泣いてるひばりのゆずれないこと について
脱稿してかれこれ何週間か過ぎているが、改めてちゃんと経過諸々について書いておかないとどんどん過去のものになって忘れていくな……と思い記録。
本文を読む上で必要なものがあるか問われるとないです。
ことのあらまし
この時に描いていたネームのキャラクターの細かい設定と大枠のシナリオラインを変更して描いた。元々の設定ではひばりが主人公で譲は子役ではなくアイドルの設定だった。(後述記載)
テーマ
怒りの受容
あかるい水槽(以下、水槽)でも似たようなことを描いたけれど、(というか私が描いたものなのでどうやったところで似たようなことしか描いていない)『外に発露したところでどうにもならない日常の吹き上がり(怒り)』が軸になっている。
ただ、水槽はそれらに対して静かに怒ったり見下したり(深月)、逆に静観したり(大井)していたのに対し、今回はいやそれは……怒ってよくない?!と怒りを声にあげる形にしようとなんとなく意識して描いた。
現代において「自分の言っていることはあながち間違いではない」と相手に論じる空気に反発の怒りを返した場合、大概の確率で「私はあなたのことを思って言っている」「反発の怒りで前が見えなくなっている」と碌な返答されることがないことを譲もひばりもうっすらとわかっているので表向きには人に見せないけれど、でも怒ろうと思えばいつだって怒ることはできるし、そういう気持ちはどういう性別でどういう立場でもあってもいいよね。みたいなことを描きたいな〜みたいな気持ちで描いてはいた。
譲は今までその選択を取ってしまったからには覚悟を持ってやってきた(犠牲にしてきた)ことが、他者(母)から無碍にされたこと。
ひばりは今まで努力してきたことを「器用だから」の一言で無碍にされたことを怒りの発露にしている。
ただ、二人ともその事実に怒っているというよりは(もちろん、その事実そのものにも怒ってはいるのだけれど)無碍にした人間が「自分の言っていることはあながち間違いではない」と相手に論じる空気に怒っているようにしたかった。
自分より怒っている奴を見るとなんか冷静になってくる
譲は雨の中傘ささずにガチ泣きしているひばり対して、ひばりは教室で話を聞いた譲に対して。
ダンジョン飯の殴り合っているカブルーとミスルンを見てヤバ……(ドン引き)となっているマルシルみたいなのが描きたかった。
頑張っているあなたは格好いいよ
って譲にもひばりにも私が一方的に思っている。
譲は役者を続けるしひばりは部活をやめたという対比があるけれど、それでも譲はひばりのこと格好いいと思ったしひばりも継続している譲のことを格好いいと思っている。
カップリングではないけれど互いの志を格好いいと思っている男女
好き好き大好き
中身について
タイトル
個人的には気に入っている。それはそれとして赤ブーのオンリー名みたいだなとも思っている。
マカロニえんぴつの『忘レナ唄』を聴いた時も思ったが、ワンフレーズまたは二文にキャラクターの名前が二人ぶん入っていると一気にカップリングオンリーの名前みたいな味がして勝手に面白くなってしまう。
表紙・装丁
元々イベントそのものもかなりギリギリの滑り込みで申し込みしたこと、とにかく本文優先で描いたので意図的に表紙について考えることを後回しにしたこと、いつも表紙デザインを頼んでいるフォロワーがアークナイツの原稿で忙しそうなのもあり、脱稿一週間くらい前に半べそで仕上げた。
確認したら最後にフルで仕上げたのは比治沖のペラッペラのエロ本以来だった。
久しぶりに表紙デザインをやってみて、改めてデザインは本当に持てる知識をひっくり返した上で解体と整列の繰り返しであり成せる人は本当に凄いことだと実感した。
これからも堂々とお金を払っていきたいと思います。
脱稿後にミッドタウンで開催している『日本のグラフィックデザイン2024』に行ったが、頭ではなんとなくわかっていたし当たり前と言われればそうなのだが、同人誌の装丁デザインとポスターデザインって全然違うな……と感じた。
ポスターとお品書きのデザインをする上ではめちゃくちゃ参考になりました。
紙媒体の本文奥付けにはモンテルキアと記載していますが間違いです。
あと遊び紙も裏表一緒に見えるけれど、発注書を見るとちゃんと異なっているのでこれは…………ちょっと私にもわからない。正直まぁいっかと思ってる
本当はパール系の装丁を考えていたが、おたクラブのパールスノーペーパーが在庫切れしていたことと、7月下旬から8月上旬頃に『暑さでPPかけてない表紙はインクが溶ける』みたいなツイートがバズっていたこと。さらにおたクラブが仕様変更によりパール系の用紙にPPが貼れなくなっていることから用紙変更。最終的にファンタスに落ち着いた。
ファンタスマットPPは過去二次創作(比治沖)同人誌でやったことあるからなぁ……と若干しぶりがあったが、色を変えれば雰囲気も変わるし……ということで落ち着いた。
