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東京国立近代美術館の「ハニワと土偶の近代」展、土偶の日(10.9)イベントに行ってきた #ハニどぐ展

※展示内容というよりも、周辺情報に対しての感想が多めです。


はじめに

数か月前の夏の始まりだった頃、この「ハニワと土偶の近代」展のイベントの開催予告を見ました。

おー、これは興味あり。
ハニワも土偶も、見てみたいなー(←後に色々勘違いも生じるのだけど、今は伏す)。
そして、夜のミュージアムってなんかムードあるよねっ!
あと最近面白いイベントを知っても、なかなか行けてないなー(昨年の棟方志功展とかいつでも行けそうと思ってたまま逃したし)というわけで、速攻で申し込んでみるか、と決意。

特に「人数限定の夜間特別鑑賞会(担当研究員によるレクチャー付き)、展覧会公式図録、オリジナルグッズがセットになったプレミアムチケット」というのは興味があるなー。
しかも、10月9日(=土偶)と、11月20日(=ハニワ……って11をカタカナの「ハ」に見立てたのかな? 調べると8月20日もしくは8月28日がハニワの日らしいけど、会期外だからなぁ)というユーモアにもちょっと惹かれたというのがありました。

申込 そして参加前

どちらも「各日140枚」と限られている。というわけで、受付開始日の受付開始時刻に速攻で申込!
(ただ結論から言うと、そこまでのプレミアチケットというわけでもなかったよう。売り切れたけどね)

この時点で気になってたこととしては、
・公式オンラインページからのチケットしかないけど、チケットの販売ページがちょっと独特。
・オンラインチケットなので、購入後にメールが届き、QRコードを見せればいいのだけど……このメール無くさないようにしないとなー
(←基本的にスマホでチケット提示が苦手なオイラ)

そして開催が近づき、改めて詳細を確認し、
・あれ、会場が東京・上野じゃない!
・東京国立近代美術館の最寄りは、東京・竹橋駅だ!(直線距離で3kmだけど、電車だと小一時間はかかる)
と気づく。
勝手にイベントの文化系テイストから、「東京都美術館」や「国立西洋美術館」、「東京国立博物館」や「国立科学博物館」と勘違いしていました(これらは全部上野)。あぶないあぶない。

あと、イベントが近づくにつれ、SNSでもハニワ話題がちょくちょく流れはじめます。特に僕は、静岡県浜松市の出身なので

鹿形のハニワ! かわいい!
と、今東京に住んでいる私ですが、実はこの10月頭は、浜松に一時帰省していまして。結局色々とあって10月9日当日朝まで浜松に滞在。
ちょうど鹿形のハニワを追いかける形で、東京に行くんだなーと思っておりました。

なお、東京に戻ってきたその日の午後は、

渋谷で開催の「肌色が多いアートイベント」を鑑賞していたのだけど、それはまた別の話(笑)

いざナイトミュージアムへ

17時50分ごろ、最寄りの竹橋駅へ到着。
10月なので外はかなり暗い。

駅から徒歩2分との表示は、ちょっと頑張りすぎだけど(笑)、看板が出ているので方向オンチの僕でもたどり着けた。ただ、上野とは違い(皇居のお堀はあるものの)車通りのある道路に面しているので、ムードはまるで違う。

美術館に入る前に、スマホのチケットが大丈夫かの確認を促され、入っての入口で提示。そして本日のイベント概要の紙と「まずは担当研究員によるレクチャー」と地下のホールへと誘導される。
閉館後に行うイベントだからか、ちょいとイレギュラーな対応感(スタッフのみなさんの対応は丁寧なのだけど、悪くいうと不慣れな部分があり)も感じられました。
あと、そうそう。入口正面には、でっかいこの子たちがお出迎え。


はに丸とひんべえ。等身大、でかい!

そりゃ、童心にかえって写真を撮りたくなりますわー。

当時よく見てましたわ、NHK教育テレビ(Eテレではない時代w)

さて会場はほぼ満員。
一番前の席一列が空いていて、こういう時は最前列に座るオイラだったのですが、いざ行ってみると「関係者席」の貼り紙がしてあり、着席できず、残念。でも前寄りの席に座る。
(その後も、何人かの人がこの最前列の席まで降りてきては、座れないと注意されて空席を探すという場面を目撃。このアナウンスはスクリーン上に書かれているか常に口頭でお知らせあると嬉しいなあ(自由席のイベントで前列座る人がなかなかいないのはよく見るけど、こういう好きな人が集まるイベントは逆に座りたい人多いし)。なお、関係者というよりもスクリーンの投影時に影にならないという目的があったよう)

そして、開演。
スケジュール的には、30分のレクチャーが終わったら、各自自由に展示会を閲覧してください。んで20時までには帰ってね、という内容。
うー、バスガイドさんのように参加者を誘導して、都度々々展示物の前で説明があるという感じではないのか。(←ここら辺も想像と違っていた)

登壇されたのは、主任研究員のかたで土偶担当の方。
「学芸員なので、考古学は素人でして……」との前置きがあり、話がスタート。

・「縄文時代」という言葉は、明治時代に生まれた言葉(スライドでは、日本初の考古学調査である「モースの大森貝塚」の調査している写真が映し出される。そんな感じで、説明に応じて実際の写真が色々と提示)
・ただ江戸時代にも、学術的ではなく骨董的や珍しもの好きという価値で、縄文土器は愛でられていた。『八犬伝』の作者・滝沢馬琴などは絵の記録が残っている。

