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東京で最も小さな花火大会(6)

 
 これほどまでに1発1発にインターバルがある花火大会を、他に知りません。
 
 花火が上がり、「わぁ」と思っては、待ち。そしてまた上がり……。
 
 悪く言えば、「間延び」。しかしよく言えば、「1発1発、丁寧に」。
 子どもの頃、レストランで注文がなかなか来ないで焦れていると、「特別丁寧に作ってくれてるのよ」と親に体よくごまかされましたが、このときは自分自身で気持ちをごまかしました。「丁寧に打ち上げてくれているのだな」と。
 
 そんな「間」はあっても、となりとのスペースがあり、そしてまた河原なので涼しく、心地いい場所での観覧ということで、とても豪華な花火に感じます。
 
 バンバン打ち上げないので、華やかさはありません。しかし、「間」のある素朴なペースの打ち上げが、自分だけが味わえる特別感を演出してくれます。こんな「間」を置く花火大会など、東京で体感できるのはここくらいでしょう。
 
 そしてまた、ここは東京の西のはずれの観光地。とっても空気が澄んでいるところです。花火が散っても煙の流れがはっきり見えて、花火の余韻を残してくれます。
 さらには、夜空に無数の星が見え、花火が消え去っても、その数万光年の瞬きが目を楽しませてくれます。



 思えば、花火大会の時に星を楽しんだ記憶がありません。次々打ち上げられると、花火にしか意識が向けられません。
 
 この「間」が、他の花火大会にはない演出を打ち出してくれるのです。
 

 最初はその「間」に対し、ちょっと苦笑を浮かべたくなるような、セコい印象を持ちました。
 
 しかし徐々に、まるで上手なドラマーが音数少なく叩くリズムのような、一歩引いた妙技に感じていきます。
 
 このペースでずっとずっと続いてほしいなぁと思いながら、空をじっと見上げます。

 (つづく)

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曠野すぐり
書き物が好きな人間なので、リアクションはどれも捻ったお礼文ですが、本心は素直にうれしいです。具体的に頂き物がある「サポート」だけは真面目に書こうと思いましたが、すみません、やはり捻ってあります。でも本心は、心から感謝しています。