教育エビデンス:グループワークの効果
友達と一緒に勉強するのと黙々と1人で勉強するのはどちらが好きですか?授業中にグループワークを行うことは生徒の成績にどのような影響があるのでしょうか?イギリスで行われたグループワークの効果に関する212個の先行研究を俯瞰した論文を紹介します。
キーテーマ
グループワーク・協調学習・実験
結論
グループワークは、多くの場合成績にポジティブな効果がある。
小学校(+5ヶ月分の効果)よりも中学校(+6ヶ月分の効果)でやや効果が大きい。
教科別では、科学(+10ヶ月分の効果)数学(+5ヶ月分の効果)国語(+3ヶ月分の効果)の順番で効果が大きい。
共通のゴールを持ち全員が参加する必要のある3人から5人のグループがもっとも効果的。
デジタルを使ったグループワークの効果(+3ヶ月分の効果)は対面(+5ヶ月分の効果)よりもやや小さい。
ただし、単にグループで作業をさせるだけでは高い効果を期待することはできない。グループワークがうまく機能するよう事前の練習や教師のサポート、適切な難易度のタスク設計などが必要である。
実験デザイン
*読みやすさのために要約しています
イギリスのEEFが宿題の効果に関する43個の先行研究の平均的な影響を要約した。
※線の右側に■のある論文はポジティブな効果。
※212の論文のうち中学校の数学に関するもののみ表示しています。
結果、多くの先行研究においてグループワークは学習にポジティブな影響があった。
留意点
イギリスの小中学生における実験のため、他の国や教科では異なる実験結果になる可能性があります。
先行研究の中にはランダム化されていないものや独立機関による評価ではないものが多く含まれるため、エビデンスレベルはやや低いことに留意が必要です。
グループ間の競争を取り入れるとより効果が高まる傾向にありますが、競争を強調しすぎると学びの効果が薄れる可能性があります。
エビデンスレベル:複数の研究の平均(ランダム化比較研究、観察研究を含む)
編集後記
コストがほとんどかからず、高い効果が得られるグループワークはぜひ積極的に取り入れたいと思う一方、「全員が参加できるようにする」「共通のグールに向かわせる」よう指導するのは簡単ではないですよね。私は理科の実験で遊んでしまいよく怒られるタイプでしたが、いまだにその時の実験結果や過程を覚えています。手のかかる生徒を抱えながらもグループワークの手法を取り入れてくださった先生方に感謝です。
文責:識名 由佳
Collaborative Learning Approaches. (2021). EEF. Retrieved March 30, 2022, from https://educationendowmentfoundation.org.uk/education-evidence/teaching-learning-toolkit/collaborative-learning-approaches#nav-what-is-it