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研究のお話①:ホウレンソウにはオスとメスがあるけど、実はオス寄りのメスとかメス寄りのオスとか、今はメスだけど最後はオスとか多様性🌈で、しかもそれが農業にとって重要なんだ

これは、北の大地でやっていた研究の話!
詳しい話は、論文になってるもの以外は話せないんですが、イントロダクション的な内容を聞いてください。まめしばの豆知識的な感じのスタンスで〜
(レファレンスも省略しているので、ホンマでっか、くらいの感じでね)

ほうれん草とその性別

最近、ほうれんそう食べましたか?
カロテン・鉄分が豊富な緑黄色野菜で、日本で263,500t生産され(平成24年)、生産上位は、東京近郊(千葉・埼玉)です。

ホウレンソウは、とう立ちする前(栄養成長期)、つまり花を咲かせる前に収穫してしまうので、皆さんは花を見る機会はないかな、と思いますが、上の記事のような花をつけます。

一般的に、ホウレンソウ(Spinacea Orelacea)(noteでは下線やイタリックが使えないのか?)の多くは雌雄異株、つまりメスの株とオスの株にそれぞれ分かれています。メス株は雌花のみをつけ、オス株は雄花のみをつけます。

しかも、オスメスは性染色体によって決まっていることがわかっていて、XXはメス、XYはオスになります。人間と同じですね。

先述のように、普段食べてるほうれん草は、花が咲く前に収穫してしまうのでオスかメスかはわかりませんし、関係ありません。でも、この性別はほうれん草のタネをつくるときにとても重要になってきます。

雑種強勢とF1ハイブリッド育種

雑種強勢(ヘテロシス)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、種間や種内でも遺伝的に異なる両親の子が、両親のどちらよりも優れた性質を示す現象のことです。なんでそうなるのか、というのはいろんな説もあって、わかってないこともあるのですが、ともかく、雑種は強く育ちがち、ということです。これは特にバイオマスの増加(つまりでっかくなりやすい)でよく見られます。

この雑種強勢を利用して作られる品種をF1ハイブリット品種と呼びます。ほうれん草もこのF1ハイブリッド品種が主流となり、そのことで収穫量が一気に伸びました。

では、F1ハイブリッド品種のタネはどうやって作るのか。たとえば、2種類のほうれん草AとBの花をたくさん咲かせて、タネを取ればF1ハイブリッドの種になるか、というと、そこには問題点があります。ほうれん草は風媒花、つまり花粉を風邪で飛ばして雌花につけて受粉します。ほうれん草Aに種ができたとして、その花粉はAから来たのか、Bから来たのかわかりません。Aに種をつけたいなら、Aのほうれん草が花粉を出す前に全ての花をもぎ取る必要があります(除雄といいます)。クソとても大変。

そこで!性別です!!
ほうれん草は、雄と雌がそれぞれ独立した株となるので、AのメスとBのオスを植えればAを種子親、Bを花粉親とするF1ハイブリッドが除雄の手間をかけることなく、育てられるのです。花を咲かせる前(芽が出たらいつでも)に、植物を切り取って、DNAを調べればオスメスはわかるので、仕分けることができます。

育種への間性株の利用

タイトルにもあるようにほうれん草には実は連続したさまざまな性表現をする品種があります。現在では、それを利用したF1ハイブリッド品種のタネづくりが主流です。

オスとメスの両方の性質を持った株のことを間性株と呼んでいます。ほうれん草は、一株に大量の花をつけるので、その雄花・雌花、あるいは両性花の割合がさまざまな種類が存在します。

両性花を用いたF1ハイブリッド品種のタネづくりは、だいたいこんな感じです。まず、種子親には、基本雌花をつけるが生育後期に一部雄花をつけるほうれん草を用います。そして、花粉親には、雄花も雌花もつけるほうれん草を用います。そうすると、種子親にできる種はF1ハイブリッドの種になります。さらに!花粉親・種子親を単独で育てれば、自家受粉によってその系統を維持できます。

めでたしめでたし。
ではなく、じつはこの間性、どうやって制御されて間性になっているのかよくわからない部分が多いのです。今は、たまたまゲットしたいい感じの間性株を使えていますが、これからの品種改良を続けていく上で、他の品種を使いたくなったとき、性別の決まり方がわかっていれば、より効率的に親とする個体選びができそうな気がしますね。

さらに言えば、植物の性決定の分野は、進化学の観点からもとても興味深くて、、、ここはあまりにもマニアックゾーンなので、省略!

象牙の塔になりたくないよね

研究のことをわかりやすい言葉で伝えるのは、今後も大切になってくる気がするので、練習がわりにnoteに書いてみました。もし気になることや、訂正があったら教えてください。
いやむずい。

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