まあまあストレスだという話
第66回岸田國士戯曲賞の選考会が迫ってきているということで、戯曲も公開されたりするなかで、いよいよ、まあまあストレスを感じてきてはいるというのが正直なところだ。嘘をついたり体裁を取り繕ったりするのも嫌なので告白するが、もうこんな思い二度としたくないという気分ですらいる。僕がウディアレンみたいに「賞なんかくだらない」みたいな態度を取れるほどの性格や境遇(賞なんかもらわなくたって売れてれば)であればまだしも、学生の頃から図書室に通ってはこの賞の選評を読み学んでいた自分にしてみれば無視するわけにもいかず、まして、ロックなフリするやつが一番ロックじゃないという自明に立ち戻ってみても、やっぱし「ほしくない」なんて嘘はとうてい言えない。
他の候補者の作品もざっと目を通し、その面白さにビビっている。これまでの2回のノミネートの時も、たしか公開されていたような気がするのだけど、怖くて読めなかった。お笑い芸人のダイアンの津田氏が「賞レースは若い頃の傷が疼いてみれない」みたいなことを言っていたけれど、気持ちがすごくわかる。僕もこれまでこの賞で公開されてきた戯曲を読まなかった。読めなかった。
まあしかし、今回はちゃんと他の候補作を読みたいと思っている。だって読めばかならず仲間意識が生まれるはずだから。彼らの言葉を自分に取り込むことで、少なからずこの賞レースを相対化することができるはずだから。案の定、読んでみると、僕の中に敵意は微塵もない。みんなで盛り上げましょう!みたいな気持ちすらある。すごい!と思う作品もある。前年まで読んでこなかったのでわからないが、今回は相対的にレベルが高いんじゃないだろうか...? 怖い。ほんとに怖い。いまから努力ができるならまだしも、結果を待つだけなのがほんとにとても怖い。幸い締切がいくつかあるおかげで時たま無心になれるが、映画を観ている本を読んでいる筋トレをしているサウナに入っている酒を飲んでいる寝ている時以外の時間はだいたいこわい!ぎゅっとすると24時間のうち2時間くらいこわい!これが多いのか少ないのかもわからないくらいこわい!熱いお茶が一杯こわい!まんじゅうこわい!
受賞しなかった時のことと、その先の1年のことを考えとかないと、たぶんやばい気がしている。怖いとか言ってる場合ではなく、ちゃんと複数のストーリーのプランニングをしておかなければ、物語のつくり手としても、人間としても、まわりに迷惑をかけてしまいそうだから。あらゆる可能性を想定しつつ、きたる現実に自分なりの誠実さで対応していくほかない。まあいままでもそうやってきたわけだけど。
ところで先週の日曜日にGAKUでの授業の全日程が終了しました。おかげさまで、僕にとってもメンバーにとってもたいへんに実りある豊かな時間となりました。改めて御礼申し上げます。ほんとにすごいですあの場に集まった10代は。みんなほんとにすごかった。詳しいことはファウンドのリターンをご参照ください。メンバーの彼らとGAKUと演劇と演劇教育に未来あれ!