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欠席が生徒の学習結果に与える影響
学校で教育を受けるためには学校に行かなければいけません。・・・当たり前ですね。もう少し理屈っぽくいうと、「学校にいく」ということは生徒が学校教育を受ける大前提となる非常に重要な行為です。特に長期にわたる欠席は生徒の学力・交友関係・生活習慣に悪影響を及ぼすリスクがあります。今回は原点回帰し、欠席の種類やタイミングに注目しつつ、欠席が生徒の学習結果へ及ぼす影響について調べた研究を紹介します。
結論
欠席の種類、及び生徒の性別・経済状況・家族構成等を問わず、欠席は生徒の学習結果に悪影響を及ぼす。
年度初期・中期の欠席と比較して、年度後期の欠席の方が学習結果に悪影響を及ぼす傾向がある。
病気による欠席の悪影響は、欠席日数が約10日を超えた時を境目に見られるようになる。
無断欠席は年度の中での時期を問わず学習結果に悪影響を及ぼす傾向が見られるが、年度初期、及び年度後期においてこの傾向が最も顕著に見られる。
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研究概要
ベルギーのフランドル地方の教育庁が収集した、2014~2019年の間に中学生・高校生だった生徒のデータが分析された(COVID-19の影響を受ける前のデータが活用された)。
出欠に関するデータを元に、生徒ごとに各月の欠席日数が集計された。
また、データ内の記録に応じて、欠席が以下の四種類に分けられた。
無断欠席(生徒から学校に対して欠席の理由を提示しなかった場合)
病気による欠席
学校起因の欠席(停学処分など)
その他
これらの欠席の分類、及び各月ごとの欠席データ、及び生徒の基礎情報(年度末試験結果・性別・経済状況)を組み込んだ多重ロジスティック回帰分析を行った。
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結果、上記の【結論】に記された傾向が見られた。
解釈・編集後記
欠席の種類を問わず、欠席が学習結果に悪影響を及ぼすという結果は特に目新しいものではないですが、欠席する時期によって及ぼす影響が異なるというのは興味深いと思いました。特に年度末の欠席のリスクが高いのは、この地方で行われる年度末テストの対策がこの時期に集中的に行われるかではないかと研究者は指摘しています。学校・国によって傾向は変わりますが、一概に「欠席」とひとくくりにするのではなく、欠席の理由や時期をふまえて対策を練ることを呼びかけた研究でした。
文責:山根 寛
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過去記事のまとめはこちら
Klein, M., Sosu, E. M., & Dare, S. (2022). School Absenteeism and Academic Achievement: Does the Reason for Absence Matter? AERA Open, 8. https://doi.org/10.1177/23328584211071115