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noteのみなさんへ

けっこうやばいです。
数日を残してクラウドファウンディング達成率64%です。
参加してくれる中高生メンバーとの面接も終え授業の内容もある程度定まってきたので、僕の心配はあとはこれだけです。

そもそも僕がGAKUの精神に惹かれたのでこのワークショップのオファーを受けたわけですが、その辺りの過程の詳細をみなさんに知ってもらいたいと思い、ここに書くことにしました。
最後まで読んでくれたら幸いです。

はじめにGAKUから連絡が来たのが今年の3月でした。

*以下GAKU事務局Sさんからのメールの引用*
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GAKUは、渋谷パルコにある10代向けのスクールとして、
さまざまなクリエイターの方々と10代が出会う授業やワークショップを展開しています。
・公式サイト
https://gaku.school/


授業やワークショップ以外にも、
10代専用の「自習室」として放課後の時間帯に無償でGAKUを開放していたり、
地域を超えて全国の10代に届けたいという想いで、
クリエイターの方と10代がフラットな視線で対話するpodcast番組も配信しています。
・podcast「ガクジン」
https://gaku.school/post/genre/%e3%82%ac%e3%82%af%e3%82%b8%e3%83%b3

今回は、山本さまにこのpodcast「ガクジン」にご出演いただきたく、
ご連絡をさせていただきました次第です。
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まずこの端的な自己紹介の中で「渋谷パルコ」という固有名詞に僕はだいぶひっかかりました。
(渋谷パルコにスクール?)
(パルコが運営しているのか?)
(いやそんなことはないだろう)
(家賃高そう・・・。)
(しかも学生に放課後無償で解放してるって書いてある・・・。)
(どうやって運営してるんだろう?)

つまりは「渋谷パルコという家賃の高そうな場所で放課後を無償で解放しているスクール」ということになるわけですが、これがぜんぜんピンときませんでした。
(慈善団体?)
(公的機関ではなさそう。)
(僕が10代を過ごした山梨にはそんなスクールはなかったぞ)

そして続きのSさんの文面から、
[どうやらSさんは学生の頃から範宙遊泳の作品を観てくれていたこと]
[その流れで範宙遊泳がYoutubeにアップしているラジオも聴いていたこと]
[そこでの僕の「個々は間違いなくそれぞれの物語の主人公。だから群像劇じゃなきゃダメなんだ。」という発言が頭に残っていたこと]
からGAKUのポッドキャスト「ガクジン」への出演をオファーしたのだということがわかりました。

基本的に僕は下記の2つの条件で仕事のオファーを受けています。
・ご縁を感じること(日程のバッティングがない等含め)
・無償でないこと
(仮にわずかな報酬であっても強いご縁を感じられれば受けることもあるし、高い報酬でも雑なご依頼はご縁がないものとみなしお断りすることもあります)
Sさんのメールからはこの2つの条件をカバーしてくれる丁寧さを感じましたし、加えて「ガクジン」というポッドキャストがコンテンツとして面白かったこと、GAKUの実態が謎めいていて興味深いこと、からオファーを受けました。

https://gaku.school/gakuzine/29/

ポッドキャストの収録を終えて、ログズ株式会社の武田悠太社長とミーティングをしました。
僕はここではじめてGAKUを運営する民間会社の存在があることを知りました。
http://logs.co.jp/gaku.html
これまでGAKUはさまざまなジャンルのクリエイターと学生を繋げてきたわけですが、演劇は僕がはじめてだそうで、ぜひ僕に演劇の授業をして欲しいというご依頼の話を武田さんからいただきました。

