい、よく来たね。さあお上がり」 にこやかな顔で言ってほしかったセリフだったが、悲しいかな真

          天使の羽おつまみ

          なんばパークスという、なんばにある商業施設。 の、上の方にある庭園。ここがすごく良い。 陽が落ちて夜空に星が輝き出した頃、 「こんな夜は仲間と酒を酌み交わしたいなぁ。な、そうだろ?」 と空の高い位置にある満月に問いかけると、 「俺もそう思う!」 と元ぴんどめ蟹のとなりの声が満月から聞こえてきた。 となりは元ぴんどめ蟹のツッコミで、まともそうな顔をしておきながら全然まともな会話ができないという、とってもステキな芸人である。 一人で月旅行に行っていたようで、今からなんばパーク

          ラーメン鉢で逢いましょう

          わたし水分スイは、その日ライブに出演した。 おもしろい人たちが集まり、マイクの前でおもしろいお話をしたり、おもしろい小道具を使っておもしろいお芝居をしたりする様子を、そんなにおもしろくない人たちに見てもらうライブだ。 (※見る側の人でおもしろい人もいます。出る側でおもしろくない人もいるけど。) ライブが終わり、さて今から浜崎あゆみの今後についてじっくり考えようかと思っているところに同期のサルバトーレ 塁がやって来た。 「俺、サルバトーレの塁。その前はネコシエーターの塁で

          ラーメン鉢で逢いましょう

          青春の薄いピザ

          くる? からおけ 音楽室への誘いは突然やってきた。 LINEの画面に浮かぶひらがなだらけの文章。 さっきまでペアーズに登録したことあるだのないだのってやりとりをしてたのに急に話を遮るねこの人は、と眉をひそめる。 唐突だなぁと思いつつも、事実ペアーズの話は何も面白くなかったので食いついてみる。 ふぉ? からおけぇ!? 相手に合わせてアホっぽい返しをしてしまい、恥ずかしさのあまりちょっぴり泣いてしまった。 聞くと相方と2人でカラオケにいるらしい。ネタ合わせが終わって

          からあげサプライズ

          早すぎる帰宅を避けるべく、地下鉄を途中下車して街に繰り出す。 いつからだろうか。夕方に家に帰るのが早いと感じるようになったのは。 今日は、洗濯物いっぱいいっぱい溜めましたグランプリの予選大会に出場してきた。 その名の通り、1年間でどれだけ洗濯物を溜めることができたかを競う大会だ。 どういうところが自分の魅力か、また欠点はどこなのかなどを研究しながら1年間全力で洗濯物を溜めてきたが、重すぎて会場に4着しか服を持っていくことができなかったため予選落ちはほぼ確定である。 しか

          こんにちはチャーハン

          LINEの通知音で目が覚めた。 『ゆで卵を半熟にするのに失敗してしまい、病み期を迎えたのでしばらく店を閉めます。ごめんネ』 バイト先の店長からだった。 わたしのバイト先は"こんにちは専門店"という店だ。 お客さんが支払う金額に応じて、レジでさまざまな種類の「こんにちは」を言ってあげるだけのカンタンなお仕事です☆ 時給430円だが、社割があるのとまかない付きだったのが決め手となった。 どうやら卵の件で相当落ち込んでいるらしい店長のインスタには、真っ黒な画像が投稿され

          こんにちはチャーハン