あと素人目には全くわからないが、多分おたクラブの表紙印刷の方法は変わっていると思う。
タイトルだけほとんどベタ打ちで味気がないのが悔しくて、後日タイトルロゴだけ別の人に発注をかけた。見る機会があったら見てあげてください。
本文
3Dモデルのセットを一通り作ることを覚えた。
年々3Dがないとやってられなくなってきてお前それは……だめだろ!と思う反面、本当に本当に画面構成のレイアウトを考える〜修正に至るまでが苦手で嫌いで仕方がないので頼っていくしかない。というか法と倫理観に触れていない便利なものに頼って何が悪いんだよ……。
前回も同じことを言っていた。
今回新しく『アナログ風つけペン』を導入。
モノクロ本文がすご〜〜〜〜く描きやす〜い!!!なんとなくHIMOG丸と似ている気がする。多分今後しばらく本文かモノクロ絵はこれを使っていきそう。
表紙もこれでペン入れしたが、カラーの場合マーカーみたいに不透明度が薄く後ろのレイヤーの色が若干透ける仕様になっていたため塗り分けで苦戦した。
おそらく現代の線画のペンにおいてこれがスタンダードな流行りではあると思うので、私が単純に使いこなせなかっただけではある。
制作進行について
6月9日(おそらくCOMITIA149サークル締切の前日か当日)に突発でサークル申込。この時点でどう自機を見積もっても最低二ヶ月弱で脱稿しなければならないのか……と腹を括った。
このサークルカットを作った時点で細かいところはあまり考えていなかったが、怒りの需要をテーマにすることはぼんやり決めていたので、この二人が作中でしない表情を意識してサークルカットは作った。
もともとひばりを主人公に据えて、性格もひばりと譲で逆のような雰囲気でプロットを切っていたが、このプロットとシナリオの流れは変えないまま主人公を逆にしてもまぁ成立するよな……と思い主人公を変更した。変更したらめちゃくちゃ早くプロットがまとまった。
ネーム切っている際にフォロワーと伊勢志摩(+名古屋)に旅行に行ったりした。
6月プロット・ネーム、7月本文・表紙みたいなスケジュールで原稿を行なった。
一ヶ月で本文と表紙を終わらせる場合のスケジュールを同人手帳で確認したら難!みたいな空気が流れたので、それはそうなのですが……と思いつつ、概ね下描き10日、本文ペン入れ10日、その他5日、表紙一週間……くらいのざっくりした日付に合わせて平日休日問わず目標1日16コマ描けばめちゃくちゃ余裕で終わるという算段を基に原稿をした。
ピエール手塚先生も言っていたけれど本文はページ数よりコマ数で区切った方が絶対効率がいいと思う。
ペン入れとベタを同時作業にしたらかなりテンポ良く原稿が進んだのもあり、7月後半にはかなり作業が余裕を持って終わっていた。
余裕を持っていたので途中カラーの練習と称して身内のTRPGの立ち絵を描いたりしていたら最終的には目標〆切ギリギリの脱稿になってしまった。
各キャラクターについて
譲(ゆずる)
本名 立花 譲 (芸名 知花 ユズ)
168センチ
家族構成は母(マネジメント業)のみ。父親は幼少期離婚
誕生日は考えていないです。(そのうち考えたら記載します)
大人びているというよりは環境が本人を大人しく見せているような感覚。
それはそれとして客観的視点で見ると誰が見ても本当に大人びて聡明に見えると思う。
自分の仕事のことは好きだし、それと同じくらい友達のことも好きなので友人とは自分が参加できない枠による壁がありつつも疎遠になることはないと思います。ないといいな……。
元々役者ではなくアイドルで話を回そうとした名残で歌はあまり上手くないです。
あと演技のためなら練習するしそれ相応に魅せられるよう形にしますが基本的に手先がそこまで器用ではないです。
ひばり
本名 市ノ瀬 ひばり
158センチ
家族構成は父(会社員)・母(パート勤務)・妹(小学生)・祖母(カラオケ趣味)
誕生日は考えていないです。(そのうち考えたら記載します)
もともと歌がうまい、祖母がカラオケが好きでその影響で十八番が演歌という設定だったのもあって名前がひばりになっている。
楽器をユーフォニアムにしたのは実生活の中で吹奏楽部に所属していた人のパートを聞いた際、比較的メジャーな楽器だと思っていたユーフォニアムを知らない人がいたから。(後から考えるとその人は円滑な会話のために知っているものに対し知らない素振りを見せる人であったため、実際の学期の認知度は正直自分にはなんとも言えない)
小学校からユーフォを弾いていたが譲はいつまで経っても名前が覚えられない。
中学部活で退部届を出すのは結構面倒(特に吹部は面倒なイメージがある)(偏見)なのでおそらく退部届は出していないし、同級生も顧問もそれなりに引き止めたり言い合ったりしたと思うが、最終的に部員とはそれなりの軋轢を残しつつもまぁいっか別に……と思っている。そこに至るまでに沢山泣いていると思うので……。
作業BGM
あまり水槽と変わっていない。