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かつてのUHFが、洋楽ファンを増やした(1)
(マガジン『ギャグ説のロック史』)
子供の頃、たった2年ほど住んでいた家で、どういうわけかUHFが映った。
なぜ映ったのかは分からない。いや、映ったのはアンテナがあったからだろうが、ようは、なぜその家にアンテナが立っていたのか分からないということだ。
ホントにたまたまだったのだろう。当時は、UHFという言葉も知らなかった。
UHFなどといっても分からないだろうし、また知っていても、当時の意味合いでは分からないだろう。
1980年代前期の言葉感覚で、UHFはローカルテレビ局のことだった。
ローカルテレビ局。関東で言うところの、テレビ神奈川、千葉テレビ、埼玉テレビなど。端折るが、群馬テレビなど北関東にもある。
当時は、一般のアンテナとは別のチューナーやアンテナを付けないと、観ることができなかった。特殊なテレビ局で、チャンネルも42chとか46chとか。
その中のテレビ神奈川で、当時、洋楽を大きく採りあげていた。もっとも当時は、名称が「TVK」だった。
1980年代前半、首都圏在住の人で、「TVK」を観る人はけっして多くはなかった。観る装置もなかったし、映ったところでつまらなかったからだ。
隙間産業ともいえるUHFチャンネルでは、マニア向けの番組が稼ぎ頭だった。競馬中継の平場レース。高校野球の県予選に、パ・リーグ戦にマイナースポーツ中継。
まぁ今から比べれば、マニアの範疇にも入らないような、薄いマニアだ。平場レースと言ったって、中央競馬のレースなのだ。しかしあの時代は、「こんなものだれが観るんだ?」と言われるような位置づけの番組だった。現在に例えれば、高知競馬の(レースではなく)調教VTRを流しているようなものか。
そういった、一部の人間だけが欠かさずに観るような番組に頼るような、テレビ局だった。
それ以外では、地域の情報番組。そして、メインの放送局が以前に流していた「お古」の番組(特にアニメ)を流していた。
一応、メインの放送局とは、日テレ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京。当時、地上波などという言葉はなかった。
当時経営は厳しかったと聞く。その「TVK」が、突然洋楽に力を入れだした。
神奈川テレビは、さすがにその地域に横浜というオシャレな文化都市を抱えているだけあって、洋楽を受け入れやすかったのだと思う。また、それらが流行っていることも感じられたのだろう。
(つづく)
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