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【5日目】32歳独身女が失恋から立ち直るまで
「今日しっかり休めた?」と毎日連絡くれたり、インスタに一人旅している旨のストーリーを上げたら「夜電話しようよ」とDMくれたり。
「おかえり。独身界隈、温めて待ってたよ」「隣でYouTube見とくから適当に部屋いていいよ」「今何してんの?映画一緒に見よ」等々、
以前も誰かに「SUIは本当に人に恵まれてるよね」って言われたことある気がするけど、本当にその通りだなと失恋してからより思う。
そんな友人たちの支えもあり、鬼怒川温泉の一人傷心旅はなかなか良かった。知り合いが誰もいなくて、まだ何の思い出のない場所は、どこか気持ちを前向きにさせてくれる気がして。
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知らない街でする仕事も、新鮮感があっていつもより捗ったから、やっぱりワーケーションは積極的に行った方がいい。
この一人旅で、全てが理想とは言えないけど、"好きな場所で、好きな人と働く"という夢が叶えられている私は幸せ者だなと思えるくらいには回復できた。
そのはずだったのに。
露天風呂でボーッとしていると、彼に言われた「一緒にいて楽しくない」「会ってない間、会いたいと思ったことがないってことに気が付いた」という言葉を思い出しては、また悲しくなっている。
でも、「会ってる時は楽しかった」って言ってたし、帰り際に次いつ会えるか必ず聞いてくれてたし、「こんな頻繁に会ってる恋愛10年ぶりだわ」って言ってたから。
嘘つくなボケェ!と、これ以上痛みが広がらないよう必死に食い止める。
私が可愛いスニーカー見つけたって言ったら「お互い購入してプレゼントしあおう」って提案してくれたじゃん。
レジ前になって「ごめん。日本長いから忘れてたけど、中国では靴を送り合うのは縁起悪いからやっぱ自分のは自分で買おう」って言ってくれたじゃん。
(※彼は中国人。送鞋(靴をプレゼントする)は"送邪"と同音語、且つ遠くに送り出すという意味がある)
それから「今日スニーカー履いてるよ」って写真送ってくれたり、買ってから初めて会う日に私が履いて行かなかったら「なんで履いてないの!」ってちょっと拗ねてたり。
私が「ダーツ好きだけど、高いから未だにマイダーツ持ってないんだよね」って言ったら、「1.7万円?それを高いっていうなら、ダーツ本当は好きじゃないんじゃない」ってからかって、翌日には「はいこれ」ってプレゼントしてくれたじゃん。
あの時の気持ちは全部嘘だったって言うんか。
この世に不変なものはない、だからこそ美しいってわかってはいるんだけど。大好きな羊文学の歌詞が今になってすごく沁みる。
私は私でもうすぐ誰かの歴史になってゆく
愛情は色褪せる
それもいつか私の涙になってゆけ
私は私でもうすぐ誰かの歴史になってゆく
寂しさは薄れていく
それもいつかあなたの笑顔になってゆけ