教育エビデンス:小テストの効果
テスト勉強はコツコツ派でしたか?それともテスト前に集中して勉強していましたか?小まめに小テストを実施した場合と、期末に大きなテストのみを行った場合、どちらが短期的・長期的な学習定着に効果的なのでしょうか。学習の定着に関する研究を行っている認知学者が小テストの効果について検証した論文を紹介します。
キーテーマ
小テスト・定着・記憶・実験
結論
授業の前後に小テストを実施すると、そうでない場合に比べて、短期的にも長期的にも成績向上に効果がある。
3つの実験での期末テストの結果
左が小テストなし、右が小テストあり
※実験2の中央は、小テストの代わりに教科書の再読を行ったグループ
全ての実験で小テストを実施した場合の方が成績が良い
章末テストと期末テスト(3ヶ月後に実施)の結果
双方ともに小テストを実施した場合の方が成績が良い
実験デザイン
*論文内では複数の実験について触れていますが、読みやすさのために要約しています
アメリカのイリノイ州の中学生1400人強を3つのグループにわけ、短期と長期のテスト結果(科学)について比較する実験を5年間で3回実施した
授業の前後に小テストを実施したクラス
授業の前後に教科書の読み直しを実施したクラス
どちらも行わないクラス
結果、3回の実験全てにおいて1のクラスは2,3に比べて、単元テストでも最終テストでも統計的に有意に高い点数を取った
留意点
中学生の科学のテストにおける実験のため、成人や他の教科では異なる実験結果になる可能性があります。
エビデンスレベル:ランダム化比較研究
編集後記
小テストの実施はコストがほとんどかからないため、中期的だけでなく長期的な学習定着にも効果的である可能性があるというのは頼もしい結果ですね。私は負けず嫌いなせいか小テストで間違えた問題ほど悔しくて覚えていたりします。小テストはいつフィードバックをもらえるのかも大事だそうです。Google Formなどを使えば自動採点されるため教師の手間はかからず生徒はすぐにフィードバックを受け取ることができます。以前実施したオンライン授業作りのワークショップで、生徒自身に交代でクイズを作らせてそれを小テストにしている先生のお話を伺いました。テクノロジーや先行研究を取り入れて効率的に生徒の学習定着を強化できるといいなと思います。
文責:識名 由佳