中馬さりの『ポワブロン殺人事件』後編
僕はそれぞれの証言を御剣先生に伝えた。
彼女は被害者に差し出されたのと同じ、3人分のシェフが作ったピーマンのファルシを完食しようというところだった。細身のどこにそれだけの料理が入ったのだろう。
「羽崎君。確認だが、アトロピンが検出されたのはピーマンのファルシ。それも1食だけだった。
食べられなかったNo.2、No.3の料理は異変がなかったし、カトラリーに忍ばせられていたわけではなかったね?」
僕は頷く。それを見て、御剣先生は、先ほどまでピーマンのファルシがあった皿に視線