・1895年、「みの虫山人」による縄文展などを経て、大正末から昭和初期までは、土器は「工芸」として見られるように
・1924年、縄文土器を現代美術と並べるなど、「美術」としての関わりも出てくる
・1920年代、海外では「先史時代への注目」がブームとなっている(洞窟壁画の発見、ピカソやマティスの作品など)
・1930年代、パリで縄文時代を雑誌に発表。
中谷宇吉郎(雪の研究者)の弟さんとの紹介に少し驚くオイラ。
・その後、戦後すぐの岡本太郎の縄文土器論、60年代の若者文化(反体制のカウンターカルチャー)、70年代のSFオカルトブームなど

といった学術的な話で30分が終了。
なかなかハードな内容だったなーとの所感(退場時に来場していたお子さんに「ごめん、眠たかったよね」とフォローされていた)。

なお、後ろの席から順次退場して展覧会へ、という流れだったので、前寄りの席の自分はスタートダッシュを逃す(←いや、結果的にはそんなする必要なかったのだけど 笑)

いざ展示会へ

そしていよいよ展示会へ。
見る順番は自由、とのことなので、最初のゾーンの渋滞を尻目に「ここはまた後で来よっ」と、どんどん人が少ない先から観て行く。

そして、今回やっと気づいた、最大の勘違い。

この展示会には、縄文時代の土偶や、古墳時代のハニワは、無い!

じゃあ何が展示されているのかというと、学芸員さんの話にあったように「江戸・明治期、そして大正・昭和・現代と、「土偶やハニワがどのように描かれてきたか」を、美術作品で辿る」感じ。
だから、会場が「東京国立近代美術館」だったのかー、と納得。

じゃあ、つまらなかったのか、というとそういうわけではなく。

それこそ明治期に海外に土偶・ハニワを紹介した書物の現物があったり、当時(縄文時代ではなく明治期ね)を伺い知るものは色々。

そして、個人的に感じたのは(あくまでも僕の所感ですからね!と念押し)
これ、美術館からのメッセージで「戦争反対」の想いが感じられるなあ、と。

土偶もハニワも日本古来のモノということで、「日本を象徴するもの」として使われていた。
そして戦時中もたとえば「紀元2600年」のグッズにもイラストが添えられるなど、日本としての士気を高めるアイコンとしての使用があり。
そして、終戦後。縄文土器vs弥生土器論など、改めて日本の本質とは何かを問う形でもあったんだなぁと。

もっとも、そのようなことを気にせず、「ハニワや土偶の色々な絵画や作品が並んでいる」美術展として、フツーに鑑賞することも可能。
『おーい、はに丸』の第一話など、映像コーナーもあります。

なお、個人的におおーと思ったのは、近年のエンタメコンテンツとの関わり。
国宝のハニワ「挂甲の武人」がモデルということで、何と特撮映画『大魔神』が展示!(顔だけですが、それでも迫力!)

さらに最近のエンタメとの関わりをまとめた一覧表もあるのですが……

『仮面ライダーW』のクレイドール・ドーパントを土偶として解釈!
確かに粘土製の怪人だけど、その発想は無かった!
……とツッコミを入れられるリストではあるのですが、ちょっと特定のアニメ特撮要素が強すぎてpixiv百科事典あたりをソースにしすぎている気がする(苦笑)。

そして出口間近となり、あらためて先程見てこなかった最初の展示を見つつ、再度さーっと眺めつつ終了。
ちなみに、最初の展示は「この美術館が1979年に地下収蔵庫を新設した際、発掘調査で出土した縄文・弥生時代の土器片」。
最後の展示は「その土器片を、開館当初の1959年の皇太子さまご成婚の記事の新聞紙の上に置いたもの」という、オシャレ演出でありました。

まとめ(というほどまとまっていない)

・展示の外は、いわゆるグッズ売り場ゾーン。小さな土偶・ハニワオブジェなど色々充実。
・今回退館時に渡された「オリジナルグッズ」は、この夜間特別鑑賞会のオリジナルではなく、展示会のグッズ。残念。
(最初に配られた紙に、その内訳と、誤ってグッズ売り場で買わないでねという注意が書かれていた)
・展示会内は、撮影OKの箇所が多い。NGの箇所にはちゃんとその旨のマークが貼られている。
ただ、NGエリアが固まっているわけではなく、飛び飛びにNGがあったりすることもあるので、常に注意が必要。
(こーゆーのに結構気を払ってるつもりだったボクも、一カ所だけ撮影NGの絵画を取ってしまい注意された。慌ててその場で削除した)
・有料の音声ガイドは、はに丸の声を務めた田中真弓さんのナレーション。今回は時間の都合もあったので無しで鑑賞しました。
・あらかじめ、ざっくりと近代史を押さえておくと、見方が変わってくる。そういった意味では、最初30分のレクチャータイムは役に立った。
(ただ聞くだけで理解は結構困難。最初から図録を配ってくれたらいいのに……とは思った)

で、本物の土偶とハニワを見たくなったら、どうするか?

2024年10月16日~12月8日まで、「東京国立博物館」(今度こそ上野)で、特別展「はにわ」が開催されました。
(来年1~5月は九州国立博物館で開催)

こっちだったかー(笑)!

そういえば、浜松からの鹿形埴輪についても


ちゃんとその旨が書かれているではないか!

というわけで、もちろん近代の美術を土偶・ハニワの観点から鑑賞するのもいろいろ興味深かったけど、カワイイ鹿形ハニワで癒されるのもいいなー(まあ会期が終われば浜松市博物館で見られるんだろうけど)と思うマサルさんなのでありました。

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