【雑記】親友のドレスと僕の認識ライン
『もうドレスは決めたの?』
迷って迷ってついに送信した文字列をまじまじと眺める。
こんな台詞を送る日が来るとは思ってなかった。我ながら意外だ。
ただ何となく、彼女のドレス姿は見ておきたいと思った。
僕の親友が結婚する。
どうも、僕は親友に関して(もっというと友達も)一般的なラインよりも認識ラインが高いらしく、僕が言うところの友達は恐らく一般的な親友なんだろうなと思う。ちなみに、感覚的には
知り合い<友人<友達<親友
になる。友人と友達何が違うんだと言われそうだが、僕からすると知り合いはよく行く喫茶店のお姉さんくらい希薄な間柄を指すので、知り合いと友達の間にもうワンクッション欲しくなるのだ。
小中高の友達を全部切った僕は、どうやらまれにみる友達の少なさらしい。理由は簡単、コンプレックスだ。プライドの高い僕は高校で落ちこぼれたことを中学の友達には言いたくなかったし、大学に進学しなかったことを高校の友達には言いたくなかった。中学の友達は、当時携帯なんて持っていない子が大半なものだから、連絡を絶つのなんて簡単だった。高校も同じだ。ガラケーなんてメアドを変えてしまえばおしまい。多分誰にも連絡先を教えないまま、教わった連絡先に連絡もしないまま、僕は仕事で都心に出た。それでも特に不便なく生きてきたが、それはひとえにその場所場所では当たり障りない友人レベルの人間は作っていたからだと思う。
休日に遊びに行くこともままあったし、仕事帰りに飲みに行くこともあった(この辺りは誠に勝手ながら完全にその時の気分次第である)。…今思うと、昔から異性の友達の方が多かったのだが、案外出かけたり飲んだりは男女問わずだった気がする。「え、じゃあ行きましょうよ」とか言い出しっぺも買っていた気がする。意外。
とはいえ、それも職場が変われば終わり。最初のうちこそ誘われることもあれ、帰り道じゃなければわざわざ行くこともなく、断れば頻度は下がり、いずれなくなる。職場がずっと同じとかいう仕事じゃないのもあるのだろう、知り合いか友人らしき人たちが、僕の転勤範囲内には数多くいる。
あとは、「行きたいところに付き合ってくれる相手」。これは友人に入れるか友達に入れるか難しいところ。昔「しゃぶしゃぶに行くにはこいつを誘う」ていう相手がいたが、食べるペースが合ったのかその人と行くしゃぶしゃぶは何となく居心地がよかった。ちなみに焼肉はちょっと違った。居心地のよくないしゃぶしゃぶだと、鍋にいっぺんに肉が放り込まれてただの肉鍋になったりする。案外擦り合わせの要る大事な部分だと思う。「神社仏閣巡りをするならこの人」ていう人もいる。詳しいからとてもありがたい。迷惑にならないようにと注意は払うけど。
もう少し明確な「友達」は、「手段は何でもいいから会うのが目的」になる。その人との時間が楽しいから、ご飯でも飲みでも出かけるのでも、とりあえず会いに行く。連絡の頻度はあまり関係ない。何年振りでも、そのまま「最近さぁ」で成立する。この分類を僕は「友達」認定している気がする―――あれ、やっぱり厳しすぎか?確かに片手で足りる人数しかいない。友達を親友認識、友人を友達認識する必要があるかもしれない可能性に今思い至っている。
さて、親友に話を戻すのだが、先述の通り彼女は結婚する。
ご時世もあり、彼女の他のお友達に一切知り合いがいないことから招待については彼女も僕も悩んでいるところだ(彼女が付き合いが広い分、知り合いどころか知人すら皆無の式は割とキツイものがある。僕の現状含めいろんな意味で)。
他の友達なら「あとで写真だけ見せてねー」で済みそうなものなのだが、彼女に関してだけは、何となく見てみたいと思った。多分すごくきれいだろう。彼女は自分の頬骨にとことん否定的だが、かなり可愛い部類に入ると僕は思っている。
もうひとつ。彼女が、紆余曲折を、本当に紆余曲折を経て、落ち着ける場所を見つけたのが、単純にすごくうれしいのだと思う。僕以上に掴みたいものがたくさんあって、掴み取る力もエネルギーも持ち合わせている彼女が、周りの圧と僕以上に戦いながら掴んだひとつ。彼女からすれば序の口だろうし、まだまだ満足もしていないだろう。色々思うところもあったが、今は素直におめでとうと、よかったなと思う。これから、全部全部手に入れて進んでいってほしい。
多分、僕は船出を見送る気分なんだろう。
ということで、ドレス選びで式当日並みに泣きかねない僕なのだが、まぁドレス姿を見られれば参列しなくても悔いはない。猫をしこたま被って澄ましている彼女の姿はとても好きだ。
―――ただ、彼女ほど白が似合わない女の子を僕は知らないので、そこに関しては爆笑してやろうと思っている。
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