【新卒採用】オンライン採用でミスマッチは増えている?-応募段階編-
こんにちは!普段フリーランスで人事をしている「すごい人事(※)」情報局のゆいです!
コロナ禍になって、新卒採用活動をオンラインで対応する企業が増えましたね。
慣れない環境とやったことなのない手法で、人事側も就活生側もとても苦労していると思います。私の周りでは「最後まで会社に行くことなく選考が終わってしまった」と話している就活生がいました。
21卒採用を振り返ったときに、オンライン採用で最も苦労した点は「ターゲット層の応募者を集める」でした。
オンライン採用の課題は各フェーズごとにあると思いますが、今回は「ターゲット層の応募者を集める」ために、「ミスマッチを防げるような情報提供」についてピックアップしてみました!
※すごい人事…「採用トレンド」を理解し「アジャイルな(変化に対応できる)組織づくり」ができるVUCA時代の引っ張りだこ人事!
1-1.オンライン採用の課題~就活生側~
オンライン採用の課題について、まずは就活生側の視点から振り返ってみます。
コロナ禍でオンライン採用が増えた21卒新卒採用において、就活生の67%が「画面越しだと、企業や社員の雰囲気が分かりにくい」と答えたアンケート結果があります。冒頭にお話した就活生も、内定承諾はしていましたが「会社の雰囲気がわからなくて不安」と話していました。
オフラインでは伝えることができていた企業や社員の雰囲気について考えると、まず、オフラインでは就活生にオフィスへ来てもらっていたので、オフィスの内装や働く人を見ることができました。
説明プレゼン時には、人事や先輩社員の表情や仕草、掛け合いを見ることができます。さらに、オンラインでは資料共有しているとスピーカーの顔が小さくなってしまいますが、オフラインではそのようなことがありません。
アンケート結果からもう1点「質問するタイミングがつかみにくい」を考えると、オフラインでは、説明会が終了したあと、人事や先輩社員に個別で質問に来る就活生が見られました。
しかしオンラインでは説明会が終了したら個別で質問するタイミングを設けにくいので、質問するタイミングが見つけられない就活生がいるのだと考えられます。
正直なところ、直接会って見たからといって会社のことを全て理解できるとは言えないと思いますが、オフラインで感じることができた会社の雰囲気から、自分が会社で働くイメージを持つことができていたのだと思います。
1-2.オンライン採用の課題~人事側~
次に人事側の視点から振り返ってみます。
コロナ禍前後で新卒採用活動を比較したときに、「オンライン説明会では手応えがない」と答えた企業が52.5%となりました。
「手応え」とは何でしょうか?
これは私の体験談となりますが、私はオフラインでの説明会では、会場の雰囲気を見ながら空気を作って話をしていました。就活生が緊張しているようだったら笑いを取り入れて場をほぐしたり、就活生に参加してもらるよう簡単な質問をして手を挙げてもらったりという感じです。
しかし、オンラインの説明会は就活生一人ひとりの顔をちゃんと見ることができず、時にはカメラとマイク共にオフにしてしまっていたので、説明会全体の雰囲気をつかむことができず、笑いを取り入れることが怖くて淡々と話してしまうことがありました。
慣れてきてからは、zoomのアンケート機能やリアクション機能を使って少しでも雰囲気をつかむ努力をしていますが、オフライン程のことはできずにいます。
また、「双方向の座談会やディスカッションが難しい」については、人事からの会社概要説明のあと、先輩社員に登壇してもらうコーナーを設ける企業が多いと思いますが、オフラインではできていた「ざっくばらんに話す」ことは、双方向のコミュニケーションが成り立つからこそできることなので、オンラインで大勢の前で一方的に話すシーンには向いていないのでしょう。
このように、説明会に参加する就活生とコミュニケーションを取り雰囲気を見ながら、その年の就活生の傾向を確認する人事が多かったのだと思いますが、オンラインでは雰囲気を見ることがやりにくくなってしまいました。
就活生と人事が共に雰囲気で理解を深めてきていた結果、オンライン採用に切り替わったことが影響して、アンケート結果の「エントリーシートの質が例年より低い」に繋がっているのだと考えられます。
2-1.ミスマッチは採用基準の言語化に課題があるかも
就活生と人事の双方が、雰囲気で判断してきたことがミスマッチに繋がっているのだとわかったので、「雰囲気」をオンラインでもわかるよう明確にしていくことが必要だと思います。
中途採用と違って業務実績が無い就活生の採用基準は、スキルよりもポテンシャルで判断していることが多いと思います。例えば「コミュニケーション能力がある」や「地頭がいい」という基準は、貴社にあったりしませんか?