僕はなぜ、民間の会社が、まして受験のための学習塾などとは違ったやり方で、アートと10代を繋げる教育のありかたを模索しているのか、その精神のピュアさにシンプルに感動しました。
つまりそれは公的機関がカバーしきれていない「心のつながりのこと」を民間が担おうとしているのだと。公の代替としての民のあり方の提示であると。僕には思えました。だから、公である学校(公立私立の区別は置いといて)のやり方に合わず(あるいはその物足りなさから)行き場のない感情を抱えた学生の逃げ場にすらなると、思ったわけです。そしてある意味で「精神の逃げ場」をつくり提供するために僕は演劇を志しているのだと考えてみれば、このオファーのご縁を断る理由は僕にはありませんでした。

少し脱線します。
僕は高校生の頃美大を目指しており美大受験のための民間の学習塾にも通っていました。決して安くない受講料のわりにあらゆるトラウマを植え付けられ結局人間不信で塾に通うのをやめてしまいました。僕の目指そうと思っていた美大は学習塾である程度のレッスンを受けていないと合格できない(と言われていた)ので、学習塾をやめる=美大を諦めるとなったわけです。結果として僕は高校3年の夏にやけっぱちに演劇の道に進んでよかった(高校の恩師服部先生には演劇の道を提案してもらって本当に感謝しています)とは思いますが、あの当時は本気で学校も塾も物理的に爆発してほしいと思っていました。

GAKUはそうした学習塾の役割を担っていないぶん、この場所に興味を持つ10代はたとえば「いままで芸術に興味はあったけど、ガチ勢に混ざるのはつらい」「別に受験や進路とは関係ないが芸術を知ることで自分の今後の人生に活かしたい」といった人々が集まりやすくなるわけです。後者においては10代という限られた時間のなかで意識を高く持って生活していなければ辿り着けない思考です。実際、今回の授業に参加してくれる生徒ひとりひとりと面接をしましたが、全員がすみからすみまで演劇を学ぶことによって少しでも自分の人生を豊かにしようとしているのだと感じました。演劇がこのように人生に応用されていくことに、そしてその需要が若者であることに、僕は希望を感じました。

かような経緯でオファーを受けたものの、資金源が問題となりました。資金繰りのために演劇界隈からスポンサーを募ることは可能だろうかと武田さんから提案されました。たとえば民間の演劇系の会社が協賛してくれる可能性はあるかと。そもそも演劇とのコラボレーションはGAKUははじめてで、演劇界の実態もわからないのでどのように資金を集めればいいのだろうかと。
僕はこうした演劇教育に民間企業がスポンサードしてくれるビジョンがどうしても描けず渋りました。ごめんなさいわからないですと。なので僕より遥かにその辺りの知識がある劇団の制作の坂本ももをGAKUと繋げミーティングを重ねました。

助成金を利用するなど資金繰りに関するあらゆる方法も考えたのですが、はたして我々がやろうとしていることがその対象になるのかといえばならないということ、そして募集期間が過ぎたものばかりでした。ましてスポンサーを募るのもあまり現実的ではなく、なによりももっとGAKUの活動を一般の演劇関係者に知ってもらったほうがいいのではないか。もう少し演劇関係者に教育に目を向けてもらうきっかけをつくれないか。そう考えた結果、クラウドファウンディングに辿り着いたというわけです。

それが現状、11月7日の締め切りを前にして10月29日現在達成率63%というわけです。まあまあやばいです。是が非でもファウンドしてくれとは言いません。ご自分のご無理のない範囲で、これになんらかの学びをご自身に感じられると思われればぜひご協力お願いいたします。

そしてたとえみなさんのご協力があったとして
もちろん
僕は試されてもいるわけです。
GAKUというこのオルタナティブな場所で、確かで、かつあたたかいもの、を膨らませられるかどうか。
否定や、冷たさ、ぜつぼう、に勝てるかどうか。
つねに試されているのだという緊張感を忘れたくはなく、つまりそれは僕自身の作品創作の哲学そのものの挑戦であるとも思っています。

失敗したら笑ってください成功したら忘れてください。
そういう感じで、演劇人生、やってゆきたいと思っております。

https://camp-fire.jp/projects/view/453957

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