藤花スイ

小説家。恋愛やファンタジーの小説を書いてます。

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マガジン

  • 詩のまとめ

    自作の詩をまとめたマガジンです。お楽しみください。

  • きっとここにしかない喫茶店で

    「きっとここにしかない喫茶店で」という長編小説のまとめマガジンです。 以下あらすじです。 22歳の沼田ミカは短大を卒業後、第一志望の会社に就職し、順調な日々を過ごしていた。しかし、突然の恋人との別れと親友の裏切りにより、失意のどん底に突き落とされる。新しい部署への転属も重なり、ミカは心身ともに疲弊してしまった。そんな彼女は、偶然見つけた喫茶店「ai's cafe」で、カフェの女店主や謎の相談屋との交流を通して次第に癒されていく。ミカは自分の価値観や人生を見つめ直し、前向きに生きる力を取り戻す。これは困難を乗り越え、成長するミカとそのきっかけとなった喫茶店を描く心温まる物語である。

  • 短い読み物まとめ

    掌編や短編のまとめになります。さくっと読めますので、お暇なときに

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藤花スイについて:自己紹介や作品サイトへのリンク

初めまして藤花スイと申します! 私は恋愛やファンタジーを中心にウェブ小説を書いている者です。 電子書籍を出版したこともあります。 新たにnoteを使って小説サイトへのリンクや作品の投稿をしたいと思いますのでよろしくお願いします。 こちらのページがポータルになります! note投稿作品リンクきっとここにしかない喫茶店で 以前カクヨムで投稿していた作品を改稿したものになります。 電子書籍リンクAmazonで出版した電子書籍のリンクになります。 君のランタン屋さん:読む

    • 【詩】輝き出す

      目覚めるのが怖かった 毎日をどう生き潰すのか 心当たりなどなかったから 生きがいも健康も安息もない 今日が怖かった 明日がやってくるのが怖かった 世界がとても憎かった あるとき、ふと気がついた 怖いのは自分だった 恐れもせず人生をすり潰している どうせ自分は狂っていると諦めていた 誰とも気持ちを共有できないままだった だからもう開き直ると決めた 少しでも心が動いたら頭の中で叫ぶんだ 「生きているって実感する」 「これが大切な人生だ」 ある日、街を歩いて帰る道で 突

      • 【詩】丸薬

        丸い薬 粉々に噛み砕く 苦い味 不健全の証 慰めの合図 惨めな感触に 仮初の全能感 かしこい人が丸めた計算ずくめの硬さ 台無しにしてしまいたくて 今日も不快をやめられない

        • 【詩】ベンチ

          夕暮れの風吹く公園で二人 ベンチに座り、花を見ている ただそこに在るだけなのに なんて強いのか 弱く折れそうな君が話し始める 笑わないで 君が叶えると決めた夢 つらく孤独な道の半ば 手放したくなるのが道理でも 夢を下げないで 笑わないで 叶えると決めた君を 君が作る君の道 その先に素晴らしい光景が広がっていると信じてる 笑わないで これまでの努力 こうして隣で見てきたよ この先に強い世界が待っている 君を下げないで

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        • 詩のまとめ
          10本
        • きっとここにしかない喫茶店で
          16本
        • 短い読み物まとめ
          2本

        記事

          【詩】unclogged

          誰にも引っかからないように息を潜めて生きてきた 顔色を見て 自分を抑えて 怒らせないように 目立たないように 苦しくてもそうするのが正しいと信じてきたから だけどそれももう終わり このままでは息ができなくなってしまうから 私の周りでみんなが笑っているのだとしたら それはありのままに生きていないってこと 自分らしく生きていないってこと 進もう 試そう 歌おう つまらないなんて言わせない 噂話にただ頷いて訂正することもしなかった 誰かに決められて 自分を失って 誰も助けよう

          【詩】unclogged

          【詩】螺子

          いつのまにか心に締められたもの 進もうとするたび引っかかる 「今日からは」と何度決心したかもう分からない 惨めな思いをしたあと 素晴らしいことがあったあと 日々に飽きたとき 変えてみても元の木阿弥 気づいたのはいつだっただろう 幼い頃から共にあって、きつくきつく締められた いつのまにか心に締められたもの 進もうとするたび引っかかる 引っかかる 引っかかる 愛しい我がネジよ 君に助けられたこともあっただろう 苦しめられたこともあっただろう 受け継がれたこの思い どう晴ら

          【詩】螺子

          【詩】t→±0

          右から近づくのと 左から近づくのでは 全く違うと知った午後 何を考えていただろうか 同胞の朽ちた亡骸を糧に 生かし合う菌の様な果てを感じた朝 何を考えていただろうか フラクタルの混ざり合い 2.3次元の意味 カラーチャージのきらめき その表面だけを舐めとって 世界が分かったと豪語する もう少し知ってしまうと 知らないことが増えるから ちょっと知りたいアマチュア気質 2の3/2乗に納得してしまった日の朝 何を食べていたのだろう アークだとか ハイパボリックだとかを知っ

          【詩】t→±0

          【詩】虎

          それを塗って 良くなる気になる もったり ひんやり 気分は常夏 伸びない質に大盤振る舞い 来る衝撃に備えてもやり過ごす気でいっぱい これが虎 世界で一番身近な虎 ありがとう 今日も楽しく生きていく