では具体的に「コミュニケーション能力がある」や「地頭がいい」とはどのような状態のことでしょうか。
オフラインでコミュニケーションが取れていた状況では、説明会で話が盛り上がったり、面接で会話が弾んだりしていた中で、雰囲気で「この就活生はコミュニケーション能力がある」と判断していたことがあったのかと推測されます。
このように雰囲気を含んだ採用基準に基づいて、説明会から就活生とコミュニケーションを取っていたので、コミュニケーションが取りにくくなったオンライン採用下においてミスマッチに繋がっているのだと思います。
つまり、採用基準を言語化していくことによって、ミスマッチを少なくすることができると言えます。
例えば、「コミュニケーション能力」という言葉は多くの企業で見かけますが、求められるコミュニケーション能力は各社で異なると思います。
無形商材を売る営業職であれば、顧客の課題をヒアリングできて、信頼関係を構築することができ、絶妙なタイミングで的確に自社が提供できることを伝えることができる能力になるのではないでしょうか?これは、初対面の人とすぐ友達になるスキルやプレゼンスキルとは異なると思います。
しかし、就活生は営業職に求められるコミュニケーション能力に違いがあることを知らない場合が多いので、商材によって求められるスキルが違うことがわかりません。
情報提供する側が、一括りに「コミュニケーション能力」としてしまうのではなく、それはつまりどういうスキルなのかについて伝える必要があります。これは、営業職に限らず他職種も同様です。
2-2.言語化していく方法
それでは、どのようにして採用基準を言語化していくかについてお伝えしていきます。
最初に、各職種で自社に必要な○○力をピックアップしていきます。○○力は次の図を参考に検討してみると良いと思います。
ポータブルスキルとは、汎用性の高いスキルを指しビジネス基礎力を表現しているので、ポテンシャルスキルを検討することに適していると思います。
ピックアップする際に注意したいことは、全てを兼ね備えた就活生はいないということです。相反するスキル、例えば冒険力と慎重力のようなスキルを両方求めることは現実的ではないですし、ピックアップするスキルが多ければ多いほどフィットする就活生の母数は減っていきます。
次に、ピックアップした○○力は、自社でどのような行動に紐付くかを具体的にイメージします。先ほど挙げた無形商材の営業を例にすると、傾聴力と分析力を組み合わせると、顧客が持っている抽象的な課題感をヒアリングして具体化する力があると言える、といった具合です。
このときに「社内のAさんのような」と社員を例に出せると、社内で共通認識を持ちやすいのでオススメです。
最後に、検討してきたスキルは端的にまとめるとどう言えるのかということを言語化します。この際、また○○力と表現してしまうと、就活生が言葉に対する先入観で間違った認識をしてしまうかもしれないので、なるべく一行の文章で考えた方が良いです。
サイバーエージェントのエンジニア新卒採用を例に挙げると、下記の5点が求める人物像になるそうです。
可能であれば、この言語化する作業を採用のステークホルダーと一緒に行うことができると、社内で統一して採用基準を持つことができるので、ステークホルダーを巻き込んで検討してもらいたいです。
2-3.新卒採用でターゲットになる就活生が欲しい情報を提供する
言語化ができたところで、最後に検討したいのはその就活生がどのようなペルソナになるかということです。
社内のAさんのような就活生は、どのような価値観で、何を基準に会社を選んでいて、自社のどのような点に魅力を感じてくれるかということを具体的にイメージできるようにします。
会社説明でよくある内容は、会社概要/会社のミッション・ビジョン・バリュー/事業の紹介/仕事内容/福利厚生/求める人物像/先輩社員だと思います。
先ほどは「求める人物像」の言語化をしましたが、ここに言語化した求める人物像を入れるだけで採用したい就活生に魅力が届くかというと弱いように感じます。
また私の体験談になりますが、ベンチャーで開発のサイクルが早い企業で新卒のエンジニアを採用する際、ペルソナとなる就活生は、自ら新しい技術や言語を学び、コードを公開したり作品をリリースすることでフィードバックを得てスキル向上をしている傾向がありました。
そのような就活生は、学習することに対して会社が補助してくれるか、入社してどのようなスキルが身につくか、スキルの高い先輩はいるかなどについてが会社選びの基準になっていました。
ペルソナとなる就活生が求める情報を説明会の時から発信することで、ターゲット層の応募者を集めることができ、ミスマッチの少ない採用に繋げることができます。
3.まとめ
コロナ禍でオンライン採用が増え、今までは雰囲気で伝わっていたものがオンライン環境では伝わりにくいということがわかりました。そのため、今まで以上に意識して言語化をして伝えていくことが重要だと言えます。
説明会だけでなく面接も同様に、雰囲気で就活生のポテンシャルを判断している可能性があるので、言語化したペルソナは採用ステークホルダーならびに採用に関わる人に共有することも重要です。ステークホルダーは忙しい方が多いので予定調整が大変かもしれませんが、出来る限り言語化の段階から巻き込むことができると良いと思います。
自分の働き方も一変した上に採用活動まで変わってきてしまって、状況に合わせていくことが大変だと思いますが、今回の記事が少しでも貴社の採用活動の参考になれば幸いです。
次回もお楽しみに!