          【詩】ふわふわタオル

          あなたと私を包んでいた柔らかなタオル とっておきの洗剤と柔軟剤 今は使う気が起きなくて 残り香に耐えられない それは二人の証拠だった 今は孤独のイメージ 背けた目を現実に引き戻す 嗅ぎ慣れない香り ごわごわのタオル まだ慣れなくて 旅行にでも来たみたい 私は勘違いしている 恋は生きるために必要じゃない 一人でも愉快な日々を送ることができる そのはずなのに 今だけは過ちを許してほしい ふわふわのタオル これを顔に当てて 戻らない時が帰ってくると錯覚する 哀しみはもう消え

          【詩】ふわふわタオル

          【詩】冷たい鉄球

          お腹の中にある冷たい鉄球 あなたへの想いが重なってできた 暗くかたい何か 壊してしまいたいけれど びくともしなかった 誰か火を焚べて このままでは死んでしまう 雪山で遭難したみたいに凍えてしまう 鉄が溶けてしまえば やっと自由になれる これのせいで身動きが取れないから ずっと銃を突きつけられているような 濡れたままの服を着ているような 不快感が平常で あなたへの哀しみと怒りが離れない 必死にかきわけて取り出せば 悍ましい自分に気が付く 冷たい鉄球を解き放つ 心にぽ

          【詩】冷たい鉄球

          【詩】透明な矛

          貴方は黙りながら 透明な矛を手にする 沈黙が何よりの攻撃だと知っていて まるで敵を討つかのようにそれを突く 自分の中の暴力性には気付かずに 無邪気にするのが得意だね 静かな攻撃を 貴方は今日も喜んでる

          【詩】透明な矛

          【散文】フラクタル

          不完全さや矛盾についての文章を書いてみました 晴れた空から下を覗くと人間界が見える。 人間は今日も支離滅裂で、素頓狂な行動ばかりとっている。 彼らはそれでも自分たちのことを「統一的」だとか「合理的」だと思っているらしい。 そんな不一致さが幼稚で浅ましく見える時もあるのだが、長い目で見ると社会が進む原動力となっているようだ。 彼らは自分たちの子供の自由さを見つめて、そこに愛を感じる。 果てなき創造性と発想力に驚き、不完全さに嫉妬する。 本当は自分たちだって、論理的になりき

          【散文】フラクタル

          【寓話】りんごの国のぶどう好き

          真っ赤なりんごの国は妖精の国。 みんな、りんごが好きでお世話ばっかりしている。 だけど、そんな中にぶどう好きの妖精がいて、今日もぶどうを食べていた。 この妖精はなんだか分からない不満を持っていて、りんごじゃなくてぶどうの世話をしている変わりものだ。 当然のようにりんごの世話をする仲間たちのことがこの妖精は不思議で仕方なかったんだけど、みんなの方も自分を不思議に思うと分かっていたから、できるだけ大人しく生きていた。 そんなある日、りんごの国のりんごに病気が見つかった。 み

          【寓話】りんごの国のぶどう好き

          【長編小説】 きっとここにしかない喫茶店で(16)

          第十五話はこちらです。 エピローグ:フラットホワイトのお姉さん第十六話  沼田ミカは二十五歳。顔つきは地味目だが、肌ツヤはよく、自然に上った口角が彼女の人の良さを表している。服装や化粧もこれといった特徴がないようだが、よく見ると綺麗にまとまっており、細かい部分に個性が出ている。そのためか全体として統一感があり、なんとなく目を引く雰囲気があった。  彼女は今日良永ミカとなる。その協力をしてもらうために最近は足が遠のいてしまった道を踏みしめながら、ゆっくりと進んでいる。

          【長編小説】 きっとここにしかない喫茶店で(16)

          【長編小説】 きっとここにしかない喫茶店で(15)

          第十四話はこちらです。 第十五話 「話には聞いていたけど、おもしろい人たちだったね」  タクミはベンチに座りながら、フラットホワイトに口をつけた。 「これ、すごいおいしいよ⋯⋯」  タクミはしっかり味わった後で紙のカップを見つめながらそう言った。すっかり気に入ったようで、目を輝かせながら何度も飲んでいる。その様子を見て、ミカもカップに口をつけた。ゆっくり味わいたかったので、良い場所が見つかるまで我慢していたのだ。 「本当だ⋯⋯おいしい⋯⋯」  口に液が入ってきた

          【長編小説】 きっとここにしかない喫茶店で(15)

          【長編小説】 きっとここにしかない喫茶店で(14)

          第十三話はこちらです。 第十四話  今日は秋祭り。ミカとタクミは二人で訪れていた。さまざまなお店が大きな公園に集まり、出店を出している。出店は大掛かりで、木を屋台のように組んで調理場やカウンターを作っているところもある。  広場では次々に人が出てきて、さまざまな音楽を奏でている。みんな手には食べ物や飲み物を持ち、楽しそうに出し物を見ている。  この公園は紅葉で有名だが、あいにくカエデの色は変わり始めたばかりで、絶好の日和にはまだ早い。けれど、ハナミズキの葉っぱは八割ほ

          【長編小説】 きっとここにしかない喫茶店で(14)